【シリーズ】How to make 備前焼?vol.6-窯出し編【日本遺産】

岡山随一の焼き物、「備前焼」の知られざるつくり方を、備前焼作家のツマである藤田がお伝えするシリーズ。無事に終えた窯焚き。さあ、中はどんな様子で、どんな作品が出来上がったのでしょうか?お楽しみの結果報告です。
掲載日:2017年12月25日
  • ライター:  
  • 3296 ビュー

5日間の窯焚きを終えて…いざ、窯出し!

長い戦いを終えた、備前焼の登り窯。中に入られるようになるまで冷ますこと3日間。静かなその姿の内側は、どうなっているのでしょうか。

バールで入り口をこじ開ける

早く中が見たい!まずは、粘土できっちり閉じられた入り口を、バールを使ってこじ開けます。

時には共同作業をすることも

登り窯は大きいため、自分の作品だけではいっぱいにならないことも。そんな時、作家仲間に声を掛けて、焼きたい作品があれば一緒に詰めるようにします。
その場合は写真のように、作家仲間とともに窯出しを行うこともあるんです。

遂に入り口が全開に!

光がほとんど入らず真っ暗な中。電気を点けると…。
こんな感じになっています!おお…作品にたっぷり灰がかかり、ツヤツヤと光っていてカッコイイ…。窯焚き前(リンクを貼る)より数段迫力が増しています。

たっぷり灰をかぶった花器たち

今開けた一番前の部屋(ウド)は、薪をくべる口があるため、作品が最もたくさんの灰を浴びる場所。そこに置いておいた花器は写真のようにゴツゴツと灰が盛り上がるように付着しています。
これがそのまま器の模様になるのが、備前焼の面白いところです。

前回ワラを巻いた作品は…?

前回、写真のようにワラを巻いて重ね焼いたお茶碗はどうなったでしょうか?
こうなりました!茶碗全体が赤茶色に変色し、底にはワラを敷いた模様が線となって現れています。(写真は磨き、洗い済みの完成作品)

「セラミックシート」を敷いた作品は…?

「セラミックシート」というハサミで切れて、はっきりとした抜けを作ることができる素材も使用しました。これはどうなったでしょうか?
シートを敷いた右側には灰が落ちず、はっきりとしたコントラストの作品に仕上がりました。ちなみに右下に表れている赤い線は、ワラを1本だけ置いて焼いたことで生まれたヒダスキの模様です。(写真は磨き、洗い済みの完成作品)

「ボタ」という粘土を置いた作品は…?

最後はこちら。作品の上に、平たく丸めた別の粘土「ボタ」を置いて焼いたらどうなったでしょうか…?
ボタを置いた部分だけ抜けができて、自然なゆがみを持つ、丸い模様が中央に現れました。一色で仕上げるだけではなく、より華やかな印象!料理も映えそうです。(写真は磨き、洗い済みの完成作品)

一つとして同じものがない、備前焼ならではの魅力!

どれだけ計算を尽くして窯詰めしても、狙い通りの景色(模様)が出ないのが備前焼の面白いところであり、大きな魅力。火と薪と土の共演による、世界にひとつだけの器が生まれる窯出しの瞬間は、作家にとっても毎回驚きの連続だとか。
ずーっと眺めていたくなるような、言葉にし難い風合い・色合い…。備前焼が持つエネルギーを感じる瞬間でした。
マップを見る
ランキング  1 Week
テーマ
市町村
ライター紹介

同じテーマの記事

このライターの記事