【シリーズ】How to make 備前焼?vol.7-仕上げ編【日本遺産】

岡山随一の焼き物、「備前焼」の知られざるつくり方を、備前焼作家のツマである藤田がお伝えするシリーズ。最終となる今回は、焼きあがった作品を磨き、洗い、お店や個展で販売される完璧な姿にするための「仕上げ」です。
掲載日:2018年01月10日
  • ライター:藤田恵
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作品は焼き上がれば完成…なワケない!

前回の窯出し編で作品の変化を見ていただきましたが、窯から出してすぐ、あんなにキレイになるワケではないのが備前焼。灰がびっしりとこびりついてイガイガになった表面は、とてもじゃないけど日常使いは厳しい…。というわけで、最終回の今回は、販売できる状態になるまでの工程をご紹介します。

まずは、作品を”磨く”ところから

灰をかぶっていたり、また土に含まれている小石などが焼成後に飛び出てくることがあるので、それらをまずはやすりで削ります。これを「磨く」と言います。
用意する道具は、「棒やすり」「紙やすり(目は粗い方)」「軍手」(手がガサガサになるので)「マスク」(削った粉を吸い込むのを防ぐ)の4つ。
最初に棒やすりで大きな凹凸を削り、滑らかにして…。
次は紙やすりを使って、もっと滑らかに。やすりをかける毎に素手で作品の表面をなで、指に引っ掛かる突起はないか、手で触った時にすべすべして心地よいか…?と、常に確認しながら丁寧に進めます。
お客様の手に渡ったことを考えて作業するため、とても時間がかかる上に、表面を素手でなでる度に指の皮もどんどん削れていくのです…。
終わる頃にはすっかり指紋がなくなり、熱い飲み物などは、素手で持てなくなるほど!
窯の中は保温性があり、比較的あたたかく冬場は快適なので、中で磨き作業を行うことも。しかし、通気性が悪いので粉塵が充満しやすく、息苦しいという難点が…。
こうして作業をしやすいスタイルを見つけながら、100点、いや、時には1000点以上もの作品を磨くのです。

磨き終えたら、”水漏れ検査”へ

しっかり磨き上げたコップでも、中から水が漏れては使い物になりません。ですから、写真のように水を入れて一晩放置し、ヒビやワレから水が染み出していないかをチェックします。
こんなに小さな豆皿でも、ちゃんと水漏れ検査をしているんですよ。
お醤油を入れたら、底から漏れた…!なんて大迷惑ですものね。

最後に”水洗い”で完成!

1000℃以上の火に耐えて割れず・いがまず、さらに水漏れ検査を無事に通過できた優秀な作品たち。最後は、水で2度洗いして完成です。
水に濡れてツヤの出た備前焼は、釜から出した時とはまた違った表情でキリリとカッコイイんですよ!
水洗いを終えてずらりと並んだ備前焼の作品たち。一つ一つ手作業で仕上げる中で、「最初はグレーの土の塊だったのに、この作品はこういう風に焼きあがったのかぁ…。スゴイなぁ…」としみじみ。
備前焼の表情の多彩さ、力強さと繊細さ。
それらを作り上げる陶工たちの立派さを改めて感じるのです。

備前焼は一言でいうと「尊い…!」

最後になりましたが、私が思う備前焼の魅力は
①材料はすべて自然のもの。究極ナチュラル
②土作り→窯焚き→磨きまですごく手間&時間をかけている
③もちろん、すべて手作業でやっぱりナチュラル
④なのに、この多彩な模様!予測できない面白さ!何年やっても飽きがこない
の4点です。 特に、そのナチュラルさ故に、少しもラクができないという点において
「尊い…」と感じるのです。思わず合掌しながら涙する勢いです。いやマジで。

岡山に来られる方、渋すぎるかしらなんて食わず嫌いは一旦やめて、ぜひ一度備前焼を伊部の街へ見に来てくださいね!その過程からにじみ出る説得力に、グッときますよ。
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