次見れるのは何年後…?林原美術館の所蔵数と企画力がハンパないので絶対行くべき!

岡山城下にある立派な長屋門が圧巻。林原美術館は、岡山藩主池田家伝来の調度品や甲冑、刀剣などに加え、故林原一郎氏が蒐集した美術品、合計9000件もの所蔵を有する、スゴイ美術館なのです。常設展を持たず、新しい企画展を常に投げかけ続けるアグレッシブさ。そして紛れもない名品の数々をその目を確かめて。
掲載日:2018年05月21日
  • ライター:藤田恵
  • 3063 ビュー
岡山屈指の観光スポット、岡山城内堀のすぐ西側。威厳ある門構えが激渋でカッコイイこちらが、林原美術館です。岡山藩主池田家が受け継いできた資料に加え、実業家だった故林原一郎さんが収集した美術品、合わせて約9000件もの作品が収蔵されている、恐るべき私設美術館なのです。
常設展はなく、年に5〜6回企画展や特別展を実施。
その収蔵数の豊富さゆえに、よそから作品を借りずとも林原だけですんなり企画を回せるという頼もしさ。「次にこの美術品を見ることができるのは、何年後になるか…」と惜しくなるほどで、訪れる度に発見があるから、とリピーターも多いんだとか。
そんな林原の魅力を主任学芸員の植野哲也さんに教えてもらいました。
取材時は、2018年6月17日まで行われている企画、「サムライの纏(まと)うもの」の真っ最中。
まずは、サムライと言えば誰もが連想する”甲冑”。中でも、初代岡山藩主、池田光政公が所有していたという黒塗竪矧胴具足は、池田家の家紋にもなっている蝶が羽を広げたように見える兜が印象的。良質な材料をふんだんに使い、なおかつ一目見て「池田家のサムライである」ということがハッキリと分かる、剛健な仕上がりはため息ものです。
他の甲冑には、箱に一緒に納められていた「ふんどし」(!)や「手袋」も展示されています。なるほど、確かにサムライがまとっているものでありながら、他の美術館ではまず見られないフルラインナップに膝を打ちます。
また、池田家のお殿様はかなり「能」にハマっていたそうで、林原には1000点ほどの能衣装を所蔵。能面や槌といった小道具もきれいに保管されています。
当時のサムライにとっては、能の嗜みも必須。しかし、きらびやかな刺繍に銀や金の箔を張った豪華絢爛な能衣装を見ていると、大変なお金がかかっていることは容易に想像できますね…さすが池田家…。
サムライに必須なものといえば、教養もそう。お殿様が身につけた教養をフルに発揮して筆を執ったという、貴重な絵や書がしっかり残っています。
特に写真手前の掛け軸は、3代岡山藩主の池田継政公が孔子を描いた「聖像」。孔子を描く際にゼッタイ押さえておくべきポイントを全てカンペキに描くという、実は超難しいことを、平然とやってのけているから憧れます!
また、故林原一郎さんが大の刀剣好きで、蒐集に明け暮れていたという経緯もあり、林原美術館には国宝3振をはじめ、重要文化財14振…と名刀が充実。
写真の「玉虫微塵塗波千鳥蒔絵鞘脇指拵 脇指 銘 備前国住長船左京進宗光」(名前ながい…)は刀身だけでなく拵えも魅力的。美しいだけでなく、金具には海辺の様子が描かれ、鍔(つば)には波模様の細工が。また向こうから馬が走ってくる姿もあり、源氏物語の一場面を刀で表現していることが分かります。もはや絵巻物じゃないですか…!
甲冑、能衣装、書画、刀剣、武具…と名品もりだくさんの今展示。最後には、こんな書が飾られていました。
慶応4年、岡山藩の隊列を横切ろうとしたフランス兵を負傷させ、国際問題になった「神戸事件」。そのすべての責任をとるため、見事な切腹を果たした部隊長の瀧善三郎による辞世の句です。
新渡戸稲造が著した『武士道』の中でも紹介され、世界にサムライの精神を伝えたこの切腹。岡山藩にいた本物のサムライの心が、見た人たちの胸に響くよう。グッと涙を堪えました。
充実の展示に心満たされた後は、美しいお庭を見ながらロビーでひと休み。コーヒーなどがいただける喫茶スペースの他、ミュージアムショップ、次の展示のフライヤーなども置かれており、手作りワークショップやクラシックコンサート、はたまた講談なども行われる柔軟さで、めちゃくちゃ楽しそう。
また、林原美術館の2018年の展示は下記URLをチェック。どんなターゲット層をもトリコにする、多面的な企画をご覧あれ。
あ〜、お目当ての美術品を見逃してしまった〜!そんな時でも大丈夫。ロビーでは図録『名品選』に載っている美術品が「超高精細画像」で自由に見られるんです。長ーい源平合戦の絵巻も一目で見られて拡大もラクラク。しかも、素材感まではっきりと分かる美しさで、モノによってはタブレットで見た方が良く見られるっていうからもう、感激…。
刀剣のアップもご覧の通り。刃文や地鉄、沸までくっきり見える鮮やかさに歓声を上げそうに。
こうして、新しいテクノロジーと、古くから受け継がれてきた名品の数々がうまく調和して、老いも若きも思う存分楽しめる施設になっているのです。
岡山城・後楽園に行ったならもう一歩!足を伸ばして林原美術館に行ってみてください。ほんとオススメです。
マップを見る
ランキング  1 Week
テーマ
市町村
ライター紹介

同じテーマの記事

このライターの記事