来て、見て、食べて!本場、鴨方の絶品「手延べ麺」

「手打ち麺」と「手延べ麺」の違いはご存知ですか?
伸ばした生地を包丁で麺状に切っていく手打ち麺と違い、手延べ麺は包丁を入れることなく、生地をひたすら伸ばして伸ばして作られます。手間と時間がかかっている分、繊維が伸び、のど越しつるりとした上品な味わいが特徴です。
浅口市鴨方町は江戸時代から、晴れが多い気候や、良質な水・塩・小麦が手に入ることから、手延べ麺の産地として栄えてきました。
手延べ麺といえばひんやりそうめんのイメージが強いですが、冬のあったかメニューも絶品!中には冬限定のメニューもあるんです。さらに鴨方町では、本場ならではの手延べ麺の「天日干し」風景が見られるかもしれません!
1枚目の写真は河田賢一製麺工場にて撮影させていただきました。
掲載日:2019年02月12日
  • ライター:m.k
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冬限定「かけばうどん」 宮田製麺 試麺館(しめんかん)

製麺所「宮田製麺」さんが、麺工場の隣で土日祝日限定でオープンしている「試麺館」では、信じられない価格で本場の手延べ麺メニューがいただけます。手延べうどん(温)250円、手延べラーメン300円、手延べひじき麺350円など、バラエティ豊か!
冬のイチオシは、「かけばうどん」(300円)。冬限定のメニューで、製麺所直営でないとなかなか食べられない逸品です。
「かけば」とは、小麦粉から伸ばしてどんどん麺を細くしていく中で、麺を2本の棒に8の字にかけていく行程。コシを出すためにねじりを加えていきます。
本来ならば、「かけば」のあとにさらに麺をひっぱって細く仕上げ、そうめんにしていくのですが、あえて「かけば」の段階でストップし、うどんくらいの太さでいただけるという珍しいメニューです。
古くから製麺所のまかないとして食べられてきました。生麺につき、試麺館では保存がきく冬季限定でいただけます。
太めの麺がねじれているのがわかるでしょうか?
つるんとした麺から小麦の風味がふんわり。甘めの出汁がきいたスープが美味しくて、全部飲み干しちゃいました。
体もぽかぽか、おなかいっぱいになるご当地メニュー「かけばうどん」をぜひ味わってみてください。
店内では手延べ麺やバチ(手延べ麺を作る行程で出る切れ端)の購入もできます。
バチは普通の麺と同様に調理して食べるのも良し、「バチおこ」というバチを使ったお好み焼きもおいしいので試してみてください。

食べて買って学んで足湯まで!? かも川手延べ素麺 麺蔵人(めんくらんど)

大きな水車が目印の「麺蔵人」は、もとは素麺蔵だったそうです。
大手の手延べ麺製造会社「かも川手延べ素麺」さんが運営されており、直売所を併設するお食事処となっています。
手延べ麺を作る行程が学べる写真やお人形の展示があります。様々な道具を使い、昔は手作業だった手延べ麺づくり。生地をこねたあと伸ばしと熟成を繰り返し、乾燥させて麺になるまで丸2日かかったという話も聞きました。手間と時間がどれだけかかるか、よくわかる展示です。
なんと、「麺蔵人」には足湯もあります。お腹いっぱい食べた後は、足湯でほっこり。
夏は屋外のイベントや卓上でいただける流しそうめんが大人気ですが、冬のおすすめは釜揚げ天ぷらうどん(1,170円税込)です。
つるつるのぽってりとしたうどんがなんとも上品で、優しい舌ざわりに感動します。
そして天ぷらがサックサクで、釜揚げうどんとの相性がとてもいいので、ぜひご賞味ください。
15~45名の団体さまの予約受付で、麺づくり体験や工場見学も可能です。

町家でほっこりあったかそうめん まちや亭

日本の歴史公園100選にも選ばれたかもがた町家公園の中にある「まちや亭」では、年中、鴨方のそうめんがいただけます。
鴨方町内の麺の生産者さんから月ごとに順繰りでそうめんを仕入れておられるそうです。冬はあったかいお汁でいただけます。
まちや亭はボランティアスタッフさんにより運営されており、「そうめんセット」(400円)には、スタッフのお母さん方の手料理が日替わりでついてきます。
やさしいおふくろの味も楽しんでほしいです。

これぞ鴨方、手延べの風景 河田賢一製麺工場

手延べ麺は農家さんの副業として発達したという歴史があります。そのため農閑期である冬の風物詩となった天日干しは、鴨方(特に小坂東)のあちこちで見られたそうです。
しかし今はこのあたりでは河田賢一製麺工場さんだけではないか? と言われています。(もしかしたら個人でされている方がいらっしゃるかも、とのこと)
河田賢一製麺工場さんでは、夜中の2時から小麦と水と塩をこね、5段階の工程で機械を使って麺を伸ばし、午前中に天日干しを行ったあと丸一日乾燥させてそうめん・うどん・ひやむぎといった商品を完成させます。
ただし、軒先での天日干しは晴れて湿度が低い日に限ります。基本的に月・火・木・金曜日の午前10時~12時頃にされています(臨時休日もあります)。
日光にさらしながら、機(はた)という道具を使い、細く約2mに麺を伸ばしていきます。竹箸を使って麺をひっつかないように成形していきます。
天日干しをすることで、麺が白く美しく輝き、食べたときの小麦の風味が強く出ます。美味しくなるからこそ、昔ながらの製法にこだわっておられるのだそう。
1日5名までであれば、手延べ麺の天日干し体験をすることができるとのことですので、河田賢一製麺工場さんへ直接お問合せください。
◆河田賢一製麺工場 TEL:0865-44-4161
河田賢一製麺工場で作られた乾麺は、工場に併設された直売所でのみ販売されています。まさに、ここでしか手に入らない味!
コシがあり、小麦の風味が美味しい河田さんのそうめんは、ファンの方が多いんです。手間をかけじっくり丁寧に作られた絶品手延べ麺を、ぜひ味わってみてください。

かつての賑わいに想いを馳せて 杉谷川沿いの見どころ

河田賢一製麺工場がある鴨方町小坂東・杉谷川付近は、手延べ麺の一大産地で、かつては40基ほどの水車が立ち並び、小麦をひいたり、麺づくりの動力となっていたそうです。
今でも水車のレプリカを見ることができます。今よりももっと麺工場があり、麺づくりのための道具である木桶をつくる職人さんがいらっしゃったそうです。
また、水車のレプリカの近くには「滑石(なめりいわ)の石文」という、文章が彫刻された平らな石があったり、
「杉谷川い鯉の里」としてボランティアさんが川の水たまりに放流した鯉を間近で見ることができ(足元にお気を付けください)、自然の中の、知る人ぞ知るフォトスポットとなっています。ボランティアさんは「杉谷里山づくりの会」というチームで、川の草刈り、清掃などを実施されています。杉谷川付近はホタル観賞スポットでもあるため、自然の美しさを残そうと活動されています。
ぜひ手延べ麺グルメ旅に合わせてお立ち寄りくださいね!
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