現代アートを五感で味わう!奈義町現代美術館で心震える感動を

世界的な建築家、磯崎新氏のプロデュースで生まれた、建築家と芸術家が共同制作した美術館。五感で味わい、感性をビリリと刺激する前衛的な空間に、心はひたすら震えっぱなし!現代アートの醍醐味を大自然の中で存分に味わいましょう。
掲載日:2019年03月05日
  • ライター:藤田恵
  • 1804 ビュー

まるで大自然の中のおもちゃ箱。体験型の美術館

中国山地の秀峰、那岐山に抱かれた町、奈義町。四季の移ろいを、どこにいても感じることができる地域です。
この町の真ん中に現れる、まるで積み木を組み合わせたようなユニークで可愛らしい建物は…?常設の体感型美術館の先駆けとも言われる、奈義町現代美術館です。
(写真提供=奈義町現代美術館)

那岐山を借景にした、斬新な空間アート

早く中が見たい!という気持ちを抑えつつ受付へ。隣の喫茶室に目をやれば巨大なガラス窓の奥に、宮脇愛子氏の作品「うつろひ-a moment of movement」が見えます。
建物全体が那岐山を借景にしているとあって、揺らぐ水面、流れるようなワイヤー、そして緑豊かな霊峰が一度に堪能できます。
カフェとして営業もしているので、コーヒーをいただきながらゆっくりとこの贅沢な景色を眺めることができますよ。

展示室「大地」であらゆる「うつろひ」を知る

風により揺れる水、進むにつれて翳りゆく光。見る時間や天気によって、全く異なる顔を見せる宮脇愛子氏の作品「うつろい」。ワイヤーで空中に描かれた軽やかな曲線は、重力を感じさせず、まるで空を飛ぶ鳥のよう。
奈義町の清く豊かな水と、そこで育まれる生命の静かな躍動感が伝わってきます。
(写真提供=奈義町現代美術館)

展示室「太陽」で頭もカラダも大混乱!

© 1994 Estate of Madeline Gins.  Reproduced with permission of the Estate of Madeline Gins.

養老天命反転地などで有名なアーティスト、荒川修作+マドリン・ギンズが製作した「≪遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体≫」。
一歩入れば一目瞭然。頭とカラダが大混乱に陥るギミックがあちこちに仕掛けられているのです。まずは、無数の写真がびっしりと張り巡らされた小さな空間の中央にある、黒い螺旋階段から上へー…。
​円柱形の展示室の内部には、壁に沿って京都の「龍安寺」の枯山水がぐわんと曲がって出現。
地面(と呼んでいいのか)には、座れるけれどちっとも落ち着かないベンチ、使えるけれど乗るのが怖いシーソーと、鉄棒…。しかも、天井を見上げれば同じくベンチ、シーソー、鉄棒が。一体ここはナニ!?と脳内は大パニック。
さらに足元は傾き、湾曲しているので、フラフラとしておぼつかず、不安に…。

個性がみなぎるこのアート。今まで持っていた既成概念、快適さがゼロになり、視覚に加えて、全身の感覚を揺さぶられる驚きがあります。これは、行ってみなくちゃ分からない…!

展示室「月」の中でゆったり休憩を

太陽の展示室で程よい疲れを感じたなら、次は月の展示室にある岡崎和郎氏の作品、「HISASHI-補遺するもの」へ。
こちらのイメージは休息の場。真っ白な壁に、足音を優しく響かせる高い天井。細長い窓からは、中秋の名月22:00に月の光がちょうど差し込むよう作られているのだとか。
ブロンズ製の生きているような庇(ひさし)、岡山産の御影石でできた2つの長いベンチは、その形状から柔らかく見えるのが不思議です。
まるで教会のように清らかさを持つこの場所は、心を落ち着かせ、今まで自分が感じてきたことを整理する時間を与えてくれそうです。

今をときめく現代作家のアート作品も必見

代表的な三大展示室を回って終わり…ではないのがナギモカ(奈義町現代美術館のこと)のすごいところ。
館内には、期間ごとに展示が入れ替わるギャラリーがあり、新進気鋭の現代アーティストたちの作品が次々に発表されています。
取材時は、岡山出身の、光延由香利氏の美しく、幻想的な作品展が行われていました。
「岡山の山」をモチーフに、繊細で細やかな絵画を制作し、2011年「津山しんわ美術展グランプリ」、2013年「第6回I氏奨励賞」を受賞されるなど、注目されている若手の一人です。2019年3月10日まで開催なので、お見逃しなく。
山々を描いてきたシリーズから、近年は、白い布に白い刺繍糸で蜂を無数に描いたインスタレーションや透明な箱に白い物を収めた作品など、表現が変化しているという光延さん。2月には来館者との茶話会も行われたそう。
こうして、作家の変容を目の当たりにしたり、時には作家本人と会話をしてより深く作品を知ることができる…。
「生きている作家と一緒に、呼吸をできる喜び」を感じられる、それこそが現代アートの大きな魅力だと館長の岸本和明さんは言います。
「現代アートは、従来の芸術が持つ”美しさ”に加え、アートを通して『考える』こと…多面的に物事を考える力がつくことも魅力です。アートの力で新たな考えに気付き、新しい自分に出会えます」。
自分の内面が豊かに変化していく。そんな体験を提供してくれているんですね。
 

現代アートの最先端を突き進む!「ナギモカ」に注目

ナギモカができてから、はや25周年。
開館当初は前衛的すぎる取り組みに批判的な声もあったそうですが、現代アートの美術館巡りやイベントの開催がブームになった今、全国の観光客からアート関係者まで幅広く集まる、現代アートの聖地となっています。
常設展示に加えて、感度の高い企画展示。常に時代の最先端を行く山に囲まれた美術館は、岡山県の、いや、現代アート界の希望と言っても過言ではありません。
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