のぼれる! 入れる! 吉備路の「体感型」古墳3選

岡山市から総社市にかけて、桃太郎伝説の地が点在する吉備路。日本遺産「『桃太郎伝説』の生まれたまち おかやま」の構成文化財ともなっている3つの古墳、造山古墳(つくりやまこふん)・こうもり塚古墳・作山古墳(つくりやまこふん)を紹介します。のぼれたり、入れたりと「体感型」なのが特徴です。
実際に巡ると、3つの古墳が近距離にあることにびっくり! 古代吉備国が強大な権力をもっていたことの証とされています。
どの古墳も吉備路サイクリングロード沿いにあるので、自転車で気持ちよく巡るのもおすすめです。
掲載日:2021年06月22日
  • ライター:m.k
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造山古墳(つくりやまこふん)(岡山市)

岡山市にある造山古墳は全国で4番目の大きさを誇り、自由に立ち入りできる古墳としては全国一の規模。全長約350m、後円部径約224m、高さ約27~32.5mの前方後円墳です。
数字だけ聞いても、どれほど大きい古墳なのかイメージがつきづらいもの。せっかく「自由に立ち入りできる」ということなので、実際に行ってきました。
前方後円墳というと、思い浮かべるのは上空から撮影した鍵穴のような特徴的な形でしょう。
でも、地上から間近で見ると、どこにでもありそうな小高い丘で、標識がないと古墳だとは気づけませんでした。
標識をたよりに、造山古墳に到着。階段をひたすらのぼります。
歩道が整備されていました。眺望がすばらしかったです。造山古墳はもともとあった低い丘陵を切断し、形を整えて築造されたとされています。
途中、平成30年7月豪雨で崩落した箇所がありました。崩れたところを土で埋めると再び崩落する恐れがあるため、埋め戻さずにこのままにしてあるそうです。
まっすぐ進むと、広場がありました。木はあまり生えておらず、こちらも眺めがいいです。ここが前方後円墳の「後円」部分となります。「前方」部分よりも少し高くなっていました。
写真は「後円」部分から「前方」方向に向いて撮影したものです。
実際にのぼってみると、その規模に驚かされました。こんなに大きなお墓を作らせるなんて、とても権力を持つ人だったのでしょう。被葬者は5世紀前半の吉備を支配した王といわれています。

こうもり塚古墳(総社市)

造山古墳から自転車でおよそ12分(約3km)で到着するこうもり塚古墳は、備中国分寺の東側にあります。
古墳時代後期(6世紀後半)につくられたとされる前方後円墳。全長約100m、後円部径約60m、高さ約8m、前方部約60mと、数値だけ見ても、造山古墳より規模はだいぶ小さいとわかる古墳です。
後円部に全長19.4mの横穴式石室があるのが特徴で、なんと、途中まで入ることができるんです。こんもりと丸い丘に入口が!
入ってみると、天井や壁面に大きな石が使われています。奥には石棺が置かれていました。
入口からわずか数メートルですが、ドキドキする空間です。
「こうもり塚古墳」という名前は、この横穴式石室にこうもりが住み着いたため名付けられたようです。中はひんやりとしていて、いかにもこうもりが住んでいそう!
造山古墳と比べると小さいものの、須恵器や刀剣などさまざまな副葬品が発見され、こうもり塚古墳の被葬者もまた、吉備地域で有力な豪族だったとされています。

作山古墳(つくりやまこふん)(総社市)

最初に紹介した岡山市の造山古墳(つくりやまこふん)と同じ読み方の作山古墳。
こうもり塚古墳から自転車でおよそ6分(約1.5km)で到着します。こちらの古墳も、住宅地にあるふつうの丘に見えるので見逃さないように要注意。
古墳時代後期(6世紀後半)につくられたとされる前方後円墳です。全長約282m、後円部径約174m、高さ約24m、前方部長さ約110m、前方部幅174mとなっており、全国で10番目に大きい古墳で、岡山県内では造山古墳に次ぐ大きさとなります。
作山古墳ものぼることができます。駐車場を出てすぐ、古墳にのぼる道を見つけることができました。
造山古墳よりも低かったです。また、生えている木が多く、素朴な雰囲気です。実際に歩いてみると、やはり前方部よりも後円部の方が高くなっており、古墳を立体的に感じることができました。
作山古墳も自然の丘陵を削り出してつくられた古墳ですが、後円部が楕円形になっているのが特徴です。なんと、できるだけ手をかけずに大きく見せようとしたことから、楕円形になっていると考えられているそうです。ぜひ実際に行って、形を見てみてください。

おわりに

実際に巡ってみると、近距離に巨大な古墳が点在していることがわかりました。
古代吉備国が強大な権力をもつ地域だった証。歴史ロマンに触れながら吉備路の古墳巡りを楽しんでみてください。
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