美星町観光協会

  • 美星天文台

    美星天文台

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  • 星尾神社

    星尾神社

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  • スペースガードセンター

    スペースガードセンター

  • 井原市星空公園

    井原市星空公園

「美星町観光協会」は、昭和39年(1964年)に町の観光事業発展と地域文化向上、地域産業振興を目的に設立された組織です。その名が表すように、昔から星がきれいな地として知られていた美星町。主力望遠鏡に口径101㎝の反射望遠鏡を採用した国内有数の公開天文台や、蓄光石が埋め込まれ夜に光る小径がある公園、その昔3つの流れ星が落ちたという伝説が残る神社、小惑星とスペースデブリ(宇宙ゴミ)を専門的に観測する世界初の施設など、 星や宇宙に関するスポットが多数あり、観光や地域活性にも活用されています。

暮らす人が誇りに思える町の魅力

美星町では平成元年(1989年)11月22日、自治体初となる「光害(ひかりがい)防止条例」を制定。平成の大合併により井原市に編入された後、「光害防止条例」制定から30周年の節目である平成30年(2018年)には、星空を大切にするまちづくりで星空版の世界遺産といわれる「星空保護区」の認定を目指して「びせい星守プロジェクト」をスタートさせました。今回その取り組みについて美星町観光協会会長の西野曻さんにお話を伺いました。実は西野さん、「美星町が“星空の町”ということについて、最初はあまり意識していなかった」といいます。しかし天体ファンの間で星空を観るのに適した場所であると言われ始め、美星町という町名とあわせて次第に町内外で評価が高まっていきました。「昔は町外に出かけた時、美星町と伝えると山の中から来たと思われそうで少し恥ずかしかった。でも最近は “星で頑張っているところだね”と言われることが多くて誇りに感じています」。そんな町への想いが「星空保護区」の認定に向けての第一歩となったのです。

未来に向けて星空を守る取り組み

  • 提供:パナソニック株式会社

    提供:パナソニック株式会社

光害防止条例の制定から30年を経た平成30年頃、街灯の増加や光源のLED化によって町が明るくなって、「星が以前より見えにくくなってきている」ということを耳にするようになっていました。そこで立ち上げたのが「びせい星守プロジェクト」。いま一度、美星の星空を守る活動を考えるプロジェクトです。美星町観光協会は井原市と連携して新たな照明器具の選定と取替準備、地域への啓発活動を行うとともに、星空版の世界遺産といわれる国際ダークスカイ協会の「星空保護区(コミュニティ部門)」を目指す取り組みを始めました。「星空保護区の認定を目指すにあたり、認定条件のクリアは簡単なことではありませんでした」と西野さん。美星天文台のスタッフから情報を得ながら条件クリアのために具体的に何をすればいいか項目を挙げていったそう。そしてまず、町内の街灯・約400基の照明器具を交換する必要が出てきました。そこでチャレンジしたのがクラウドファンディングによる資金調達でした。
※(写真1)遮光ルーバーを取り付け、設置角度を道路と水平にすることで、上方への光漏れを防ぐ照明器具

目標達成! あらためて感じた地元の人々の想い

クラウドファンディングの目的である照明器具の交換については、町内が暗くなってしまうのではないかという心配の声もあった。そこで、新しい照明器具設置前後の明るさを比較するなど丁寧に検証を行い、粘り強く住民への説明を続けました。その結果、理解を得ることができ、さらにクラウドファンディングも大成功。無事目標金額を達成したのです。このクラウドファンディングで驚いたことがあったと言います。「ご支援いただいた方々の約4割が美星町内、約2割がその他の井原市内と、約6割が地元在住の方だったんです」と西野さん。約30年の活動の中で星空を大切にする町づくりが地元に浸透していることを感じるとともに、町の団結力をあらためて実感したそう。「30年間何事も小さなことからコツコツやってきました。星空を大切にする町づくりをブレずに行ってきた」と振り返ります。そして令和3年(2021年)11月、ついに国際ダークスカイ協会「星空保護区(コミュニティ部門)」の認定を獲得。「町の人たちの想いの強さと団結力があったからこそ、認定されたのだと思います」。認定がスポットでなく“地域”でというのは、なんとアジアでは美星町が初! これは快挙と言えます。

満足してもらえる観光地のために目指すは「星空+α」

美星町観光協会では、「星空保護区」認定後も継続した活動が行われています。例えば「星空観光(アストロツーリズム)」に力を入れ、観光客に星空の解説ができるよう「星の郷☆美星マイスター」の養成をスタート。令和4年(2022年)春に一期生6名が誕生し、旅行会社と連携しながらマイスターの星空解説などを組み込んだ企画ツアーも実施しています。また、美星町を訪れた人に長く滞在してもらえるよう、おもてなし面での工夫も重要だと考えているとのこと。星の郷青空市の観光センター前にはデジタルサイネージを設置予定。星空に関する情報をはじめ、美星天文台や中世夢が原といった周辺観光スポット情報や青空市の出荷状況など、リアルタイムな情報を発信できるよう準備しています。「美星町には星以外にも魅力的なものがたくさんあるので、星空+αの観光で頑張っていきたい」。きれいな星空を守り、その素晴らしさを伝え、そしてそれをフックに町の魅力を発信して観光に繋げる。ブレない想いが観光への新しい取り組みを加速させています。
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