大原家ゆかりのスポットをめぐる、倉敷美観地区の楽しみ方

倉敷発展の礎を築いた大原家ゆかりのスポットをめぐって、町の歴史に想いを馳せてみよう。

大原家について

  • 大原孝四郎

    大原孝四郎

  • 大原孫三郎

    大原孫三郎

大原家は倉敷きっての大地主で、当主の大原孝四郎は「倉敷紡績所」(のちのクラボウ)の初代社長として会社と倉敷のまちの発展に力を注ぎました。孝四郎の三男・孫三郎はクラボウを全国規模の会社に発展させるだけでなく、日本初の私立西洋美術館「大原美術館」を創設をはじめ、様々な社会貢献を行いました。

大原美術館

  • エル・グレコ「受胎告知」

    エル・グレコ「受胎告知」

  • クロード・モネ「睡蓮」

    クロード・モネ「睡蓮」

「大原美術館」の創設は、大原孫三郎と画家・児島虎次郎の友情に端を発しています。画家とパトロンという関係を越え、生涯の友として歩んだ2人。孫三郎の勧めでヨーロッパに留学した虎次郎は、日本の芸術界のため作品の収集活動を願い出ます。孫三郎の許しを得て、虎次郎が購入したのがモネやゴーギャン、エル・グレコ、マティスなどの作品です。帰国後、47歳という若さで亡くなった虎次郎を悼んだ孫三郎は、彼が収集した作品と虎次郎が画家として描いた作品を公開するために、大原美術館を創設しました。
COLUMN
大原美術館モーニングツアーもおすすめ

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児島虎次郎が収集した最初の西洋絵画、アマン・ジャンの「髪」をはじめ、クロード・モネのアトリエを直接訪れて購入した「睡蓮」、パリの画廊で見つけたエル・グレコの「受胎告知」、また孫三郎の長男で孫三郎と虎次郎が始めた西洋近代絵画収集の拡充を図った大原總一郎のコレクション、ピカソの「頭蓋骨のある静物」など、収蔵品の素晴らしさは日本屈指。
第1・3日曜日の朝には、 開館時間前の美術館を貸切にしてベテラン解説員の案内付きで鑑賞できるモーニングツアー(要予約、12~2月は除く)も行われています。

喫茶「エル・グレコ」

「来館者に美味しいコーヒーを」という大原孫三郎の長男・總一郎の提案でオープンした喫茶店です。設計は「大原美術館」の本館を手掛けた薬師寺主計(やくしじかずえ)。建てられた当初は大原家などの小作農地管理や経営のための会社の事務所でした。薬師寺が好きだったことから植えられた蔦が、現在では建物の外壁全面を覆っています。美術館の隣にあるので、アート鑑賞の後に美味しいコーヒーを飲みながら余韻に浸ってみては?

新渓園

明治26年、倉敷紡績の初代社長・大原孝四郎の還暦祝いに建てられた、純和風建築の別荘です。大正11年に息子である大原孫三郎が倉敷市へ寄付し、大原孝四郎の雅号「新渓」より新渓園と名付けられました。現在は広く市民に開放され、茶会や人前結婚式、観光イベントなどが行われています。

語らい座 大原本邸(旧大原家住宅)

大原孫三郎をはじめ大原家代々が暮らした家です。倉敷窓や倉敷格子といった意匠や、石畳、倉、日本庭園など、倉敷町家の典型的な様式が見られる建物は、昭和46年に主屋、離れ座敷、倉8棟が国の重要文化財に指定されました。平成30年4月からは「語らい座 大原本邸」として一般公開されており、独創的なインスタレーションや貴重な所蔵品などで大原家の歩みを知ることができます。

有隣荘

大原孫三郎が病弱な妻を気遣い、「家族の為に落ち着いた住まいを」と建てた和洋折衷の別邸です。見る角度によって緑色に光る瓦は、児島虎次郎が中国大陸を訪れた際に目にした孔子廟などの屋根瓦を模したものといわれており、地元では「緑御殿」とも呼ばれています。現在は春と秋の2回、大原美術館主催で特別公開されています。

今橋

大原美術館と旧大原本邸・有隣荘を結ぶ「今橋」は、大正5年の皇太子殿下(のちの昭和天皇)の訪問にあわせて、大原孫三郎が自費で架け替えたものです。菊の紋と竜が彫られた欄干のデザインは児島虎次郎が手掛けています。

倉敷アイビースクエア

蔦(アイビー)の絡まる赤レンガの壁が目を惹く建物は、旧倉敷紡績倉敷工場を改修した複合交流施設です。明治時代、倉敷に新しい産業を興そうと立ち上がった人たちの想いに応え、大原孝四郎が資金を出して完成させました。日本の産業の近代化に大きく貢献したとして、平成19年に創業時の紡績工場の建物群が国の近代化産業遺産に認定されています。敷地内にはホテルやレストラン、土産物店、体験工房などがあります。

中国銀行本町出張所跡(大原美術館 新児島館(仮称))

薬師寺主計の設計により、旧第一合同銀行倉敷支店として大正11年に建てられたルネッサンス風の建物です。大原孫三郎が頭取を務めていました。鉄骨煉瓦造り、花崗岩貼り、寄棟造り、天然スレート葺きの2階建の店舗には、正面屋根上にステンドグラスを使用した3つのドーム型のドーマー窓が設けられています。平成28年まで中国銀行倉敷本町出張所として使われていましたが、現在は外観のみ見学可能となっています。※写真は中国銀行営業当時のものです。
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