江戸から伝わる手延べの技が生む、もっちりとした弾力でなめらかな『手延べ麺』

良質な原料と温暖・小雨の気候、清流の水が、おいしさの秘密

古くからの小麦の産地であり、瀬戸内海沿岸で良質な塩が作られてきた岡山県。「晴れの国」の別名どおり雨の日が少ない温暖な地で、清流の水にも恵まれています。そうした製麺に適した条件がそろう吉備国(現岡山県と周辺県の一部)では、9世紀頃にはうどんや素麺の原型である「麦切」が作られ、特産品として朝廷に献上されていたと古書に記されています。そして後世作られるようになった手延べ麺は、その質と味のよさから、香川県・兵庫県とともに「三県物」と言われるようになりました。

職人が休む間もなく30時間。丹精込めて作る「備中手延べ麺」

岡山県の手延べ麺の主な産地は、浅口市鴨方地区周辺です。一帯で作られる素麺をはじめとする麺は、「備中手延べ麺」の名で全国に知られています。その始まりは古く、江戸時代後期。素麺作りが盛んだった播州から職人を招いた一人の村人が、水車製粉と播州から導入した新技術を駆使して備中手延べ麺の基礎を作ったと言われています。
手延べ麺は、小麦粉に塩水を加えて練り上げた生地を長い棒状にし、寝かせては延ばすという作業を繰り返して作られます。生地の仕込みから直径わずか1mm以下の素麺が完成するまで、約30時間。圧力をかけず、ひたすら手で延ばす麺は、もっちりとした弾力となめらかさが身上。その味わいは、多くの人に愛され続けています。『かも川手延素麺株式会社』では、長年ににわたってこの製法を継承する達人が、素麺のほか、手延べうどんなどを丹精込めて製造、販売しています。

浅口市を中心に他の地域にも「備中手延べ麺」の流れを汲む素麺が

昭和30年代から後継者不足に悩まされていた「備中手延べ麺」ですが、職人の技を再現できる製麺機の登場で、より多くの人に昔ながらの味を届けられるようになりました。また現在は、「備中手延べ麺」の流れを汲む製麺所が、浅口市以外の県内各地に点在。県東南部の和気町にある『美作そうめん山本』もそのひとつです。「戻し」と呼ばれる手間のかかる工程が生む強いコシと、丸い形が大きな特徴。各製麺所が、それぞれの地で磨きをかけた、手延べならではの味を、県内外に発信しています。

取材協力:かも川手延素麺株式会社

ふるさと納税でもらおう

ふるさと納税の返礼品に「手延べ麺」もあります。
もっちりとした弾力でなめらかな「手延べ麺」をぜひご賞味ください。