映える「奈義町現代美術館」が全国区で話題。奈義町へアートトリップしよう

来館者がSNSに投稿した写真が“映える!”と話題になり、全国区で注目を集めている「奈義町現代美術館(Nagi MOCA)」。まちのシンボルでもあるこの美術館を旅の目的地にして訪れる人が、今増えています。今回は、せっかく奈義町に行くならぜひとも立ち寄りたい、カフェ併設のギャラリーや企画展も行われる観光案内所など、アート要素を持ったスポットも一緒にご紹介。さぁ、アートな旅を楽しみに奈義町へトリップ!
掲載日:2021年12月21日
  • ライター:おか旅編集部
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【奈義町現代美術館】

建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞受賞の建築家、磯崎新氏が手掛けた美術館です。那岐山を借景に、3組のアーティストの巨大作品が美術館として建築化されており、作品と建物とが半永久的に一体化した公共建築としては世界初。絵画、彫刻、映像など年間10前後の企画展や、表現者を招いたレジデンスやコンテンポラリーダンス、演奏会、食とのコラボイベントも開催されています。27年前の開館当初より館内撮影OK! 近年SNSで注目が高まっています。

話題の映え写真スポットはここ! 展示室「太陽」

インスタグラムをはじめとするSNSで大注目の写真映えスポットがこちら。奈義町現代美術館の常設展示「太陽」。荒川修作氏+マドリン・ギンズ氏による作品です。円筒形をした展示室は真南を向いており、正面から光が迫ってくるようです。
 
ここで撮れるのが逆光を活かした影絵のようなシルエット写真。連日県内外から多くの人が訪れ、服装やポーズ、立ち位置などを工夫して印象的な1枚を撮影しています。
反対側から見るとこんな感じ。左右に京都の龍安寺(りょうあんじ)そっくりの枯山水の石庭が配されています。円筒の中、上下、左右が対極する空間に立てば、足元の不安定さも相まって不思議な感覚に。

反響する足音も愉しい、展示室「月」

三日月のような細長い形をした白い部屋は、岡崎和郎氏による作品「月」。中秋の名月の日の22時、月光が白い壁を滑って影を落とすよう設計されています。展示室内では空間に反響する自分の足音が身体に還ってくる感覚を体感できます。
展示室の壁面上部に生えるブロンズのオブジェは“HISASHI”(ひさし)。ゆるやかなカーブを描く対面の壁に沿って置かれた岡山県産御影石のベンチに座って見上げれば、空に漂う雲のようにも見えます。

陽から陰へのグラデーションにたゆたう、展示室「大地」

黒い石が敷き詰められた空間にワイヤーがしなやかに弧を描く「大地」は、彫刻家・宮脇愛子氏の作品です。展示空間に入れるので、ここでもシルエット写真が撮影できます。
壁や床、天井に映る外光が奥に向かって明るさを潜めていき、陽から陰へのグラデーションを描き出しています。
屋外の池に映し出されるのは季節や時間、天候によってうつろう空。雨や風によって変化する水面の表情も、この作品の醍醐味です。

若手作家との出会いの場所「ギャラリー」

ギャラリーでは若いアーティストの個展も開催。県内でもあまり発表されていない若手作家を積極的に紹介しています。ベテラン作家の作品展も織り交ぜながら、次の世代に繋がる場として活用されています。
写真は奈義町在住のアーティスト・花房紗也香さんの県内初の本格的な個展「花房紗也香展ー窓枠を超えてー」の様子。

受付にはミュージアムグッズや各地の美術館の情報も

受付では「Nagi MOCA」のロゴが配されたメモ帳やチケットホルダー、Tシャツや缶バッジなどのオリジナルグッズを販売しています。カウンター下には各地の美術館の企画展チラシがずらり。アートな情報収集もこちらで。

【Gallery FIXA】

中学校の美術教師をしていたオーナーが碁盤工場だった建物をセルフリノベーションし、2017年にオープンしたGallery FIXA。高い天井と打ちっ放しの床のシンプルな空間は、白を基調とした清廉な雰囲気。絵画や写真などの個展、グループ展、ワークショップなど、幅広く利用できます。2021年11月27日~12月19日には、鳥取県の用瀬と奈義町のギャラリー等を展示会場として、様々な作家がそれぞれの視点で「陰陽」を表現する「Yin-Yang 山陰ー山陽 アートの往来」が開催されました。

白い壁のレンタルギャラリー

左側の白い壁の内側がメインの展示室。そして廊下もその一部。企画展の際には廊下の壁にも作品が展示されます。窓に面したカウンターは、よく見ると奈義町現代美術館の「展示室・月」の“HISASHI”を思わせるかたち。随所にアートな遊び心が隠れた空間です。
地域のアーティストに開かれた場としてはもちろん、アートと地域の人が気軽に接する場所として、企画展や家族連れで参加できるワークショップ等を開催しています。2021年10月9日〜11月7日には、日本とフランスで活動する作家9組が参加し、町内4ヵ所で現代アート展「Nagi Contemporary Arts Project」を実施。Gallery FIXAも会場のひとつでした。

アート鑑賞の余韻に浸れる併設のカフェ

ギャラリーに併設しているCafé Calme。広い空間を贅沢に使った客席でアート鑑賞の余韻に浸れます。壁にはオーナーのコレクションが飾られており、ここでもアートが楽しめます。カフェだけの利用も可能。

カフェタイムは手作りの焼菓子と珈琲を一緒に

岡山県産の小麦粉を使ったケーキやマフィン、スコーンなど、自家製の焼菓子は4~6種類。季節によってラインアップは変わります。スコーンに添えるジャムには、自宅の畑でとれるイチゴやブルーベリー、栗などが使われることも。
コーヒーは注文を受けてから、一杯ずつ目の前のカウンターで淹れられます。ちなみに、このカウンターもオーナーの手作りだそう。
しっとりとして口どけの良い人気のチーズケーキ。深みがあるのに飲みやすい横浜のロースター「堀口珈琲」のコーヒーとの相性も抜群です。カフェで提供しているドリンクやスイーツはすべてテイクアウトも可能です。

店内にはアート関連の書籍や楽しい隠しネタが

店内の書棚にはアート関連の書籍や絵本、画集が並んでいます。気になる一冊を手に取ってカフェタイムのお供に。入口に置かれたラックには、アート関連のほか、奈義町のお店やイベントなどのチラシやパンフレットも。このラックは中学校のバレーボールの審判台をリメイクしたもの。その横に見える白い扉は中学校の職員室のドアを再利用。

穏やかな雰囲気が漂うアートとカフェの関係

ギャラリー運営を手伝うのは自身もアーティストである花房紗也香さん。隣接するアトリエでは絵画教室を開き、アートと地域の人が接する機会を創っています。カフェの担当は紗也香さんの義姉妹である花房聡子さん。こだわりの素材や旬のものを用いて、素朴でやさしい味わいの焼菓子を手作りしています。落ち着いた空気感が漂うこの場所は、2人の醸し出す穏やかな雰囲気にも似ています。

【ナギテラス】

町役場の近く、国道53号線沿いに建つ「ナギテラス」は、奈義町の新しいまちづくりのために策定されたグランドデザインを具現化した多世代交流広場です。東京の建築事務所・Eurekaによる設計で2018年にオープンしました。

2階は展示やイベントができる空間

2階には打ち合わせやミーティング、展示などができる空間が複数あります。ミニキッチンが付いた交流スペースでは、ドリンクやフードなどを提供するイベントも可能。アート系の催しも行われています。
多目的スペースで行われた現代アート展「Nagi Contemporary Arts Project」開催時の様子。飯沼洋子+ArthurBarbe(フランス)のインスタレーション作品が展示されました。

電動バイクや自転車のレンタルもできる観光案内所

「ナギテラス」の1階は観光案内所。観光関連のパンフレットやチラシ、町内のグルメ情報を入手することができます。また、普通自転車や電動アシスト自転車、某テレビ番組でおなじみの充電式電動バイクのレンタルも行っています。

地元作家の作品やオリジナル商品も取り扱い

観光案内所では町内で創作活動を行う作家の作品や竹炭、お茶などを販売しています。奈義町のお土産におすすめ。

五感を刺激! アートな奈義町を動画で観よう

奈義町を紹介した観光PR動画を公開中。ミュージアムやギャラリーはもちろん、秀峰・那岐山や菩提寺の大イチョウ、屋敷の滝など、自然が生み出すアートな景色もご紹介。

ココロに響く、岡山アートトリップ【full ver.】

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