「美作三湯芸術温度2025」心と身体が解放される湯原温泉アート巡り

今年で4回目となる「美作三湯芸術温度2025」。その会場のひとつ、湯原温泉へ行ってきました!温泉地にアートがあることで、その土地を巡る楽しさが生まれ、巡ることで温泉地全体を感じることができます。一軒一軒個性的な温泉宿では、アートを含めたおもてなしが体感できました。透明でつるりとした湯原の温泉で身体もほぐれ、アートで心もほぐれる期間限定のイベントと私が気になった作品をご紹介します。
掲載日:2025年09月29日
  • ライター:高杉郁子
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美作三湯芸術温度とは?

岡山県北部の湯原・奥津・湯郷温泉を舞台に3年に一度開催される回遊型アートイベントです。湯のぬくもり、宿のおもてなし、アートから受ける感動など、多彩な“体感”を「温度」という言葉に込めたタイトルとなっています。温泉宿や観光施設を会場に、国内外のアーティストが温泉地の歴史や風景に合わせた作品を展示。温泉街を歩きながら作品を巡ることで、地域の文化や人とのふれあいも楽しめるのが魅力です。2025年は27施設に31名が参加し、過去最大規模で開催されています。

<開催期間>
2025年8月29日(金)~12月7日(日)
<開催場所>
湯原温泉(真庭市)・奥津温泉(鏡野町)・湯郷温泉(美作市)

湯原温泉はどんなところ?

湯原温泉は湯原ダムの下流、旭川沿いに広がる温泉地で、温泉街のシンボル「砂湯」は全国露天風呂番付で西の横綱に格付けされています。「砂湯」は、旭川の川底から湧き出す天然温泉を利用した露天風呂で、24時間無料で利用できます。他にも2ヶ所泉源があり、湯元温泉館地下と夢水庵地下から温泉街の各旅館に配湯されています。無色透明なアルカリ性単純温泉で、神経痛や冷え性に効果があるとされています。

アート巡りの前に寄ろう!「湯原温泉ミュージアム」

温泉やアートを巡る前にこちらでマップをもらうと、効率よくアート巡りができます。美味しい飲食店情報も教えてもらえるので、ぜひ立ち寄ってみてください。休憩したり本を読んだりもできます。3匹の看板猫ちゃんたちもいて、愛嬌たっぷりにお出迎えしてくれます。

【湯原温泉ミュージアム】
所在地:岡山県真庭市湯原温泉124
TEL:0867-62-2526
駐車場:あり

温泉卓球ができる!

「湯原温泉ミュージアム」では、30分500円で温泉卓球を楽しむこともできます。ラケットは、普通のタイプとスリッパタイプのものがあります。

体験ワークショップも!

だるまの絵付け体験やキーホルダー革細工体験ができる「はんざきクラフト体験(1,000円)」も楽しめます。旅のお土産や思い出づくりにもおすすめです。

『Life in the Fall』高本敦基/湯原国際観光ホテル菊之湯

普段目にする物質や存在から役割を解放し、それらを組み合わせながら現代社会を再考する制作を研究されている高本敦基さんの作品です。よく見るとカラフルな洗濯ばさみが無数にあり、形を構成していました。身近な素材がこんなに素敵なアートになることに感心しました。ホテルの玄関ロビーフロアにお客様をお出迎えするように展示されています。

『HIRUZEN』三橋直人/湯原国際観光ホテル菊之湯

真庭市蒜山には「蒜山三座」と呼ばれる山々があり、三橋直人さんの作品の被写体になっています。三橋さんは撮影を行うタイミングにこだわり、晴れと曇りが混じる天候で、かつ気象の変化の大きい朝や夕方に蒜山三座に通われ、雄大な自然の神秘的な一瞬を切り取った写真が並んでいました。

湯原国際観光ホテル 菊之湯

旭川に面して建つ、全室から山と川が一望できるホテルです。川のせせらぎの音を聞きながら入れる露天風呂は星もきれいに見え、大浴場や貸し切り風呂もあります。湯原温泉のシンボルでもある大露天風呂「砂湯」までもすぐの距離です。ペット同伴可能な客室もあります。

【湯原国際観光ホテル 菊之湯】
所在地:岡山県真庭市湯原温泉16
TEL:0867-62-2111
駐車場:あり

『param no.4』児玉知己/湯快感花やしき

児玉知己さんが住んでいる海沿いの港町と湯原温泉間の距離は120kmあるそうです。その2つの場所の水が途切れることなくつながっている感じを表現されていて、水が流れる様子が伝わってきました。

湯快感 花やしき

アットホームな雰囲気のお宿で、旭川に面した通りにあります。屋上には源泉かけ流しの露天風呂があり、自然をバックに清流の音を聞きながら温泉を楽しめます。内湯の他、日帰り利用もあり。「はんざき羊羹(200円)」のポスターに惹かれ買ってみることにしました。小指サイズの小さな羊羹は、湯原温泉のシンボルキャラクターはんざきの形をしています。はんざきとは、国の特別天然記念物のオオサンショウウオのことです。ホテルの女将が開発された羊羹で、こちらの他「下湯原温泉ひまわり館」でも買うことができます。冷凍のまま渡されますが、暑さであっという間に食べ頃になり、色つやよくなります。つるんと一口、程よい甘さで美味しかったです。

【湯快感 花やしき】
所在地:岡山県真庭市湯原温泉21
TEL:0867-62-3341
駐車場:あり

『はんざきさんと休憩中』松岡徹/元禄旅籠 油屋

湯原温泉には、「はんざき」と呼ばれる国の天然記念物のオオサンショオウオをモチーフにした様々な作品があります。「元禄旅籠油屋」の入り口では、松岡徹さんの新作「はんざきさんと休憩中」がお客様を出迎えてくれています。

元禄旅籠 油屋

元禄元年以来300年に渡る歴史あるお宿で、「千と千尋の神隠し」のモデルのひとつと言われています。新作の「はんざきさんと休憩中」と共に、前回開催時の展示作品の緑のはんざきアートが2階から温泉街を眺めていて、人気の撮影スポットになっています。露天風呂、大浴場、貸切風呂、日帰り温泉もできます。泉源が近いので、湧き出し直後の新鮮なお湯が楽しめます。

【元禄旅籠 油屋】
所在地:岡山県真庭市湯原温泉27(食湯館)、29(夢酔庵)
TEL:0867-62-2006
駐車場:あり

『はらのむしたちのあそぶにわ』樫尾聡美/ゆばらの宿 米屋

宿の長い廊下を抜けた先にある階段の白い壁に、子供から大人まで親しみのもてるアートが展示されています。細胞の一つ一つを模様として生命の内側が表現されていて、人体の一部もアートになるとカラフルな生き物のようで生命感を感じました。

『森の卓球台』原倫太郎+原游/ゆばらの宿 米屋

お宿のくつろぎスペースにカラフルで個性的な形の卓球台がありました。アーティストユニット「原倫太郎+原游」さんのアート作品です。見たことのない形で、遊び心をそそられました。30分300円で実際に遊ぶこともできます。

『ピンホッケー/エアポン(デ・スティル)』原倫太郎+原游/ゆばらの宿米屋

温泉旅館の定番ホッケーもアートになって展示されていました。

ゆばらの宿 米屋

白壁と格子窓、なまこ壁の宿場町らしい佇まいのお宿。温泉街の中心から少し離れた美作街道沿いにあります。露天風呂、半露天風呂、中浴場、大浴場、貸し切り風呂、日帰り風呂があります。

【ゆばらの宿 米屋】
所在地:岡山県真庭市湯原温泉345-18
TEL:0867-62-3775
駐車場:あり

『薄雲Ⅰ』『薄雲Ⅱ』藤原裕策/湯原ふれあいセンター

植物とマスキングテープで表現された、多様性と調和をテーマにしたアート作品です。フリースペースの壁面ガラス一面を使って展示されていました。

『山の中で』胡桃澤千晶/湯原ふれあいセンター

プラスチックフィルムの無数の水の玉の一つ一つが、目の水晶体をイメージして作られていて、たくさんの視線がこちらを向いているようにも感じました。光を浴びてキラキラしていて、とてもきれいでした。プラスチックフィルムの中は湯原温泉水が入っているそうです。

湯原ふれあいセンター

湯原振興局、湯原図書館、市民センター、湯原公民館の機能を有する複合施設で、住民や湯原を訪れる人が気軽に利用できるスペースがあります。入り口の扉に見えているのがアート作品です。

【湯原ふれあいセンター】
所在地:岡山県真庭市豊栄1515
TEL:0867-62-2011
駐車場:あり

まとめ

古き良き風情が残る湯原温泉街は徒歩でまわれる広さで、アート巡りをするのにちょうどよかったです。宿の中にアートが展示されているので、遠慮なくおじゃますることができ、それぞれの施設の個性も感じられて、「泊ってみたい」と感じました。アートも温泉街に馴染んでいて、ふと時を止めてそれぞれの世界に想いを馳せてみたりと、心の開放にもなりました。まちの中にある足湯も気軽に体験ができ、透明で気持ち良いお湯に身体がほぐれました。ぜひ湯原温泉にアートと温泉を楽しみに行ってみてください。
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