1日1組限定!元ホテルマンがアート作品ホテル「A&A ジョナサンハセガワ」を体験してきた

建築家とアーティストのアイデアが集結したホテル「A&A ジョナサンハセガワ」に初潜入!そこには、想像を超える空間体験が待っていました。1日1組限定のホテルステイはこの時期にも安心。岡山のまちで非日常の体験ができる旅、岡山に慣れ親しんだ地元の方にもおすすめです!
掲載日:2021年04月28日
  • ライター:小池香苗
  • 1089 ビュー

岡山市のカルチャーゾーン・出石町エリア

岡山駅から風情ある路面電車・岡山電気軌道に乗って5分ほど。
電停「城下」駅の界隈には岡山後楽園や岡山城、美術館が点在し、岡山市がカルチャーゾーンとして開発をすすめる出石町(いずしちょう)エリアがあります。

今回体験してきたホテル「A&A ジョナサンハセガワ」(A&A Jonathan Hasegawa)は、2019年10月、この地に誕生しました。風情ある建物やレトロな看板、アートが点在する町並みをぶらぶらと散歩しながら川沿いの小路を入ると、ひっそりと佇む案内板が見えてきます。
【A&A HOTEL GUEST ONLY この先はA&A宿泊者のみ入場できます】とあり、ここがホテルのエントランスです。ちょうど1年前の桜の頃に通りがかり、この小さな案内を見つけてから「中はどんな感じなのかな」と気になっていました。
通過点ではなく、もっと多くの方々に岡山に滞在してもらいたい。そんな想いから岡山発、アーティスト&アーキテクト(建築家)が一つの建築作品をつくる「A&A」プロジェクトがスタートし、その第1弾として2019年に2つの宿泊施設がオープンしました。「A&A ジョナサンハセガワ」はその1つ。岡山の「まちに泊まる」体験ができ、芸術作品の中に滞在しながら新鮮な感覚で岡山を感じられるホテルです。

ホテルの外観をしばらく撮影していると、何人かの方が立ち止まって眺めていて、興味を持つ方の多さがうかがえます。2021年の春、こちらに初めて宿泊してきました。

いざ潜入!

チェックインは、この時期にも安心の非対面。
鍵を渡されるのではなく、滞在中使えるキーワードを、玄関扉のタッチパネルに入力します。この入り方、「潜入」気分が高まり、さらにわくわくします♪ 外出時に、鍵やカードキーを持っていかなくてよいのも便利ですね。

さあ、いざ潜入します!

扉を開けると・・・

玄関を入ると、一瞬、ここはどこ?!と思うような超・立体的空間。
道路から地続きの1階から入ったはずなのに。入ったとたんに広がる立体構造の嵐!入り組んだ造りの空間が広がっています。自分がどういう場所に居るのか、わかるまでに時間を要しましたが、そんな体験も楽しいです。

ラウンジ

靴を脱いで、なつかしい土間のような床を踏みしめ階段を上ると、縁側のような日当たりのよいラウンジへ。縁側のような懐かしい雰囲気の中に、真っ白の正方形のデザインが映え、レトロな中に新しさを感じます。

早速、荷物を置いて内部を巡ってみます。

建物を横断する巨大な「W」

「A&A ジョナサンハセガワ」は、建築家の長谷川 豪 氏、ベルリンを拠点にするアーティスト、ジョナサン・モンク氏が共に手がけられました。既にあったまちの形を模倣して再解釈するようにつくることで、宿泊客それぞれが岡山のまちの新たな魅力を見つけ出せるような宿泊のあり方を提案しています。

建物を横断する強靭なコンクリート柱は大きなWの形をしていて、その柱を活かしたダイナミックな階段があります。この写真は階段の真下から撮影したのですが、屋根と外壁に使われている波板がこの柱にも波形にデザインされていました。上り下りするたび、窓からの光や景色とともに、建物のユニークな構造とデザインを全身で体感しているようでした。
ホテルは、元々この場所に建っていた民家の形を模倣するかのようにデザインされ、全く異なる個性を持った3つの空間が1つの客室になっています。写真左にある隣の民家の壁面にのこる、現在ホテルが建つ場所にかつてあった建物の切妻屋根跡のシルエットに、ぴったりと沿う形でホテルは建てられていました。

作品を創られたお二人の「まち」を模倣して再解釈するという制作スタイルを、ここからも感じ取れます。
ラウンジの壁になっている隠し扉のようなベニヤ板に触ると、意外な方向に動きます。

忍者屋敷にあるような扉をギイーッと奥に開くと、ラウンジとは全然違う雰囲気。ここが寝室です。今度は懐かしい古民家を思わせる低めの天井。屋根裏のような秘密めいた空間に、大きなベッドが綺麗にメイクされていて、夜が楽しみになります。

2階にあがってみます

急勾配の先に見える、青空に続くような階段。
まっすぐ見上げる景色は、神社への階段のようにも見えました。
かなり急な階段なので、本当に気を付けてください!

ドキドキしながら上っていくと・・・
日当たりのよい2階には、スタイリッシュな浴室が。図形のような特徴的なデザインは、ソル・ルウィットの「Isometric Drawings」を参照にされたとのこと。

パノラマが広がる窓からは、岡山のランドマーク、旭川に後楽園、岡山城まで臨め、橋や桜並木も眼下に見渡せます。この窓は切妻屋根の東側一帯のスリットで、覗く場所によって異なる景色が見えて写真のフィルムのようでした。窓からの景色は、実際に観るまでのお楽しみです♪
1階には、こんな驚きの空間もありました。
見たことのない天井高の、、、トイレです。天井を見上げると鏡があり、そこを撮影すると、こうなりました。
なんと2階分の高さが吹き抜けに!
ホテル1棟の中で、さまざまな天井高に出会えます。

出合頭

非日常をホテルで味わったあとは日常に戻って、近くを散策してみましょう。

ホテル前の道にあった「出合頭」の文字。この表示、珍しいそうです。他のエリアでは「出合頭注意」などとなっており、これだけが書かれた場所はレアだとネットで話題に。出合いのラッキースポットとも言われているとか? この場所は確かに行き交う人が多く、この表示があると思うのですが、ここもなんだかアートな風景に見えたので紹介します。
ホテルがある旭川沿いから後楽園通りの橋を渡ると、日本三名園の一つ、岡山後楽園もすぐそこ。季節折々の庭園散歩を楽しむことができます。訪れた時はちょうど桜が満開。川沿いの遊歩道には桜並木の美しい景観が広がっていました。
まちに泊まって岡山を楽しんでほしいという想いが込められた「A&A」の近くには、フォトスポットもあちこちに点在します。レトロな町並みを歩きながら、フォトジェニックな看板が目を惹く雑貨店、東京・青山に次いでオープンした上質なコーヒーを味わえる「カフェ キツネ」、「備前焼ガチャ」もできる備前焼の老舗など、界隈の散策もおすすめです。
後楽園側から臨む夕景。
ちょうど正面に「A&A ジョナサンハセガワ」が見えます。ホテルを楽しみたいので、近くの商店街で夕食をテイクアウトすることにしました。
ホテルの冷蔵庫に、うれしいおもてなしがありました。
生きたままの酵母が入った宮下酒造の地ビール「独歩」、ワイン通にも愛好者が多い、岡山県新見市哲多町のワイナリーdomaine tettaの白ワイン「tetta」。

岡山市中心部のホテルにいながら、岡山各地のお酒を味わえて嬉しいです。友人おすすめのお好み焼きと一緒にいただきました。いつか、酒造とワイナリーを実際に訪れてみたいです。愉しみがまたひとつ増えました。

【※2021年3月時点の情報 内容は変更する場合があります】
昼間とはまた違ったムーディな夜の2階へ。
月を愛でながらのバスタイム、これも非日常の優雅な体験でした。
広い寝室にも、正方形のデザインがありました。実は、この写真のベッドの向かい合った先のほうに、もう一つのベッドが対称的に置かれています。
ベッドの間に鏡があるような不思議な感覚。向かいのベッドに友人がいます。わかるかな…。それぞれのベッドでくつろぎながら語り合ったり。この時期にも安心な距離感でした。
翌朝は、ラウンジに降り注ぐ朝日を浴びながら、お湯を沸かして岡山県各地のお茶を愉しみました。

岡山県美作市の自家栽培の茶園「下山さん家のお茶」のほうじ茶と、岡山県新見市の地形と風土を利用して紅茶製造を行う紅茶農園「Early Morning」の紅茶。素敵なティーカップや湯飲みなど、カトラリーも豊富です。
部屋にはこの作品を手がけられたお二人の作品集もあり、建築とアートに思いを巡らせながら充実した体験ができました。建築とアートに詳しい方と泊まってみたらまた新鮮で楽しそう。目にするところすべてに意味がありそうな、奥の深い構造。ホテル担当の阿部さんに話を伺ってみると、家具や構造の各所に著名建築やアート作品から着想を得たデザインがみられ、実際、建築関係者や芸術好きな方の宿泊が絶えないそう。納得です。

「A&A Jonathan Hasegawa」―――これまでにない体験に、まだまだ興味が尽きません。くつろぐ、というより、体験する、がしっくりきます。訪れた人それぞれに、きっとその人だけのオリジナルの体験と想い出が創出されていくホテル、そんな気がしました。
【ミシュランガイド京都・大阪+岡山 2021】
  宿泊施設<ホテル>4パビリオン獲得 
 ※岡山県のホテルで唯一4つ星
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