異国情緒あふれるレトロな遊歩道!岡山臨港鉄道跡を夕涼みウォーキング

1984年に廃線となった岡山臨港鉄道跡地は、レンガ造りのレトロな駅跡も保存され、今では異国情緒あふれる緑豊かな遊歩道になっています。
なかなか遠出しづらい時期も、ここを歩くと気分爽快!暑い時期は、早朝や夕涼み散歩がオススメです。電車でも、JR岡山駅から1駅で遊歩道はすぐそこ。鉄道が通っていた時代を想像しながら、気分も晴れる散策に出かけてみませんか?
掲載日:2021年08月05日
  • ライター:小池香苗
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JR大元駅からスタート!

JR岡山駅から宇野線/瀬戸大橋線で1駅乗ると、JR大元(おおもと)駅があります。この場所から、かつてもう一つ鉄道が通っている時代がありました。
大元駅から岡山南部の湾岸地域、岡山港駅まで通じていた鉄道路線「岡山臨港鉄道」です。旅客と貨物、両方の輸送をおこなっていました。
岡山臨港鉄道は、1951(昭和26)年 8月1日に鉄道運輸事業を開始。岡山市南部を往復し、多くの旅客と貨物を運び続けました。1984(昭和59)年2月1日の国鉄ダイヤ改正の影響もあり、その年の12月29日最終運行、12月30日に全線廃線となるまで、通勤通学など市民にも親しまれた鉄道でした。

岡山臨港鉄道 大元駅は国鉄 大元駅のすぐ東側にあり、岡山臨港鉄道と国鉄が併走していた区間もあったそうです。現在のJR宇野線は写真右側のように高架ですが、かつての国鉄宇野線は地面より少し小高いところを走っていました。岡山臨港鉄道は、写真の真中の路地あたりから南へ、地続きで線路が伸びていました。

鉄道跡を南へ

鉄道跡は、今では道路、住宅や企業が建ち、一部は遊歩道へと姿を変えました。今回はこの遊歩道に向かって、JR大元駅から南へ南へと歩いてみることに。撮影時は7月の少し涼しくなった夕方。ランニング、散歩する人も多かったです。

現在のJR線の高架に沿っていくと、この場所を臨港鉄道が走っていたんだなぁ……と、当時の風景に想像の翼が広がります。
進んでいくと、街路樹が美しく緑豊かなエリアに入っていきます。
このあたり、懐かしさを感じる!と思ったら、私のかつての勤務地、舞浜に似ているからでしょうか。東京ディズニーリゾート®に行かれる方、あのあたりの道に似てると思いませんか?
ここが「臨港グリーンアベニュー」という綺麗な遊歩道に整備されています。
自動車が通らないこの道は、朝夕は家族やペットとの散歩、通勤通学の人々が行き交い、日中は歩道で遊ぶ子どもたち、歩道のほとりで休息する人……。夜もここを往復してランニングやウォーキングをする姿がみられます。
地元の方に聞くと1日中、人通りもそれなりにあるようで、車社会といわれる岡山郊外では、ちょっと珍しい光景かもしれません。
南北に延びる「臨港グリーンアベニュー」両起点にある案内図がこちら。
遊歩道は、JR大元駅から南に総延長2kmとなっています。散歩しても、何往復かランニングしても、わかりやすくていいですね。いい運動ができそう!
橋を渡っていると、鉄道跡地の面影がありました。このデザイン、機関車ですよね?もくもく煙をあげて走っているように見えます。煙が鉄橋のところにまで作り込まれていました。

岡山臨港鉄道の貨物輸送では、ディーゼル機関車が走っていたそうです。その雄姿が表現されているのでしょうか。

岡山県の鳥は?

ホトトギス(岡山の鳥)も描かれていました。

あれ?岡山県の鳥は、キジじゃなかったかな……と思い調べると、1993(平成5)年の統計資料には「県民の鳥 ホトトギス」となっており、1994(平成6)年に行われた「県民の鳥」県民投票により、「県民の鳥 きじ」になったそうです。知らなかった!歩いているといろんな気づきや発見があります。
いつもは車やバスで通ることが多い、大きな新保交差点を抜けてグリーンアベニューをさらに進むと、小高い一角が見えてきました。ちょっと階段を登ってみます。
大元駅から南に約1.4kmの地点にある、岡南新保(しんぼう)駅跡地です。レトロな佇まいの美しい駅ホームです。

この駅は開業当時の1951(昭和26)年8月にはまだありませんでした。始発の大元駅から次の駅・岡南泉田駅までが2.3kmと長かったため、住民の要望を受けて同年10月、新たに開設されたのが臨港新保駅でした。そして10年近く後の1960(昭和35)年8月、岡南新保駅に改称されました。
「新保(しんぼう)」と書かれた駅標。訪れた日はいいお天気で、風情ある駅のホームと木漏れ日が、映画のワンシーンのようでとても綺麗でした。

カラクリ時計

鉄道の信号機デザインのオブジェに、駅員さんの人形も顔を覗かせています。地図には「カラクリ時計」とありました。「C5396」というのは、機関車の形式を表すそう。詳しい方に、どんな汽車だったのかお話を聞いてみたいです。
ここ新保駅跡地の周辺だけ、2本線の鉄道のレール跡がありました。

レンガ造りのホームとレール。
レトロな廃線跡から、当時の雰囲気を感じ取ることができました。ホームには木のベンチもあり、緑あふれる中を風が吹き抜け、散歩やランニングの休憩にもちょうどいい、贅沢な場所でした。

踏切跡も

現在は使われていない踏切跡も、そのまま残っています。

手づくり郷土賞

通りには「手づくり郷土賞」の石碑もありました。

「手づくり郷土賞」とは、日本各地で地域特有の自然や歴史、伝統、文化や地場産業等を貴重な地域資源として利活用した、魅力ある地域づくりをした取組、団体のご努力を国土交通大臣より表彰される賞だそうです。
ここ一帯は1995(平成6)年「臨港鉄道跡地整備」(ふるさとを紹介する道)として選出されました。
さらに進むと、国道30号線と交わる地点に。ここは「泉田」という地名で、鉄道運行時はこの交差点の周辺に「岡南泉田駅」があったそうです。
その先の鉄道跡地は、今では住宅や市道、湾岸に行くと工場になっています。かつて岡山臨港鉄道の終点だった「岡山港駅」からは対岸の北浦とをつなぐ渡船が出ていたそう。現在は渡船はないですが、バス停の名として「北浦渡船場」は存続しています。興味ある方は訪れてみてください。

「臨港グリーンアベニュー」としてはここが南端。大元駅から約2km、ちょうどいい気分転換になりました♪

沿線おすすめテイクアウト

散策の楽しみは、やっぱり寄り道♪という方に。
沿線には、立寄りたくなるスポットもありました。いくつかご紹介します。

natural sweets nature (ナチュレ)

フルーツたっぷりのカラフルなケーキの看板が目印の洋菓子店、natural sweets nature  (ナチュレ)。

JR大元駅から南へ歩くと程なく右手に見えてきます。店内はウッディで明るい雰囲気。日持ちさせるための保存料・防腐剤などの添加物を使用されていないのでとても安心です。ケーキなど生菓子から焼き菓子まで種類豊富です。
中でもライターおすすめはシフォンケーキ。
オーガニックや有機栽培などにこだわった厳選素材を使用し、1台1台丁寧に焼き上げられています。シフォンケーキで作られたロールケーキもあります。
しっとり、ふわふわで絹のような食感。私が今まで食べたシフォンケーキの中で一番好きです!

【ナチュラルスイーツ ナチュレ】
所在地:岡山市北区西古松176-3
TEL:086-259-4678
営業時間:10:00~18:00
定休日:水曜休
※営業日時など変更の場合あり/最新情報は直接ご確認ください

Le 3ème de Paris パリ3区(パティスリー パリ3区)

遊歩道は「グリーンアベニュー」の名の通り西洋の風情が漂う風景ですが、こちらの建物も凛とした佇まいが一際、目を惹きます。

Le 3ème de Paris  パリ3区(パティスリー パリ3区)―フランス菓子のお店です。フランスの発酵バターをはじめ、香りがとても大切なフランス菓子を作るため厳選した材料を使い、本当に納得したものしか店頭に並べないそうです。
名曲「パリの散歩道」が浮かんでくるような、洗練された美しい雰囲気。宝石のように鮮やかに輝くケーキ、香り高いお菓子などが並び、選ぶ時いつも迷ってしまいます。以前はブルーベリーのタルト、クレームキャラメル(プリン)をいただき、奥深くなめらかな味わいに感激しました。今回は散策中のため、焼き菓子をお土産にしました。

【パティスリー パリ3区】
所在地:岡山市南区下中野1401-4 ワイズ大元南1F
TEL:086-959-4735
営業時間:10:00~19:00
定休日:月曜・火曜
※営業日時など変更の場合あり/最新情報は直接ご確認ください
※2021年7月現在はお持ち帰りのみ
岡山臨港鉄道跡地を、今回は遊歩道「臨港グリーンアベニュー」を通り、時々寄り道しながらのんびりと巡ってきました。

岡山臨港鐵道株式会社として鉄道事業を行っておられた現在の株式会社岡山臨港のホームページに「岡山臨港 鉄道博物館」というページがあります。岡山臨港鉄道の歴史、沿線マップなどが運行当時の貴重な写真とともに紹介されています。下記リンクからぜひご覧ください。

鉄道が走っていた時代に思いを馳せながら、古地図を片手に歩いてみたり、ランニングしたり、家族やペットと散歩したり、思い思いに散策を楽しんでみてください。
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