新生「鷲羽山レストハウス」は地域とつながる新たな拠点(倉敷市)

岡山県倉敷市・下津井エリア。2025年春、定番の瀬戸大橋絶景ポイント「鷲羽山展望台」にある「鷲羽山レストハウス」が大規模リニューアルによって生まれ変わり、新たな名所として注目を集めています。瀬戸内海国立公園のシンボルのひとつ鷲羽山に、ただの観光施設ではない「地元の人が胸を張って人を連れていける場所」を目指して、新たな風を吹き込んでいます。
掲載日:2025年06月25日
  • ライター:イマオカ マコト
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新しくなったことがひと目でわかる

駐車場から展望台に登り、まず目に入るのは案内看板。
シンプルなロゴに変わり、各施設の案内もとてもわかりやすく表示されています。
視認性も高く、ひと目で伝わるデザインで「生まれ変わった鷲羽山レストハウス」をアピールしています。
それぞれの施設名もとてもシンプルで「わかりやすさ」を大事にしてることが伝わってきますね。
では、実際に見て感じたそれぞれの施設の特徴を紹介します。

自分たちが行きたいと思える場所を、自分たちの手で

人懐っこい笑顔が印象的な、運営リーダーの島田舜介(しゅんすけ)さん。
大学卒業と同時にキャンピングカーでお兄さんと2人、日本中を旅して周り、旅の終わりと同時に児島に移住。23歳でデニムブランドを立ち上げた起業家です。
鷲羽山からは少し離れた場所で、ブランドと共に全国から若者が集まる、海に面したゲストハウスも運営する島田さんに声をかけたのは、地元のデニム加工会社の役員。地上4階のレストハウスという大きな施設を一社で運営するのは難しいと思っていた矢先、地元企業の合同運営というカタチで実現しました。
これまでの手腕を買われ、運営を任された島田さんは、「自分たちと地元にとっての次のステップとして、このチャレンジはどうしてもやるべきこと」、「観光施設としてだけではなく、自分たち、地元の人たちも行きたいと思える場所をつくりたい」とにこやかに語ります。

「買う」だけじゃない、「伝える」ショップ

鷲羽山レストハウスのメインエントランスは最上階の4Fです。
その4Fはショップスペース。児島エリアと倉敷はもちろん、岡山と瀬戸内が誇る土産品や特産品を揃えたセレクトショップです。定番の吉備団子などのお菓子や地酒をはじめ、「児島の塩」「鶏卵」「海苔」「はちみつ」など、多くの地場産品をセレクト。地元の“豊かさ”を持ち帰ることができる新しいスタイルのショップになっています。
お土産の種類が多くて悩んでしまうこと必至ですが、そんな時は気軽にスタッフさんに訊いてください。
ここでしか購入することができないものもあり、買う楽しみはもちろん、地元の魅力が伝わる場所としても充実しています。

地元の「いいもの」と世の中を繋ぐ

ショップを奥に進むと、児島の繊維産業に焦点を当てた展示販売コーナー。
「帆布」、「真田紐」、「畳べり」などのローカルテキスタイルを、ストーリーとともに紹介。「買う」前に「興味をもってもらう」ことに重きを置いています。
他にも地元の作り手の思いや背景を大切にした品々が並んでいます。
「誰かに贈りたくなるか」「自分が持ちたいと思うか」の視点で選ばれたアイテムたちは、見た目の良さだけではなく、そこに流れる時間ごと持ち帰れるような感覚があります。
また、ギャラリースペースは展示やポップアップの開催などで、企業や個人の想いを活かせる場所として有効活用。ショップという姿をした、倉敷の「生きているローカル」を感じられる場所です。

地元の「おいしい」を提供する食堂

3階にあるのは「ローカル食堂」と名づけられたレストラン。
「地元の味」を真正面から打ち出し、セルフスタイルで児島うどんや地元産の肉・野菜、漁港直送の魚など、地域食材を中心にしたメニューを提供。
店名に込めた思い「その土地の普通が、一番のごちそうになる」をテーマとしています。
一面の窓から備讃瀬戸を一望するロケーションも人気で、瀬戸大橋と多島美が織りなす絶景を満喫できます。
週末の来客は200人を超える日もあるほどの人気で、平日も地元の方々で賑わっています。
スタッフの皆さんもキビキビと動いておられます。
セルフスタイルですので、食器は返却場所までお持ちくださいね。

ローカル食堂 営業時間:11:00〜17:00(ラストオーダー16:30)
※ローカル食堂のみ、水曜日休

児島の塩でいただく「サワラのたたき」

メニューはどれも魅力的で、悩んだ末に「サワラの塩たたき定食」をオーダー。
瀬戸内海で水揚げされた「さわら」のたたきは、香ばしく炙られた皮としっとりした身をたっぷりの薬味と自家製ダレでいただくと当然「旨い」のです。
さらにメニュー名のとおり、添えてある「児島の塩」でいただくと、さわらの甘みがより増しておもわず笑顔に。塩が実にいい仕事をするんです。瀬戸内のサワラと児島の塩、相性抜群です。

観光のお客様にも大好評の一品は、「名物料理」では終わらず、「ここで食べる」ために訪れる地元住民のファンも確実に増えているようです。
備讃瀬戸の多島美を眺めながらの贅沢な時間をお楽しみください。

本屋の概念が変わる「出会い」の場所

2階にある、その名も「本屋」。
一歩入ると「え?ここ、本当に本屋?」と思わせる空間は、誰かの部屋、あるいはカフェのように没入感に浸れる場所です。
東京で編集業を続ける女性が運営しており、ほどよく配置された本棚には店主セレクトの本が並んでいます。
ここにある本には「この場所で手に取る意味」があり、観光と共に心に響いた一冊を選ぶ人も少なくないようで、この本屋を目的に再び訪れる人もいます。
本を読むことだけではなく、“時間の過ごし方”を考えさせられる場所なのかもしれません。

思いのままに活用できる理由がある

3階、2階にはそれぞれ休憩スペースが設けられています。
3階の海を望むロビー風の開放的な空間は光が差し込む明るいスペースで、ちょっとした休憩や待ち合わせにも最適です。
2階の休憩室は広々としたスペースにテーブルと座敷があり、一面の窓に映し出された景色を楽しみながら、ゆっくりと過ごせます。
休憩室の入口には授乳室も完備。いろんな世代が安心して利用できるのも大きな魅力です。
また、取材日には使用中だったため撮影できませんでしたが貸会議室もあり、会議や食事で利用できます(利用については要問い合わせ)。

絶景は、意外とアクセスがいい

鷲羽山レストハウスは、絶景スポットでありながら、実は車やバイクでのアクセスは意外といいんです。

JR児島駅方面から:ボートレース児島の前を通り過ぎ、鷲羽山に登り始めると程なく案内看板が見えてきます。
下津井港・鷲羽山トンネル方面から:少しカーブは多いですが、ずっと片側一車線の道が続いています。

駐車場からも瀬戸内海を一望でき、階段を二つ登るとレストハウスのある展望台へと到着。目の前に広がる絶景をお楽しみください。

この先も「地域と共にある場所」へ

新たな「鷲羽山レストハウス」は、ギャラリーの活用や異業種・同業種との連携など、 “続けること”を大切にして、地元の暮らしと観光が交差するこの場所が「地域の新しい日常」のひとつとなるように、スタッフみんなが生き生きと活動しています。
絶景を楽しみつつ遊歩道を進んで鷲羽山ビジターセンター山頂を目指してみるのもいいですね。



【鷲羽山レストハウス】
所在地:岡山県倉敷市下津井田之浦1-1
TEL:086-479-9164(受付時間 9:00〜17:30)
営業時間:9:00〜17:30(年中無休)
ローカル食堂 11:00〜17:00(L.O.16:30)
※ローカル食堂のみ、水曜日休
駐車場:あり

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