一文字うどん(瀬戸内市)
一般的に使われている「ロール式製粉機」は一分間に200~500回転し、素早く小麦を粉砕するため、短時間にたくさんの小麦粉ができます。一方、一文字うどんの石臼製粉機は一分間に16回転。ゆっくりゆっくり挽くことで摩擦熱がほとんど発生せず、栄養や風味を生かした小麦粉に仕上がるのです。
しかし、ここからが大変。できた小麦粉からうどんを打ってみてもブツブツきれるなど、うどんの姿にさえならなかったといいます。国産小麦は本来、グルテンが弱くちぎれやすいのだとか。あきらめそうになりながらも石臼の溝の形や回転数、配合などを調整し、6年もの歳月を経て、もっちりかつ滑らかな食感のうどんが実現しました。
コーヒー専門店 USSU(岡山市)
挽きたてのそば粉を使ったガレットが提供できるよう、店に石臼を導入しているのです。
ゆっくりと丁寧に挽かれたそば粉は、豊かな香りが特徴のガレットに。ちなみにコーヒーも挽くスピードによって香りと味わいに変化が生まれるのだそうですよ。
モーニング以外に、メニューには瀬戸内の魚のコンフィ(オイル煮)のガレットなどの食事系、シュガーバターなどスイーツ系もあります。地元食材の旬に合わせて発表される期間限定メニューも楽しみのひとつ。
生地はガレットかクレープを選ぶことができます。ちなみにクレープに使っている小麦粉「ふくほのか」は一文字うどんで石臼製粉されたものを使用しているそう。
石挽カカオ issai(矢掛町)
お店の外には矢掛産の石を使った椅子型のアートが! 休憩スポットとして設置されたそうです。
かまぼこ 中光商店(瀬戸内市)
これまで石臼挽きの美味しいものを紹介しましたが、最後に紹介するのはお餅つきでおなじみの丸い石臼でつくる練り製品です。
瀬戸内市の牛窓町と邑久町にある中光商店は1951年創業のかまぼこ屋。創業時から昔ながらの伝統技術「石臼づくり」で練り製品に使うすり身をつくっているそう。石臼に刻んだ魚などの材料を入れて、回転する棒でかき混ぜてつぶしていきます。大きな会社は石臼を使わず大量生産で作っていきますが、石臼を使うことで繊維が細かくなりすぎず空気が入り、ふんわりとした食感になるそう。その日の気温や使う魚の種類によって微調整を行う職人技です。
私は邑久町の中光商店 邑久駅前店を訪れました。
遠方の方はネットショップでの注文も可能です。