うららかな海とカフェがある。「長島愛生園」歩いてきた

昼下がり。白く輝く海。瀬戸内海に浮かぶ長島。まず歩いてみよう。国立ハンセン病療養所「長島愛生園」の記憶を辿りながら、眺めの良いカフェでひと休み。
掲載日:2022年10月28日
  • ライター:おもとまちこ
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長島のながめ(瀬戸内市/大平山)

牡蠣いかだの並ぶ瀬戸内海に、横に長いカタチの長島。虫明湾をのぞむ大平山からは、島の全貌がよく見えますよ。日本で初めて国立のハンセン病療養所ができたこの長島の愛生園には、眺めの良いカフェもあるとのこと。まずはのんびりと出かけてみました。

長島愛生園 歴史館

橋を2つ渡って辿り着きました。光輝く海。ステンドグラスの窓に、正円アーチの車寄せ。ノスタルジックな佇まいの歴史館(国の登録有形文化財)です。この建物ではハンセン病と愛生園について、これまでの出来事を学ぶことが出来ますよ。※見学は事前予約を。

収容桟橋

歴史館から坂を下っていくと、石の塊が遺されている海辺へ出ます。泳いで渡れそうなほど近い本土から。この専用の桟橋へ、専用の船に乗せられて、入所者は上陸させられたんだとか。隔離の島とも称された所以が、伝わってきそうな桟橋です。

回春寮

桟橋から振り返ると、回春寮というコンクリートの小さな建物(国登録有形文化財)が。所持品も、自分も。隔てられ、消毒される。この「収容所」は、すべての始まりのような施設だったんですね。

明石海人(あかしかいじん)歌碑

【監房に罵りやらふもの狂ひ 夜深く醒めてその聲を聴く】。逃亡者などを収監していたという「監房」近く。目白寮に入所していた、後に幻の大歌人とも呼ばれる明石海人の歌。生々しい、日常の描写です。自由な創作の世界は、闘病生活をおくる方々の光であり、支えだったとか。

眺めのよい平成公園などを回って、島を歩く時間。信号の見当たらない道。島用のナンバープレート。ここだけの日常からも、色々なことが感じられてきます。ただただのんびりと過ごす、島の猫たち。穏やかな日差しの中を、ゆったりと歩いていました。

海の先にぽっかり浮かぶ手影島は、潮がひくと、道が現れて渡ることが出来るんだとか。長島神社の鳥居のシルエットと相まって、何だか神秘的な眺めです。静かな海。瀬戸内の多島美。美しい日の出や夕景を見に訪れる方も、多いんですって。

喫茶さざなみハウス(総合案内所)

小さな島々を眺めたり。のんびり冊子をめくって過ごせる、居場所です。約1世紀にわたって刊行され続けている、「点字毎日」という国内唯一の点字新聞。それから、患者や回復者の方々が、感覚の残る舌先や唇で点字を読む「舌読」という技法など。【読む】という何気ない行為一つにも、知るきっかけがありました。

邑久長島大橋

【偏見の壁の厚さを知らない人は 治ったものが「どうして島にいる」といぶかしがる】。入所者の方の、やり切れない心情がこもった詩の一篇です。この水色の橋が架かって。つながって。島との溝は、壁は、なくなったのか。そんなことを考えながら島を後にしました。まずは、橋を、渡ってみる。

島へのアクセス

長島へは、虫明ICから5km。車で10分ほど。JR邑久駅からは、瀬戸内市営バスも運行しています。
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、立ち入りが制限されているエリア(生活区域)があります。見学ツアー開催予定などと合わせて、最新情報は公式サイトよりご確認ください。

世界遺産登録をめざして

ハンセン病療養所の世界遺産登録へ向けて。全国で唯一2つの療養所(長島愛生園・邑久光明園)がある長島では、歴史を語る施設等の保存調査が進められています。ふるさと納税を通して、そのアクションに参加することもできますよ。
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