津山のソウルフード「干し肉」とは?実際いただいてみた!

牛肉文化が盛んな津山市。「お肉の聖地」とも称され、中でも地域のソウルフードとも呼ばれる「干し肉」は旨味が凝縮された保存食で一度は味わってみたいもの!そんな「干し肉」が味わえるお店を訪れてみました。
掲載日:2023年04月28日
  • ライター:酒井悠
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津山は古くから牛肉文化が盛んな地域

「津山 = 牛肉文化」の地域と知ったのは、筆者が岡山県に移住を検討するタイミングのことでした。
津山市の移住相談会(オンラインツアー)が開催された際、筆者の手元に「そずり鍋キット」が送付されました。
パソコンの前でそずり鍋を作り、食べながらオンラインで津山の名所を案内してもらう斬新な企画だったのですが、そもそも「そずり鍋とは?」というのが最初の出会いでした。
ということで、津山の牛肉文化の歴史を調べてみました。

675年、天武天皇が仏教の教えにより肉食禁止令を出します。それ以降、江戸時代まで(なんと1000年以上!)一般的な日本人は肉食が禁じられていました。

しかし、近江彦根藩(滋賀県)と津山藩だけは「養生食い」(ようじょうぐい:滋養強壮のために肉を食べること)が認められていたそうです。そのような歴史もあり、津山の牛肉文化は古くから定着していたそう。

筆者が体験した「そずり鍋」(牛肉の骨の周りの肉をそぎ落とした部位を使った料理※津山の方言で肉をそぎ落とすことを「そずる」と言います)をはじめ、「煮こごり」(牛のすじ肉を煮込み、スープ状にし、冷やし固めたコラーゲンたっぷりの逸品)、「ヨメナカセ」(牛の大動脈を短く切り、塩・コショウ、しょうゆで味付けしたもの)など、津山ならではの独特の牛肉の食べ方があります。

実際に「干し肉」を買ってみた

今回「干し肉」を求めて訪ねたのは、山本精肉本店さん。戦後間もない1946年に創業した老舗のお店です。

ラインナップも充実しており、店内では精肉されたお肉やデリカメニューを販売。
「肉入りコロッケ」や「メンチカツ」といった定番メニューのほか、津山ならではの「そずりコロッケ」などが味わえます。
取材の際にも、ひっきりなしにお客さんが訪れていた、地域に愛される人気店です。
「津山の人は牛肉の食べ方のレベルが高いです。アレンジの仕方がうまい」と語ってくださったのは、この店の3代目社長の山本栄作さん。

とても優しい人柄の方で丁寧に質問に答えてくださいました。
ショーケースにはクラシタ(肩ロース)、モモ、牛すじといった新鮮な牛肉のほか、自社ブランドである豚肉が多く並びます。

ここまでは他の精肉店でも見ることが出来る光景ですが…
隣のショーケースに目を向けると「干し肉」を発見!
先程紹介した「煮こごり」、「ヨメナカセ」もその横に並んでいます。

興奮のあまり「干し肉」の説明がないまま話が進んでいました。
「干し肉」は牛肉の塊に塩を揉み込み数日間干して乾燥させたもの。旨味が凝縮され昔は保存食として食べられていました。

山本精肉本店の「干し肉」も塩を揉み込み作られているそうで、昔は日本酒に漬けることもあったそうですが、今はシンプルに塩だけを使っているそう。
山本社長曰く、「街のソウルフードになっている『干し肉』ですが、ご当地色が強い側面もあり、少しクローズドな印象を持たれる人が多いですね。旅行などで津山に泊まりに来た際に、居酒屋に行って食べて美味しかったからお土産に買うのでは」というのが定番の流れなんだそうです。

ちなみに、津山に住んでいる人は馴染みがありすぎて、家で頻繁には食べないそうです。

【山本精肉本店】
所在地:津山市山下40
TEL:0868-22-3344
営業時間:9:00~18:00
定休日:水曜日、日曜日

「干し肉」を自分で焼いて食べてみた

「今までは口頭で説明していましたが、焼き方(作り方)の説明書を作りました」(山本社長)ということでいただいたのがこちら。
オシャレなイラストで描かれた丁寧な説明書です。

こちらを見ながら、料理初心者の筆者も「干し肉」の調理にトライしました!
まずは密封された袋を開けるところから。
渋い見た目の牛肉の塊。サイズとしては10cm強といったところです。
説明書に書いてある目安に合わせて、10mmぐらいにカットしていきます。
見た目よりも切りやすい、という印象でした。
そして、油をひかずにフライパンの上へ!
軽く炒める、とのことでしたが、焼き目がつくのを目安に焼いてみました。
いざ実食です!

そのまま食べても旨味が感じられてとても美味しかったですが、おすすめされたマヨネーズをつけると、これはもうお酒のアテとしては最高の逸品!
箸が止まらず、全部をあっという間に完食してしまいました。

ぜひ多くの人の食べてもらいたい、そんなクセになる味わいでした!

「ブランド牛」のベースも津山の牛

余談ですが「ブランド牛」と聞いた時に、真っ先に思い浮かべるものはなんでしょうか?

全国的にも有名な「松阪牛」(三重県)、海外からの評価も高い「神戸ビーフ」(兵庫県)、山形県が誇るブランド牛「米沢牛」などが挙げられるのではないでしょうか。

東京から移住してきた筆者も同じ感覚でしたが、先に述べたように津山市は古くから和牛の繁殖農家が多く、実は全国のブランド和牛の元となる子牛を出荷してきた歴史があります。

黒毛和牛の三大血統のひとつ「藤良」(ふじよし)の源流は津山なのだそうです。今も津山の和牛(子牛)が全国に出荷され、肥育された土地でその名前が付くので、津山の名前は表に出ることはなかったそうです。
現在は「自分たちの手でブランド牛を育てたい」という津山の人たちの思いから生まれた「つやま和牛」の肥育が始まり、2016年4月に初出荷を迎えたそうです。

みなさんの食卓に並ぶ牛肉料理も、もしかすると津山と縁のあるお肉かもしれないですね。
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