あの人気番組でも紹介!県北・真庭市の「クセがスゴい!」商店街を巡ってみた

今回ご紹介する久世商店街は、真庭市中心部の久世(くせ)にある上町商店街・中町商店街・下町商店街の3つを合わせた総称です。岡山県北の美作地域において旭川の水運、旧出雲街道などが交わる要衝として、古くから宿場町、市場町、河岸町、陣屋町と多くの役割を担ってきました。最近ではこの地で新しい商売を始める人も多く、新旧入り交じった交流の場になろうとしています。

そんな商店街にあるお店を、NHKの人気番組「ふるカフェ系 ハルさんの休日」の真田ハルさん(古民家カフェ巡りのインフルエンサー)が訪れていたので、久世に住む筆者も同じ商店街を散策してみました!
掲載日:2024年01月06日
  • ライター:酒井悠
  • 5524 ビュー

割烹旅館 おかもと

久世商店街でまず訪ねたのは、巷では「真庭を代表するパワースポット」とも呼ばれている、こちらのお店「割烹旅館 おかもと」。

140年以上の歴史がある老舗割烹5代目店主の岡本康治さんの「笑顔」に引き寄せられて、人と人が繋がっていく、別名「岡本ホイホイ」。

夜営業の時間はその真骨頂。美味しい料理とお酒も相まって、気付いたら人の輪がどんどんと広がっていく空間に。真庭に人をアテンドする際に、まずは訪問すべき大事な場所です。
こちらの名物ランチは「焼きカレー」。
とろとろのチーズと野菜がたっぷり入り、さらには温玉ものっています!

このアツアツのカレーを、口をハフハフさせながら食べるのがたまらないのです。
また、一見すると普通のヒレカツ定食に見えるこちらのメニューにも、ちょっとした裏話が。

実は「夏子スペシャル」という名前がついており、通常のソース(写真奥)以外に味噌ダレ(写真手前)で食べることができるオプション付き!

料理名になっている「夏子」さんとは、この店の常連である地元のデザイナーさんのこと。夏子さんのリクエストから、このオプションが生まれたんだとか。
そして、こちらもおすすめの「豚かつ重」。
厚みのあるやわらかい豚かつが卵とじになっており、お好みで七味や山椒で食べることのできるメニューです。

他にも名物の「牛鍋」などランチメニューは非常に充実しており、そのクオリティは「ミシュランガイド2021」に掲載されるほど!

昼でも夜でも、岡本さんが提供してくれる料理と笑顔が味わえる老舗割烹です。


【割烹旅館 おかもと】
所在地:真庭市久世2603
TEL:0867-42-0660
営業時間:11:30~14:00、18:00~22:00
定休日:水曜日(日曜日は予約営業)

白寿庵(はくじゅあん)

「白寿庵」は豆腐屋さんの4代目、鈴木尚さんが家族で営む小さなお食事処です。

できたての湯葉と豆腐料理が味わえるということもあり、女性にも人気のお店で、夜は居酒屋として豆腐料理に合う地酒も味わえます。こちらのお店も「ミシュランガイド2021」の掲載店!

店内はテーブル席が2つとカウンター席(7席程度)のコンパクトな空間です。
こちらでいただけるランチメニューは、その名も「湯葉膳」。白寿庵で作られる豆腐と湯葉が存分に味わえる御膳です。
定番の「揚げ出し」や素材の味が感じられる「オケだし豆腐」(一口目は調味料なしで食べるのがおすすめで豆腐の甘さが口いっぱいに広がります)、そして湯葉を使った「湯葉餃子」や「刺身ゆば」など、どれもヘルシーな豆腐と湯葉のオールスターメニュー!

品数も豊富で、舌だけでなく目でも味わえる素敵なラインナップなので、いただく前から心が満たされます。
どの料理も個性があり甲乙つけがたいのですが、なかでも湯葉を薄く細く切って出汁でいただく「湯葉そば」は絶品で、思わずおかわりしたくなる味わいでした。

このランチは数量限定なので、食べたい場合には電話で事前に予約しておくことをおすすめします!

また、製造している豆腐や油揚げなどは、白寿庵以外にも、真庭あぐりガーデンや地元のスーパーなどで販売されています。


【白寿庵】
所在地:真庭市久世2872
TEL:0867-42-0228
営業時間:11:30~14:00 ※金・土曜日は夜営業(18:00~22:00)あり
定休日:水・日曜日

おおにしのお菓子屋さん

大正時代から続く和菓子店「大西菓子舗」をリニューアルした「おおにしのお菓子屋さん」。

大西舞さんのご両親(主にお父さん)がされている整体院の隣にある、レトロな店構えの普段づかいのお菓子屋さんです。
この日、購入したのは「くるみとキャラメルのチーズケーキ」、「ガトーショコラ」、「焼きチョコタルト」、「いちごサンド」の4種類。

どのケーキや焼き菓子にも、使用されている原材料が書かれたポップが添えられており、アレルギーが気になる人も安心して購入できる気遣いとやさしさが感じられました。
ちなみに、店内には2つのテーブルがありイートインができるのですが、よく見ると何やら気になるキズがいくつかあります。

実はこのテーブル、和菓子店を営んでいた大西さんのおじいちゃんが作業台として使っていたもので、当時は1枚の大きな板だったものをリメイクしているそうです。
お店の目印である「ナマケモノ」は、のんびりモノの象徴であり、食べながらのんびりできるような、やさしいお菓子づくりをしている大西さんのイメージにぴったりです。開店の際に更新されるSNS(Instagram・Facebook)では、毎回その日のおすすめのおいしそうなお菓子の写真と、大西さんの人柄が感じられる一言が添えられています。


【おおにしのお菓子屋さん】
所在地:真庭市久世2860
TEL:0867-42-0209
営業時間:10:00〜18:30
定休日:日・月曜日 ※月1回不定休あり

スミダ商店

真庭市内の美味しい野菜や果物を中心に、3代目の住田明大さんがセレクトした豆腐や味噌など、おすすめの食材を届けるアットホームな八百屋「スミダ商店」。

こちらは、真庭の野菜をもっと美味しく食べてもらいたいと住田さん自らが厳選した調味料セット「スミダ商店のさしすせそ」。
色鮮やかで新鮮な野菜が並ぶ店内。

住田さんは野菜ソムリエの資格も持っており、店先で定期的にイベントを開催したり、寒い時期になると店頭で石焼き芋を売ったりと、既存の八百屋の枠組みにとらわれない企画を続けています。
野菜以外にも、真庭の名物である「落合羊羹」や定番の調味料も取り揃えられており、訪問するのが楽しくなるセレクトショップ。昔ながらの懐かしい雰囲気を残した、地元に人に愛される八百屋さんです。
商店街を通じて知り合った仲間と一緒に不定期でミニマルシェを開催することもあるそうで、商店街の名前を冠して開かれる「SHIMoMaCHI(シモマチ:下町)アーケードマーケット」は、市内外から出店者が集まります。地元の人もそれを楽しみにしており、イベントの時にはたくさんの人が訪れるそうです。


【スミダ商店】
所在地:真庭市久世2854
TEL:0867-42-0230
営業時間:8:00~18:30
定休日:日曜日

黒田酒店

「黒田酒店」は、企画・デザイン会社を運営する黒田和美さんが、毎週月曜日にオープンさせる「夜喫茶」がメインのお店です。店名よりも大きく「世界の酒」と書かれていますが、「お酒を置いていない酒屋」として地元で有名なスポットです。
様々なイベントができるスペースとしても重宝されており、お店の奥のスペースはDJプレイやブレイクダンスにも対応。地元の腕利きの人たちが集まり、久世のマンデーナイトを盛り上げています。
とある月曜日には、普段はハンバーガーとクラフトコーラを移動販売している「TENS」さんが「喫茶 天豆」と称してスイーツやコーヒーを提供したり、また別の月曜日にはフルーツサンド屋さんが出店したり、流しのCD屋さんがやってきたりと、その使い方は多彩。
2023年のオープン5周年の際には、市内外からお客さんがお祝いに駆けつけて、盛大なパーティーが開かれました。


【黒田酒店】
所在地:真庭市久世2591
TEL:050-5532-5174
営業時間:月曜日の18:00〜21:00
定休日:火〜日曜日

ビクトリィシアター

「ビクトリィシアター」は、小さな子どもから大人まで楽しめるような映画館を目指し、2022年にオープンした空き家を改修した手づくりのミニシアターです。
定員20席の小さなシアターですが、そのセレクトは映画好きの筆者も唸る作品の数々。

今までに、諏訪敦彦監督『風の電話』、小田香監督『セノーテ』、濱口竜介監督『偶然と想像』、リリー・リナエ監督『太陽と踊らせて』など、国内外の良質な作品が上映されています。
ヴェルナー・ヘルツォーク監督『歩いて見た世界 ブルース・チャトインの足跡』を上演した際には、シアターの支配人の柴田祥子さんの発案でZINEを制作。地元の有志のメンバーによる「旅」をテーマにした興味深い読み物になっていました。
2023年3月には、真庭で初めて開催された映画祭「ニューガーデン映画祭」の会場にもなり、市内外の多くの映画ファンが訪れました。2024年3月にも2度目の映画祭の開催が決まっており、今からどんなラインナップになるのか楽しみです!

今後もシアターのコンセプトにある「人々が映画について自由に語らい、ゆっくり集える場」となるような映画に出会える機会を作ってくれることでしょう。


【ビクトリィシアター】
所在地:真庭市久世2581

山窩(さんか)

そして最後にご紹介するのが、NHKの人気番組「ふるカフェ系 ハルさんの休日」のハルさんも訪れた「山窩」(さんか)。2023年3月にオープンした「旅」と「てしごと(手仕事)」をコンセプトにしたお店で、国内の様々な雑貨が並んでいます。

店主の横山篤さんが、実家の隣にある築約100年の古民家を活用した雑貨店で、とにかくおしゃれ!
土間や畳の和風の空間、趣のある内装に虜になる人が続出!

オープン直後から人気雑誌などで取り上げられ、地元の人はもちろんのこと、お店の評判を聞きつけて県内外から訪れる人が後を絶ちません。
雑貨店ということで季節にちなんだアイテムが並ぶこともあり、レイアウトがゴッソリと変わることも!

鹿児島や岡山県北の有名な雑貨店で10年以上働いていた横山さん。そのキャリアを活かしてセレクトされたアイテムは、いつ来ても飽きない、そして何度でも訪れたくなるラインナップになっています。
番組内で紹介された「おやき」も絶品ですが、横山さんの繋がりでポップアップ的にフードが提供されることもあり、そのフードがどれも美味なセレクトなんです。

以前に鹿児島を拠点にする「ママコト」さんのポークライスを食べたことがありますが、こちらも絶品でした!

これからも横山さんがセレクトするアイテムに期待が膨らむ一方です!


【山窩】
所在地:真庭市久世2538
営業時間:11:00〜17:00
定休日:水〜金曜日

これからも訪れたい魅力的な商店街

今回ご紹介した久世商店街の魅力的なお店やスポットは、それぞれ歩いて5分程度の距離にあり、豆腐屋さんと八百屋さんが「配膳ボーイズ」というバンドを組んでイベントを盛り上げたり、月曜日の夜にお店を横断した企画を実施したりするなど、それぞれ協力しながら地域を盛り上げようと奮闘されています。

ぜひ、一度「クセがスゴい!」久世商店街に足を運んでみてください。
マップを見る

同じテーマの記事

このライターの記事