こだわりの外観1(磯崎眠亀記念館)
まだ幼年だった息子に家を譲ってまで隠居した磯崎眠亀の研究所がこちら。
かつて取り壊す案も出ましたがその価値が認められ今や国の有形文化財に登録。
この記念館および錦莞莚は2017年日本遺産にも登録された最注目のスポットです。
※「一輪の綿花から始まる倉敷物語 ~ 和と洋が織りなす繊維のまち ~」
優美なむくり(ふくらんだ)屋根の町家には隠れたヒミツがいっぱいですよ!
こだわりの外観2
この研究所に引きこもり、奇人扱いされ、家財や庭の梨を売ってまで開発費を捻出し、ついに完成させたのが幻の花むしろ・錦莞莚(きんかんえん)。
明治の発明家磯崎眠亀の冴えわたる頭脳と情熱の館へいざ!
ジャパン・イソザキの足跡(1階作業土間)
さらには海外の博覧会等での受賞歴の数々や、苦心の末開発した織り機(復元機)などを目の当たりにし
日本の輸出品ベスト10入りした錦莞莚(きんかんえん)のスゴさが感じられます。
「ジャパン・イソザキ」と宛名に書くだけで海外から郵便が届いたほどだったそう!
角度は9度(スロープ)
常識に囚われない眠亀マインドが実によく現れています!
荷物の運搬機能はもちろんさらに2つ角を曲がらなければ室内が見えないという秘密保持としての役割も兼務。これは錦莞莚が輸出品として注目を浴びたことで、技を盗もうと忍び込む産業スパイ対策でもありました。
眠亀は自ら所有権保護(特許)発案にも関わり専売特許条例発布の際には願書出願の第1号にもなりました!
眠亀ギャラリー(2階作業場)
精密さはもちろんデザインもとっても洒落てるんです!
市松などの古い模様が主流の中で幾何学・風景など様々なデザインを生み出し、位置を問わず模様を織り込める織り機や「同法以上の良法なし」と工業博士に言わしめた煮沸染色法も開発するなど技を極めました。
戦争時には錦莞莚を孫が小豆島へ疎開させ岡山大空襲から守ったという奇跡もドラマのようです。
この「東海富嶽図」(次男作)は昭和天皇に献上したものと同一で倉敷市指定重要文化財。
錦莞莚は明治天皇を岡山の延養亭にお迎えした際の敷物として使用されたり、大正天皇即位式にも献上された由緒あるい草製品ですが、カニや鳥の愛らしい文様や100年以上前とは信じがたい鮮やかなバラの花の図柄もあったりと革新的なデザインも独自の魅力です。
吹き抜けの滑車(土間)
他にもからくり戸棚など仕掛けがあちこちに。
思いをカタチにする力と推進力。しかも己のためだけではないところが眠亀の最大の人間力!
貿易での不当な扱いには「日本全体のためにも言いなりにはなれぬ」と気概を見せ染色法も「専有することは国家産業の発達を阻害する」と独占せず。
「益公廣」という言葉を好み筋を通した生き方、かっこいいです!
白ひげの瓢翁(1階座敷)
自らを瓢翁と名乗り酒入りひょうたんを手離さなかったとか!
「酒は飲んでも飲まれるな」という戒めのような書に親近感わきます。
死後家族を煩わせないよう生前に操山に墓を建てたり(終活の最先端)!
刑務所内の服役囚に織りを従事させ秘密の漏洩を防ごうと思いついたり!
仰天するような発想力!しかし理にかなっています。
茶屋町みやげ(1階エントランス)
倉敷ブランドとして4種が認定され今も息づく倉敷のい草製品。
明治の好景気の茶屋町は外国人バイヤーが人力車で行き交い「今神戸」と称されるほど賑わったそうです。
そして最新のニュースでは、明治神宮建立の際明治天皇と皇太后のご神体を安置する御神座に錦莞莚が使用されていたという驚きの事実が判明!まだまだ計り知れない奥の深さです!
むしろ織り体験(花むしろ工房)
地域の方との楽しいおしゃべりで地元の空気も味わえ、織ったものは持ち帰りOK!しかも無料!なので観光客のみなさんにも人気です。
事前予約が必要ですが、定期開催もあるのでフラッとどうぞ!
天井まで届きそうな機械の織り機も大迫力ですよ。
※定期開催:毎月第2・4水曜日、第3日曜日(2018年11月現在)