「吉備国 高島宮」はどこ?岡山県内の神武天皇伝説地4選

初代天皇と伝わる神武天皇。『古事記』や『日本書紀』には、今から2500年以上も前の神武天皇東征について書かれています。
神武天皇は日向(宮崎県)を出発し、豊後水道を通り船で東へ進み大和(奈良県)へ向かいます。その途中、「吉備国 高島宮」という行宮(あんぐう:一時的な宮殿)を置き、数年間(『古事記』では8年、『日本書紀』では3年)滞在したと記されています。
この「吉備国 高島宮」については各地に候補があります。今回は岡山県内にある4つの「高島」を紹介します。
掲載日:2021年08月26日
  • ライター:m.k
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高嶋神社(岡山市南区)

「吉備国 高島宮」だと最も有力視されているのが、岡山市南区宮浦にある高島です。児島湾に浮かぶ、周長約1.2kmの小さな島。
対岸から目をこらして見ると、社があるのがわかりました。こちらが高嶋神社です。
島には渡ることができません。対岸に高嶋神社遥拝所があり、高島の方角(北)に向かってお参りができます。

所在地:岡山市南区宮浦3268(遥拝所:宮浦834)

高島(笠岡市)

笠岡諸島の有人島の中で最北端に位置し、本土から一番近い島、高島。笠岡諸島周辺では古くから「笠岡諸島の高島こそが行宮があった地だ」と考えられてきました。高島行宮遺阯碑、占石、眞名井の井戸、高島神社といった神武天皇伝説地があります。
神ト山(かみうらやま)の山頂付近、長い階段をのぼって行くと、高さ約8mという巨大な石が! 「高島行宮遺阯碑」の文字が刻まれています。
約100年前、大正8年(1919年)に高島宮候補地であることをアピールするために建立されたものなのだそう。どのようにこの巨石を運び、設置したのか・・・。「笠岡諸島の高島こそが高島行宮だ」という力強い想いが伝わってくると思いませんか。
高島行宮遺阯碑の少し上、神ト山の山頂には、神武天皇が占いをしていたという伝説が残る「占石」があります。
瀬戸内海の絶景を見晴らすすばらしい眺望でした。日の出の太陽を見ることができるスポットでもあります。神武天皇も瀬戸内海の潮風と朝日を浴びながら、清々しい気持ちで占いをしていたのかもしれませんね。
神ト山の中腹には、神武天皇が神にお供えするために用いられた霊泉と言い伝えられている「眞名井の井戸」があります。
海辺にある高島神社には、2020年、高さ約5mという巨大な神武天皇像が誕生しました。
なんとこちら、河田浩二さんら島民の方が作られたそう! 材料は牡蠣漁などで使われる発泡スチロール製の浮きなのだとか。
高島神社には小さな社があり、行宮跡地として伝わる場所です。
また、高島神社があるのは「王泊」という地域で、神武天皇の滞在からつけられた地名と言われています。

高島神社(岡山市中区) 

岡山市中区賞田にある龍ノ口山の南西にも、高島神社があります。山の中にひっそりとたたずんでいます。
神社手前左に「吉備高島宮址碑」が建っていました。

所在地:岡山市中区賞田295

産土荒神社(倉敷市児島)は見つからず・・・

倉敷市児島塩生にも「高島」という地名があり、神武天皇の行宮伝説が伝わります。サノヤス造船所付近から撮影すると、こんもりと丘になっているのがわかるでしょうか。
この丘の上に「産土荒神社(うぶすなこうじんじゃ)」があるそうなのですが、地元の方いわく「しばらくだれも行ってないから上がれないかも」とのことで、私はたどり着けませんでした。
近くには高島公園という、南北に長い遊歩道を備えた公園があります。工業地帯の中にある緑のオアシス。お散歩が気持ちいいですよ。
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