宇喜多家ゆかりのお寺へ!「金山寺」と「餘慶寺」

岡山の初詣といえば最上稲荷が有名じゃが、岡山には戦国時代の大名・宇喜多氏と江戸時代の大名・池田氏にゆかりの深い寺院が二つある。年末から年始にかけてこれらの寺院にも多くの人が訪れてその年の最初の祈願をする。いろんな行事やイベントも行われておるようじゃ。今回はこの二つの寺院を宇喜多秀家、その妻・豪姫、宇喜多家家臣・戸川秀安がご案内いたしてまいりましょう。
掲載日:2023年12月26日
  • ライター:岡山戦国武将隊
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1.岡山最古の古刹「金山寺」(岡山市)

金山寺は岡山市街の真北の静かな山奥にある天台宗の寺院じゃ。山門、護摩堂、客殿、いちばん上には三重塔と山の斜面に並ぶ山上伽藍がとても美しい。じゃが、山奥というても岡山駅から車で約20分で行くことができる。1300年という県内でも有数の歴史を持つ古刹で、平安時代には宋から帰った栄西も入山したんじゃ。
戦国時代には松田氏により改宗を迫られ伽藍は灰燼に帰した。しかし、松田氏を滅ぼした宇喜多直家により天正3年(1575年)に再興され、その時直家が建てた護摩堂が現存しておる。この宇喜多家に庇護された時代に金山寺は一番繁栄したという。

【金山寺】
所在地:岡山県岡山市北区金山481
TEL:086-228-0926
駐車場:あり

宇喜多家ゆかりの跡も

金山寺中興の祖といわれる永禄11年頃入山した豪円僧正が宇喜多直家の庇護のもと金山寺を再興したとき、本堂と護摩堂が建てられた。本堂は国の重要文化財に指定されておったが、惜しくも2012年失火により焼失してしもうた。
また宇喜多家のお霊屋も金山寺にあったということじゃ。光珍寺にある宇喜多直家の位牌と戦災消失した木像もここ金山寺にあったともいわれておる。このように金山寺は宇喜多家とは関わりの深いお寺である。

金山寺復興事業

ここ金山寺では本堂焼失後直後からの新住職により、様々なお寺の運営と境内の維持、御本尊様、本堂の復興事業などが行われておる。仮本堂の建設、池田光政公寄進の山門の解体修理、文化財級の大きな客殿の維持管理や一般公開などである。
そのいちばんのメインのイベントが正月に行われる初詣の護摩祈願である。

初詣護摩祈願は、1月1日~3日と7日の4日間

毎年1月に行われる初詣護摩祈願には多くの人が訪れる。今年は池田家により建てられた客殿の中に特設の護摩道場を設け、お参りの方の新年の幸せと、厄除け、方位除け、心願成就などをお祈りするものじゃ。
尚、期間中のお供えは全て金山寺復興基金として積み立てられるので、宇喜多家と池田家ゆかりのお寺の復興にも一役買えるので是非訪れていただきたいと思う。次は金山寺の見どころ、魅力についてご紹介いたそう。

江戸時代の殿様の居所・客殿

金山寺の客殿は江戸時代池田家により金山寺の迎賓館として、増築を繰り返しながら建てられたものなんじゃ。岡山藩の岡山城などのお城の御殿はいま全く現存しておらんが、殿様の居所であるお城の御殿を彷彿とさせるとても豪華で美しく、貴重なものなんじゃ。逆遠近法によって描かれた襖絵はとても不思議じゃ。江戸時代のトリックアートじゃ!客殿の拝観は是非おすすめしたい。拝観後には美味しいお茶の接待もしていただけ、とてもほっこりした。

無形文化の継承・温座と会陽(金山寺が発祥)

また、金山寺ではお寺の運営・管理と復興事業の他にもう一つ、守り、伝えているものがあるんじゃ。それが「温座」と「会陽」である。
温座とは『温座秘密陀羅尼会』という密教修法で、金山寺では明治以降途絶えていた。理由は定かではないが、江戸時代末に東京の浅草寺に移されて現在でも最重要行事として続いているそうじゃ。金山寺では2年前、ご住職と有志の方々により復活したんじゃ。
そして会陽。西大寺観音院のはだか祭が有名じゃが、ここ金山寺が発祥の地といわれ600年続く伝統行事。岡山県下一番に開催され、来年(2024年)も2月4日に行われる。日本三大奇祭の一つとされ、裸の男たちが温座に依って御祈祷された護符である宝木を巡って争奪戦を繰り広げるお祀りじゃ。

人気のユニークな「招き猫美術館」とコラボ

また金山寺より車で約2分のところにある「招き猫美術館」と長年コラボしておられる。
古今東西の招き猫が約800体展示されており、とてもユニークな珍しい美術館として人気なんじゃ。金山寺との共通拝観割引券もある。金山寺の復興事業にも協力されており、招き猫の御守や御朱印帳などのとっても可愛いグッズの売上げが全て金山寺のために積み立てられておる。
尚、正月の4日間の護摩祈願を受けた方には招き猫美術館の無料招待券が配られるので、こちらにも是非一緒に訪れてみたらよいじゃろう。

【招き猫美術館】
所在地:岡山県岡山市北区金山寺865-1
営業時間 :10:00~17:00(入館は16:30まで)
定休日 :水曜日(祝日・夏休み期間・年末年始開館)
※2023年12月27日(水)、2024年1月3日(水)は開館

2.一山一寺多院制の伽藍構成が今に残る上寺山餘慶寺(瀬戸内市)

上寺山餘慶寺は1270年あまりの歴史がある天台宗のお寺じゃ。
七堂伽藍を誇り繁栄したが12世紀末の源平争乱に巻き込まれ支院や三重塔を焼失。その後時代とともに復興も進み、江戸時代には岡山藩池田家の庇護により最盛期をむかえた。7院13坊を数えたが、現在でもその内6院が残っており、地方ではとても貴重な昔の一山一寺多院制の様子を垣間見ることができるお寺なんじゃ。

貴重な文化財も多く残る餘慶寺

ここ餘慶寺には国指定の重要文化財として、本堂(観音堂)と仏像の木造薬師如来坐像(もくぞうやくしにょらいざぞう)と木造聖観世音菩薩立像(もくぞうしょうかんぜおんぼさつりゅうぞう)が指定されておる。
県の重要文化財として三重塔と梵鐘と木造十一面観世音菩薩立像(もくぞうじゅういちめんかんぜおんぼさつりゅうぞう)が指定。さらに、市の重要文化財として、鐘楼と薬師堂が指定されておる。
このように餘慶寺は文化財の宝庫なんじゃ。これらの寺宝は毎年春の桜まつりと秋の寺宝展で公開されておる。

宇喜多家ともゆかりのある寺

鐘楼に吊るされている梵鐘は宇喜多秀家が天正15年(1587年)に寄進したと伝えられているものじゃ。梵鐘は刻まれた銘文によると元亀2年(1571)年に明国(現在の中国)の2人が願主として大分で鋳造されたもので、豊臣秀吉の九州征伐に参加した宇喜多秀家が寄進したという。

そしてあと一つ、明王院脇に立つ石碑がある。これは、宇喜多家の祖先と言われておる児島高徳・和田一族の供養塔なんじゃ。宇喜多家の旗印である「兒」はこの祖先である児島氏から取っているのじゃ。

幻想的な年末年始のライトアップ!

毎年、年末には境内がライトアップされとても幻想的な雰囲気になる。今年も30日・31日に行われる。除夜の鐘も宇喜多秀家の寄進した梵鐘を撞くことができる。殿の寄進した梵鐘を撞いてみたいものじゃ。

力石と穴太積みの石垣

餘慶寺には「豊原北島神社」が隣接しておるが、これは神仏習合の形態を今にとどめているものなんじゃ。この豊原北島神社に力石がある。大きさの割には重たい!150㎏あるそうじゃ。幕末活躍した「二つ石」という四股名の力士が担いで奉納したもので、後世の方も挑戦を!ということらしい。戸川秀安殿が挑戦したが、持ち上がらなんだ。
そして、餘慶寺会館の前には石垣で囲まれた池に弁天社がある。池の中にあるお社の回りを歳の数だけ回るとおかげがあるということじゃ。
実は、ここの石垣は「穴太積み」という戦国時代末期より発展したお城の石垣を積む技法で積まれておるんじゃ。昔から現代までこの技法を守り伝承して来た石工集団により近年施工されたものなんじゃ。鏡石と言われる巨大な石材も見ることができ必見じゃ。

お寺にピアノ!?

本堂奥に八角堂がある。餘慶寺を開いた報恩大師をまつるお堂で、内部にはなんとグランドピアノが置かれておる。「お寺deピアノ」と名付けられておって、誰でも弾けるストリートピアノならぬテンプルピアノじゃ。びっくりしたが、なんと秀家様、席に着くや否や演奏を始められ、妙音を奉納されておった。

【餘慶寺】
所在地:岡山県瀬戸内市邑久町北島1187
参拝時間:8:00~17:00
TEL:086-942-0186
駐車場:あり

おしまいに

今回は宇喜多家、池田家に関わりの深い二つの寺院を訪ねてみましたが、両寺院ともに長い歴史をもち、貴重な文化財も大切に守ってきておられる。
四季折々の美しい姿をお参りした我々に見せてくれる両寺院じゃが、より仏様とのつながりを感じられるこの寒い冬の季節、一年の始まりに歴史も感じながら訪れて頂きたい。
共にお参りして仏様とつながった証として御朱印も受付にて頂ける。
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