キュートで丈夫な雑貨いろいろ。素材はなんと『畳縁』

倉敷市児島は、国内シェアの約8割を占める畳縁(たたみべり)の産地

大規模な干拓地である現在の倉敷市児島地域で、江戸時代に塩分に強い綿の栽培が始まりました。その後、綿を用いる繊維産業が興り、小倉織りや真田紐作りが発達していきます。そして昭和時代、住宅の新築ラッシュに後押しされ、細巾織物の一種である畳縁が盛んに製造されるようになりました。
変遷する児島機業の中でも長い歴史を持つ細巾織物の伝統を守り続けているのが、倉敷市児島の唐琴地区。この地で作られる畳縁は、国内シェアの約8割を占めています。

畳縁の常識を覆す老舗が提案する、畳縁の新たな用途

明治25(1892)年に「備前小倉帯地」の製造で創業した「髙田織物」は、昭和初期から畳縁を作るようになりました。
「伝統は伝統として大切にしつつ、新しい畳縁を提案し、畳という日本文化のよさを多くの人に知ってほしい」。そんな創業者の思いを受け継ぎ、従来の畳縁には見られなかったさまざまな色やデザインの畳縁を全国に発信しています。その数1000種類というバリエーション豊富な畳縁は、今や全国シェアの35%を占めています。
髙田織物では、「この地が畳縁の生産地であることを知ってもらい、素材に関心をもってもらいたい」と、10年ほど前から新たな用途の開発にも取り組んできました。

デザイン性が高くて丈夫。畳縁で作る雑貨の数々

軽くて丈夫な畳縁は立体的な加工にも適するため、数センチ幅の織物に無限の柄が生み出されるバリエーションの豊富さも活かして多彩な雑貨を生み出しています。たとえば、バッグやペンケース、小銭入れ、カードケース、ポーチなど。他にも、畳縁でアクセントをつけた祝儀袋などあります。
伝統的な素材と新たな感性の出合いから生まれた畳縁グッズを、日常生活に取り入れてみてはいかがでしょう。

取材協力:髙田織物株式会社