密かに気になる岡山の名所の句碑・文学碑おすすめ9選

東洋のジャンヌダルク。ユーモアあふれる小説家。古代吉備国の悲恋の姫さま。岡山にゆかりのある歴史上の人物たちが残した言葉たち。きっとココロに刻まれますよ。
掲載日:2023年11月30日
  • ライター:おもとまちこ
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1.宗祇法師(瀬戸内市/牛窓港)

〈牛窓や如何なる神の誓にや 浮きたる石の流れざるらむ〉。
室町時代の詩歌人・宗祇法師は、あの西行や芭蕉とともに「放浪三代詩人」とも称された程だったんだとか。諸国漫遊の途中で立ち寄ったという牛窓。瀬戸内海がキラキラと輝く波濤崎(はとうざき)には、牛窓の情景を詠んだ歌が刻まれています。

【波濤崎】
所在地:瀬戸内市牛窓町牛窓4173(キッチンかいぞく付近)

2.悲恋の姫さま・黒姫(総社市/JR総社駅前)

〈やまとへに西風ふきあけて雲離れ 退きおりとも我忘れめや〉。
とにかく美しかったという吉備の海部直(あまべのあたへ)の娘・黒姫は、仁徳天皇の寵愛をうけますが皇后に妬まれ都を追われてしまったんだとか。古事記にものっているという悲しいロマンス。詠むことで、姫のこころは晴れたのでしょうか。岡山の各地に黒姫ゆかりの地が残っています。

【JR総社駅】
所在地:総社市駅前1(東口ロータリー)

3.自虐的?小説家・木山捷平(笠岡市/笠岡市立図書館前庭)

〈濡縁におき忘れた下駄に雨がふっているやうな どうせ濡れだしたものならもっと濡らしておいてやれといふような そんな具合にして僕の五十年も暮れようとしてゐた〉。
笠岡市内に生家の残る小説家・木山捷平(しょうへい)の詩碑です。ユーモアも、人間味もあふれる等身大の表現に、ひっそり共感したくなる人も多いのではないでしょうか。

【笠岡市立図書館】
所在地:笠岡市六番町1-15

4.竹内栖鳳(せいほう)に師事した日本画家・小野竹喬(笠岡市/竹喬美術館前)

〈虚心になると自然は近づいてくる〉。
まさに虚心そのもの。竹喬(ちっきょう)の心洗われるような世界観をよく現わした言葉です。ふるさとの美を、日本の美を、素直にニュートラルに描いた笠岡出身の日本画家・小野竹喬。美術館を訪れ89年の画業にふれると、きっと竹喬のファンになりますよ。

【竹喬美術館】
所在地:笠岡市六番町1-17
TEL:0865-63-3967
※2024年3月15日まで館内メンテナンス期間中のため休館。石碑は入り口付近にあるため見学可。

5.センチメンタルポエマー・竹下夢二(備前市/JR邑久駅前)

〈待てど暮らせど来ぬ人を宵待草のやるせなさ 今宵は月も出ぬさうな〉。
大正ロマンあふれる作品で人気を博した画家詩人・竹下夢二。ふるさと邑久町の駅前に、儚すぎる詩歌「宵待草」の歌碑はあります。記念館になっている16歳まで暮らした生家では、夢二のまなざしの原点を感じることができますよ。

【JR邑久駅】
所在地:瀬戸内市邑久町山田庄186-3

6.実家の酒造を継いだ歌人・中村憲吉(岡山市/岡山後楽園)

〈春さむき梅の疎林をゆく鶴の 高く歩みて枝をくぐらず〉。
近代短歌界のリーダー的歌人として活躍した中村憲吉が、後楽園の梅園を優雅に歩くタンチョウツルを詠んだ歌です。戦後までは自由に園内を歩いていたというタンチョウツル。今では秋から冬にかけて園内放鳥(日時限定)されています。

【岡山後楽園】
所在地:岡山市北区後楽園1-5
開園時間:3月20日~9月30日 7:00~18:00、10月1日~3月19日 8:00~17:00
入園料:大人410円、高校生以下無料
TEL:086-272-1148

7.岡山生まれのジャンヌダルク・福田英子(岡山市/野田屋町公園)

〈妾が過ぎ来し方は蹉跌の上の蹉跌なりき されど妾は常に戦えり 蹉跌のためにかつて一度も怯みし事なし〉。
岡山藩士の父をもち、自由民権運動の先駆者として生きた福田英子の碑が、西川緑道そばの公園にたてられています。婦人解放、人間解放。逮捕・投獄・結婚など、激動の半生がこめられた一節です。

【野田屋町公園】
所在地:岡山市北区野田屋町2-1

8.高浜虚子から学んだ俳人・山口誓子(津山市/衆楽園)

〈絲櫻 水にも地にも 枝を垂れ〉。
中国山地を借景にした壮大な奥行き。旧津山藩別邸の大名庭園・衆楽園を吟行し、この句を詠んだのは近代俳句の第一人者・山口誓子(せいし)です。本名の「ちかひこ」から、「ちかいこ」→「誓い子」という俳号を用いるようになったという、ちょっと面白い由来でも知られています。

【衆楽園】
所在地:津山市山北628
開園時間:4~10月 7:00~20:00、11月~3月 7:00~17:00
休園日:なし
TEL:0868-32-2097

9.芭蕉にも影響をあたえた俳人・西山宗因(津山市/聖徳寺)

〈月見れば こよひなりけり 旅の空〉。
井原西鶴を弟子にもち、俳句の祖とも称された西山宗因(そういん)は、大坂を出て、備前片上から上陸。馬で和気に入って津山を訪れ、聖徳寺(しょうとくじ)に長く滞在したんだとか。江戸時代の人気俳人が旅先の津山で見た中秋の名月。その情景を思い浮かべる現代人。1つの句が、歌が、どこかへつながっていくんだな。

【聖徳寺】
所在地:津山市小田中1416
TEL:0868-22-4459
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