株式会社角南製造所
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株式会社角南製造所
岡山市北区芳賀は、“桃の女王”とも呼ばれる「清水白桃」発祥の地として知られます。同地区で昭和10年(1935年)に創業した株式会社角南製造所は、清水白桃をはじめ、マスカットやピオーネなど、岡山県産の青果物を使った缶詰やゼリーの製造を手掛ける果実加工メーカーです。
完熟度を正確に見極め、手作業にこだわった加工によって、素材の風味を最大限に引き出す製品づくりを続けており、なかでも、平成17年(2005年)に開発した「岡山県産まるごと完熟トマトゼリー」は、3年連続でモンドセレクション金賞を受賞。県産素材の魅力を全国に発信し、岡山県のイメージ向上に貢献しています。
岡山県産の青果物に特化した缶詰の製造
「以前は、果物だけでなくタケノコやグリンピース、フキや栗など様々な缶詰を製造していました。」そう話すのは常務取締役の角南勇気さんです。創業当時は、主に軍事用の缶詰を手がけていましたが、戦後は果実や野菜の缶詰を業務用として食品メーカーに納入するほか、贈答用缶詰の製造を行うようになりました。転機となったのは昭和48年(1973年)のことです。大手百貨店・髙島屋の社長が、角南製造所の手掛ける清水白桃の缶詰の味を絶賛。プライベートブランドとして販売することが決まったのです。そのため近隣農家に白桃の増産を依頼。このことが清水白桃のブランド化を加速させたといわれています。また、これ以降、同社は岡山が誇るフルーツをはじめ、県産の青果物に特化した缶詰メーカーへと方針転換していくことになります。
職人の高い技術で、おいしさと安全性を実現
同社が手掛ける商品のうち、代表的なものは清水白桃の缶詰です。そのおいしさの秘密は、長年の経験に裏付けされた白桃の完熟度を見極める技術と、皮の手むきにこだわっている点にあります。「収穫した桃は倉庫でまず追熟を行い、最適なタイミングで素早く加工します。通常の缶詰会社では効率面から薬剤で皮を溶かして加工することが多いのですが、当社は手むきで処理することで、皮と果肉の間にある最もおいしい箇所をすべて残しています。そのため、香りが良く、とろけるような食感を楽しめます。」と角南さん。岡山の白桃は肉質がやわらかく、皮むきは大変ですが、食の安全性にも配慮した結果、現在の形を続けているそうです。
また、白桃と同じくらい人気が高いのがマスカットの缶詰です。白桃の皮むきと同様に、マスカットの種とりも手作業で行います。形を崩さないようスピーディーに作業する様はまさに職人技で、いずれも歴10年以上の熟練スタッフが担当。現在一番高齢の方は90歳なのだそうです。
市場に出回らない県産トマトを高級ゼリーに
もう一つの転機は、県産のトマトを使ったゼリーの開発です。ある時、近隣の農家から売れずに廃棄されてしまう小ぶりのトマトについて相談があり、日頃お世話になっている農家をなんとか助けたいという気持ちから、商品開発をスタート。最初は青臭さが残ってしまうなど失敗が続きましたが、湯むきして洋酒やレモンを加えるなどの試行錯誤を重ね、ようやくトマトそのものが持つおいしさが伝わる、これまでにないゼリーが完成しました。
県産トマトをまるごと一つ使用した、この「元祖まるごと完熟トマトゼリー」は、初年度こそ思うように売れませんでしたが、テレビ番組で紹介されたことで注目を集め、予約が殺到するヒット商品に。さらに、平成22年(2010年)から3年連続でモンドセレクション金賞を受賞するなど、その品質は高く評価されています。現在は原料のトマトが入手しづらくなっているため製造休止となっていますが、安定的な製造に向けて準備中とのことです。
豊富なラインナップ、お土産としても人気
現在、同社が展開している商品ラインナップは、贈答用のギフトとして人気の高い清水白桃やマスカットなどの高級フルーツ缶詰のほか、瓶詰コンポートやジャム、ジュレなど、お土産として手に取りやすい製品も揃います。なかでも、県産フルーツの果肉を贅沢にすりつぶしたゼリーをキャップ付きの容器にとじこめた「飲むジュレ」は、携帯してお出かけ先でも気軽に楽しめると人気です。
これらの製品は、百貨店等のプライベートブランドとして展開されているほか、駅や空港、サービスエリアなどでも幅広く販売。近年は「フルーツアンシャンテ」というブランド名で、自社製品の販売にも力を入れています。
誠実な製品づくりで、県産青果物のおいしさを世界に
県産の青果物を主な原料として、高品質な製品づくりを続ける角南製造所。お客様が口にするものだからと、検品は一つ一つ目視で行い、仕上げに金属探知機チェックまで行うなど、食の安全確保も徹底しています。
今後について角南さんは、「手むき、薬品不使用など昔ながらの良い面を残しながら、新しいものを作りたい。会社の知名度が県産品の知名度にもつながると思うので、国内はもちろん、今後は海外の方にも『桃といえば岡山』と思ってもらえるようがんばりたいです。」と、ますます意欲的です。
令和7年(2025年)には創業90周年を迎えた角南製造所。素材を生かし安全性にこだわった誠実な製品づくりで、岡山県の青果物のおいしさとを魅力を、国内外に伝え続けています。



































