源平合戦と藤戸寺から始まった「藤戸まんぢゅう」の物語
江戸期の元禄時代頃まで藤戸寺の茶店で提供され、その後、饅頭をつくっていた民家「饅座小屋」での販売を経て、万延元年(1860年)に現在地で「藤戸饅頭本舗」として暖簾を掲げて、地元の生活に深く根付いてきたそうです。
素材と製法へのこだわり
昭和の雰囲気が色濃く残る本店、ガラスケースや時計、扉など、一気にタイムスリップしたような感覚になります。
近年まで店舗で製造販売されていたのは、「藤戸まんぢゅう」一種類のみ。その味を支えているのは変わらぬ素材で、社長曰く「創業以来、小豆は北海道十勝産を使用。薄皮となる酒粕は、古くから付き合いのある蔵元のものだけを使い続け、作りたてを味わってほしいという想いから添加物は一切使いません」とのこと。賞味期限が3日というのも、そのこだわりを表しています。
一番人気のブランド品「竹の皮包み」
「この包装が贈り物や手土産としてとても喜ばれるんですよ」とのことで、藤戸まんぢゅうに馴染み深い私も、「藤戸まんぢゅうといえば竹の皮」のイメージがあります。他にも紙箱入りは数量別で7タイプ、お祝い事などには格調高い木箱入りもあります。
老舗を守りつづけていくために
「欲張らず、着実に。この味を地元の人と、訪れた人のために守っていきたい」。
金本社長は伝統を守りながら時代と共に藤戸まんぢゅうを残すべく努力を重ね、その一環として平成2年に倉敷市串田に製造工場を新設。衛生面や安定供給を確保しつつ、味と品質を守り続けています。
実はパッケージに使うロゴや掛け紙のデザインも平成中期に刷新されています。「伝統を守り続けるために世界観を壊すことなく、自然に受け入れていただけるように配慮しています」とのこと。また味についても、「時代に合わせて少しずつかえているんですよ」と、見えないところで伝統を守り続ける配慮があることをあらためて知りました。
老舗だからこそできること
金本社長の考えを尊重しつつ、そのバトンを受け取ったのが長女の金本昌子さん。
倉敷市の人気カフェ「スケアクロウ」とのコラボマフィン、真庭市の「ジェラート醍醐桜」&「御前酒蔵元 辻本店」とのコラボジェラート。徹底的にペアリングを検証した「雁ヶ音ブレンド茶(煎茶/ほうじ茶)」、「コーヒー」など、柔軟な発想と行動力で老舗の枠を超えた商品を次々と形にしています。
※マフィン、コーヒーはイベント限定販売です。
※ジェラートは「藤戸饅頭本舗」では販売していません、お問い合わせは「ジェラート醍醐桜」まで。
ジェラート醍醐桜|公式サイトはこちら→https://daigozakura.jp/
人気のあんチョコペースト
チョコレート専門店「@alfer」とコラボ開発したあんチョコペーストとナッツを挟んだ「もなか」も好評です。藤戸まんぢゅう伝統のこしあんを挟んだタイプもあり、どちらもおすすめです。
※もなかの販売は本店だけの取り扱いとなります。
また本店では、月1回の店頭イベントを不定期で開催しており、人気商品は午前中の早いうちに完売するほど。イベント告知は公式Instagramで発信しています。マフィンやコーヒーに出会いたい方はぜひ!
串田工場でも購入できます
先に紹介した「あんチョコペースト」も購入できます。店頭に車も停めやすく、オープンと同時に出張などの手土産を求めるお客さまで賑わう日も珍しくありません。
大事なことなので、もう一度書きますが「もなか」はこちらでは購入できません。
え!?本当に?おすすめの食べ方
なのですが、社長のオススメがもうひとつ!なんと意外にも「天ぷら」!「これがなあ、うまいんよ」とのことで、実際にやってみました。
藤戸まんぢゅうにそのまま衣をつけてサッと揚げて、熱々をいただきます!「あ、おいしい」。サクッとした衣と熱いあんこ、好相性です。おやつとしてはもちろん、甘いものとお酒を一緒に愉しむ私は日本酒のアテにしましたが、リピートしたいですね(好みがありますので、自己判断で)。
食べない「藤戸まんぢゅう」オリジナルグッズも好評!
新たな展開は「食べないけど、暮らしのそばにある藤戸まんぢゅう」という発想にも。
倉敷・岡山・福山(広島県)に展開中の大型文具店「うさぎや」プロデュースのオリジナルポールペンには、ボディのロゴと「10個入り竹皮包み」のチャームが。また倉敷といえば、カモ井加工紙のmt「マスキングテープ」。こちらも色んなシーンで活躍できるデザインが魅力です。今後のグッズ展開も期待してしまいますね。
藤戸の歴史と共にこれまでも、これからも
【藤戸饅頭本舗 本店】
所在地:岡山県倉敷市藤戸町藤戸48
TEL:086-428-1034
営業時間:8:00〜17:00
休業日:火曜日、第2水曜日
※商品がなくなり次第閉店の場合もあります。
【藤戸饅頭本舗 串田店】
所在地:岡山県倉敷市串田919-3
TEL:086-485-3221
営業時間:8:00〜17:00
休業日:火曜日、第2水曜日
※商品がなくなり次第閉店の場合もあります。
藤戸まんぢゅう|公式Instagramはこちら→https://www.instagram.com/fujitomanjyu/
どこで買える?
※店舗や販売日などの制約がある場合もあります。
周辺のみどころ|源平合戦ゆかりの地
「藤戸饅頭本舗本店」は、馬に乗って海を渡り平家軍と戦ったとされる武将・佐々木盛綱の銅像がある「盛綱橋」のたもとにあります。この辺りは1184年に源平の「藤戸合戦」があった地で、多くの史跡が残っています。
藤戸寺をはじめ、経ヶ島(きょうがしま)や笹無山(ささなしやま)など、気候の良い時期には自転車やウォーキングで巡ってはいかがでしょうか?倉敷川沿いの藤棚、藤戸寺の「平家物語」で有名な沙羅双樹や桜、紫陽花など季節の花も楽しめます。