倉敷美観地区の町屋喫茶に映画館が誕生。『蔵のある街』だけを70年間上映!
2025年の暮れに倉敷美観地区に開館した「倉敷映画館」。座席数10席のこの小さな映画館は、全編倉敷で撮影された映画『蔵のある街』(2025年夏全国公開)専用の映画館です。驚くことに上映期間はなんと2095年まで!70年間にわたって『蔵のある街』だけを上映しているんです。今回は映画にエキストラ出演もしたライターが、1つの映画を超々ロング上映する「倉敷映画館」について紹介します。(画像提供:つなぐ映画『蔵のある街』実行委員会 )※無断転載禁止
- ライター
- イマオカ マコト
- 掲載日
- 2026年4月2日
目次
オール倉敷ロケ映画『蔵のある街』について
「倉敷映画館」で上映中の映画『蔵のある街』は、メガホンをとった倉敷市出身の平松恵美子監督の同級生を主要メンバーとする「つなぐ映画『蔵のある街』実行委員会」が主体となり、地域の人たちの関わりの中から生まれ、地元企業をはじめとした多数の協賛などにより製作された作品です。
内容はそれぞれ違う状況に身を置く高校生たちの約束が紆余曲折して、さまざまな人や街とつながっていくというストーリー。脚本も手掛けた平松監督は「人と人、世代、まちがつながっていくきっかけにもなれば」「舞台は倉敷だけど、どのまちにも当てはまることです」と話しています。
※画像無断転載禁止
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町屋喫茶の2階に開館した「倉敷映画館」
「倉敷映画館」は、倉敷美観地区にある人気カフェ「町家喫茶 三宅商店」の2階に、2025年12月22日(冬至)に開館しました。席数は10席という小規模の映画館で『蔵のある街』の世界にどっぷりと没入できる空間になっています。このスペースは元々、三宅商店の客席だったのですが『蔵のある街』専門の上映館として、ゼロから整備されました。
「倉敷映画館」について、三宅商店の店主で、つなぐ映画『蔵のある街』実行委員会・発起人の一人でもある辻信行さんにうかがいました。
1つの作品を70年間上映!
まず70年間という超ロングラン上映についてうかがうと、「映画製作に関わった実行委員会の責任として映画の著作権のある期間は上映を続けたい、それが70年なんですね。それとこのまちで商いを続ける“地域人”としてこの映画のメッセージを伝えていきたい」と辻さん。「僕の言う“地域人”というのは、ひと昔前は倉敷にも沢山いたんだけど、“地域で仕事をして、若者に今までのことを伝えながら、まちを未来に残していく人”のこと」。「その“地域人”として、最初は色々動いていると周りに“おまえ、なんで訳のわからんことをやってるんだ?”って言われたりもしたけど、僕はずっと地域と共に生きることを実践してきてるんです」。実行委員と地域人としての想いが込められた「倉敷映画館」は、映画を観るための場であり、地域を残していくための場としても存在するという、強い芯のある場所だと実感しました。 「70年後の2095年には、平松監督も実行委員会メンバーもいないんだけど、主演の二人(山時聡真さん、中島瑠菜さん)は90歳くらいかなあ」と辻さんは笑います。
館内は“倉敷”のこだわりが満載
映画の舞台である“倉敷”にもこだわっています。椅子は倉敷市真備町で竹を使ってインテリアや小物を製造・販売している「株式会社テオリ」製。リラックスしながら映画を鑑賞できます。壁は倉敷・児島特産のデニム(廃棄予定の端材)を混ぜ込んだ珪藻土。音響にも細心の注意を払っており、10席という空間で一般シアターよりも没入できるかもしれません 。
隣接の「つなぐサロン」の畳縁にも古着のデニムが使用されています。サロンにはフォトスポット、等身大パネル、メイキング写真が展示されており、「つなぐノート」には鑑賞後の感想がどんどん増えています。このサロンはその名の通り『蔵のある街』を通じて人と人をつなぐ場所で、交流も生まれています。シネマコンプレックスなどの大型シアターとはまた違った魅力に溢れる映画館です。
映画の世界とロケ地の融合
「倉敷映画館」はなぜこの場所にあるのか。辻さんは「単体の映画館をつくったとしても存続は難しい」と話します。確かに昔は全国の商店街にあった映画館もほとんど姿を消しています。「孤立した映画館ではなく人の流れの中にあって、目に触れるようにしたい。カフェにあることで、日常の延長の中に映画館が自然に組み込まれているようにしたい」と辻さん。
また、このロケーションも映画の世界と共にあり、「三宅商店のある倉敷美観地区は作品のメインのロケ地なので、映画鑑賞後に店外に出ると、正面も右も左もそこはもう映画の世界なんです。三宅商店の目の前でも主人公の二人が絡むシーンを撮影してるんですよ。映画を見てすぐに作品と現実の両方で倉敷を楽しめるって最高でしょ!」と満面の笑顔です。
※この項の画像は全て「倉敷映画館」周辺です(画像無断転載禁止)
町家喫茶 三宅商店
「三宅商店」は町家喫茶とあるように、2004年に空き家だった町家をリノベーションしてオープンした、このエリアで「古民家再生」カフェのパイオニア的な存在です。このカフェにも意味があると辻さん。「観光地で都合のいい関わり方はしたくない。“地域人”としてのカフェをつくりたかったんです」。例えば、農家の方々が苦労して生育した野菜や果物も形が悪いと本来の出荷ができない。そんな農作物を可能な限り多く正規に買い取り、食材として使用したり加工品にして提供するという考えをオープン時から実践しているのもその思いから。看板メニューの「三宅カレー」や「季節のパフェ」、「スイーツ」など、三宅商店のメニューにはそんな想いが込められています。
【町家喫茶 三宅商店】
所在地:岡山県倉敷市本町3-11
TEL:086-426-4600(ランチタイムを避けてご連絡を)
営業時間:11:30〜17:00(日曜日のみ8:30〜17:00)
定休日:なし
駐車場:なし(近隣の有料駐車場を利用)
ワンストップで心もお腹も満足
カフェと映画館が同じ場所にあるというのは鑑賞に訪れた人にも嬉しい「つながり」。上映前にカフェでドリンクをオーダーすると、映画館まで届けてくれるのもポイントです。また鑑賞前や鑑賞後の食事もワンストップ。雨天の日などにも有難い環境で、ロケ地散策の起点にしてゴールにも設定できる場所です。
ちょうど取材時、平松恵美子監督が「三宅商店」に!「つなぐ」映画の効果でしょうか。監督と辻さんは楽しそうにパフェをシェア、お二人のこういった飾らないところも魅力ですね。せっかくのご縁なので監督にも写真に出演をお願いしました。
つなぐ映画、つなぐ場所
取材してみて、映画『蔵のある街』と「倉敷映画館」は、もしかしたら最初からつながる前提でつくられているのかもというくらいのリンク性を感じました。映画をつくって終わりではなく、そのあともまちで上映し続けること。そして映画を観た人がそのまま外に出て、まちの中で続きを感じられること。その両方を成立させるために、この場所があるんだと。70年という期間は一聞すると突拍子もないけど、話を聞いているとそのくらいかけないと伝わらないものもあるのかもしれないと思えてきます。
ここは映画館というより、映画とまちの関係を残し伝えていくための拠点。「倉敷映画館」は、そんな役割を持った場所になりそうです。
【倉敷映画館】
所在地:岡山県倉敷市本町3-11(町家喫茶 三宅商店2F)
TEL:086-426-4600(ランチタイムを避けてご連絡を)
上映時間:10:40〜12:15/14:00〜15:45/16:00〜17:45
※鑑賞は予約制です、公式サイトよりご予約ください。
(PCやスマホの操作が難しい方は電話でお問い合わせください)
定休日:なし
駐車場:なし(近隣の有料駐車場を利用)
紹介したスポットの場所(地図)
- 倉敷映画館(町家喫茶 三宅商店)
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