圧倒的、石垣っ…!桜の名所、津山城は戦う城だった。

桜の名所として知られている津山城(鶴山公園)。森蘭丸の弟が城主、ということ以外にも、圧倒的守備力を誇る石垣や兵力を示す仕掛けが満載。天守がなくとも溢れる魅力に満ち満ちているのです。桜もいいけど、お城もね!
掲載日:2018年03月28日
  • ライター:  
  • 16103 ビュー

西日本有数の桜の名所、津山城(鶴山公園)

津山藩主の森忠政が、12年かけて1616年に完成させた平山城。立派な天守や櫓など多数の建物を有していましたが、1871年の廃城令を受けて取り壊しに。しかし、今なお残る圧倒的な石垣、復元された備中櫓が見る人を惹きつけてやみません。
春は西日本有数の桜の名所として知られ、毎年行われる「津山さくらまつり」を目当てに、大勢の花見客でにぎわいます。

①築城主は、あの森蘭丸の弟さん!

築城主の森忠政といえば、森蘭丸の弟として有名。6人兄弟の末っ子でしたが、長男・次男が戦で討死。三男の蘭丸と四男・五男は本能寺の変で亡くなり、いきなり森家の家督が回ってきたってワケです!
当主となってからは城の改築を何度も繰り返して技術を磨き、豊臣秀吉の下で名護屋城や伏見城の普請にも携わることで、着実に知識を高めていったそう。
秀吉亡き後は徳川家康に接近。関ヶ原の戦いでは、東軍として参戦しました。

②まるで迷路か要塞か。守備力バツグンの石垣

今なお残る、反り立った石垣の数々。この、ひな壇のように段々になった石垣は「一二三段(ひふみだん)」と呼ばれ、見る人に大きな威圧感を与えました。
攻めるに難いとは正にこのこと。迷路のように立ちはだかる石垣と、複雑に折り曲がる通路のせいで、階段の先がどこに通じているのか、どこに行けば良いのか、全く読めず、不安な気持ちに…。
一方で、石垣の上からは階段を登る侵入者を、簡単に狙撃できそうな見晴らしの良さ。攻めようという気力すらわいてきませんね。

③櫓や城門など、100を超える建造物

通常、20棟でも多いとされている城内の建造物。それが津山城は100を超えていたというから、尋常じゃありません。なぜでしょう?忠政が津山城を建てた時、この土地は地元の豪族たちが多数拮抗しながら支配していました。それらの豪族たちに威圧感を与え、森家の持つ巨大な兵力を見せつけるためだったと言われています。
すべての建造物は取り壊されましたが、平成になって唯一復元された「備中櫓」はそれらの建造物の中でも最大級だったといわれています。
写真のように「石落とし」「狭間」が設けられ、侵入者を排除する気マンマン。
櫓でありながら日々の生活空間としても使われていたらしく、どの部屋にも畳が敷かれており、茶室も備えられています。壁紙はよーく見ると、美しい森家の鶴の家紋が…。勇ましさの中に優雅さを感じる、繊細なこだわりが伺えます。
内部は無料で見学できますよ。

④通路はすべてお見通し!な到来櫓

本丸の南端に位置する「到来櫓」のあった場所。今はナイスビューで開放的な休憩所ですが、ここにも備中櫓のような建物があったとのこと。
この場所からの眺めを見てください。三の丸、表中門、真下の切手門まで見渡せて、文字通り本丸へ”到来”するまでの道を監視することができるのです。徹底された防御態勢に脱帽です!

⑤崖と川を利用した自然の防御線

津山城は土地選びもピカイチ。
忠政は、吉井川と城の東を流れる宮川の合流点を見下ろす小高い「鶴山(つるやま)」をチョイスしました。東側は断崖絶壁となっており、登れそうもありません。しかも宮川という天然の堀があるわけですから、守りはカンペキです。ちなみに、「鶴山」から「津山」という名に改められたそうですよ。

⑥言葉はいらない…美しすぎる天守台からの眺め

かつては、約22mにもなる五重の天守を支えていた天守台。ここに立つと、心地よい風を感じながら、津山の町並みが一望できます。忠政も、この景色を見たくて築城したのでは…?と思えるほどのベストポジションです。
一般的な五重の天守の中でも、最大級と称される壮大な天守が見られないのは残念ですが、「よみがえれ! 津山城天守」というスマホアプリを使えば、カメラを通して天守があるかのような写真を撮影することができますよ。ぜひダウンロードを。

⑦帰りもキビシイ〜急な階段にご注意を

天守台も堪能し、さあ帰ろうかと北側の裏中門から階段を下りていくと…。ジャンプしたり、手をつかないと下りられないレベルの急な階段が出現します。あまりに急なので、隣に普通の階段が作られているほどです。
一度はそのキビシさを体験してほしいとは思いますが、不安な方は無理せず新しい階段を利用してくださいね。

森家の強さ、勇ましさに大興奮の津山城!

自然の地形を利用した、眺め最高の一等地。
高い石垣で威圧感を与えながら、通路を複雑にして、櫓からすべて監視できるように考えられた縄張。 妄想膨らむ、壮大で先駆的な天守…。
桜の名所としてはもちろん、お城としてのヤル気に満ち満ちた津山城。その猛々しい姿、目に焼き付けてくださいー!
最後の最後まで気が抜けない、難攻不落の要塞、ここにアリ。
マップを見る

同じテーマの記事

このライターの記事