菅田将暉さん主演映画『ミステリと言う勿れ』ロケ地!旧野﨑家住宅に行ってみた!

岡山県倉敷市児島にある旧野﨑家住宅は、現在公開中の映画『ミステリと言う勿れ』のロケ地!どのような場所なのか実際に行ってみました。取材でお話を伺いながら野﨑家を見て回るうちに、すっかり野﨑家ファンに!美しい日本家屋の他にも、魅力が盛りだくさんな旧野﨑家住宅をご紹介します。そして「あっ!ここ、映画で見た!」そんな場所も探してみてくださいね。
掲載日:2023年09月23日
  • ライター:月子
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旧野﨑家住宅とは

旧野﨑家住宅は、約190年前に製塩業などで成功を収めた野﨑武左衛門が建てた邸宅です。
野﨑家は、従業員と”利益とリスク”を分かち合う「当作歩方制」で事業を経営していました。この経営方法により、リスクと収益が平準化され、生産性も向上したのです。190年も前にこのような進歩的な経営手法を取り入れていたことに驚きです。

また、野﨑家は米騒動などの不穏な時期でも無事であったと言われています。このことからも野﨑家が地域社会との良好な関係を築き、信頼を得ていたことがわかりますね。

そんな魅力的な野﨑家の邸宅は、敷地面積約3000坪・建物延床面積1000坪と、広大な敷地です。
現在上映中の『ミステリと言う勿れ』など、映画やドラマのロケ地にもなっています。
どんなところなのか、一緒に見ていきましょう。

内玄関

入場して順路をいくと、内玄関があります。菅田将暉さんのパネルがお出迎え。
内玄関とは、普段使いの出入口です。
貴賓用には別の玄関があるんですよ。

表玄関

こちらは表玄関。貴賓をお出迎えする玄関です。玄関が2つあるなんて、さすが名家の旧宅。

さざれ石

表玄関へと続く御成門の脇には、さざれ石がドーンと鎮座しています。
「君が代」で歌われている「♪さざれ~石の~ いわおとな~りて~♪」のさざれ石。
さざれ石とは、細かい石・小石のこと。それが集まって長い年月をかけて固まり、巌(いわお)となったものです。
さざれ石、私は初めて見ましたよ!

表書院

貴賓の応接室「表書院」です。
上の間は十二畳半、下の間は十五畳の下の間、廊下も合わせるととっても広い!たくさんの人が集まれますね。

表書院の外側には水琴窟もあり、綺麗な「カ~ン」という音を聴くこともできます。
「えっ?!こんなに響くの!?」という不思議体験かつ綺麗な音なので、ぜひ実際に音を聴いてみてくださいね!

表書院の縁側

​表書院の縁側です。
表書院はひさしを長く取ってあるので、雨などでの傷みが少ないそうです。そのひさしを支える「桁」は、なんと17mのアカマツ一本物。

縁側に座ってゆったりと眺めるお庭は…

庭園

見事な庭園です!
美しく手入れされたお庭にも、様々なストーリーがあります。
左手に見えるソテツは、池田家のお殿様から賜ったソテツとのこと。岡山後楽園のソテツの兄弟になりますね。
そして、真ん中にある大きな石。こちらは塩田一帯の地図にそっくりな石とのこと。ひび割れている部分は、川を表しています。

中座敷

表書院からさらに進むと、中座敷があります。
9つの座敷が並んでいて、なんと42mもあります。一番手前のお部屋は、言うなれば社長室です。
ここで、一番奥の座敷にある掛け軸を覚えておいてくださいね。後で出てきます。
中座敷には明かり取りの窓があったり、電気が使えるようになった時には照明が取り付けられたりと、日本家屋内を明るくする技術も興味深いですね。

神社と枯山水庭園

中座敷の前は、枯山水庭園となっています。枯山水庭園とは、水を使わずに石や草木、高低差などで自然風景を表現するお庭のことです。亀やカエルのような石もありました。

なんと敷地内には神社もあるんですよ!
右側に見えるのがその鳥居。
塩の神様(塩竃神社)、火の神様(秋葉神社)、商売の神様(稲荷神社)が 祀られています。

石垣

奥に見える石垣は備前積みと言われる工法で、四角い石が緻密に積み上げられていて美しいです。現在の建築基準法では作ることができない、とても貴重な石垣なのです。伝統文化を後世まで見ることができてありがたいですね。
この中に一つだけ扇形の石が積み上げられています。扇の形は末広がりで縁起がいい!ぜひ探してみてくださいね!
一般には公開されていないのですが、今回特別に石垣の上にも上らせていただきました。
広~い野﨑家が一望できる高台。
ガラスを使った天窓や、明かり取りの窓、レンガが使われている場所、そして蔵も見えます。
立派な瓦がたくさん並んだ屋が美しい!
屋根は、丸瓦と平瓦の二種類を使用した本瓦葺きです。
本瓦葺きは社寺建築などに使われ、耐久性と強度が高く、見た目に美しいのが特徴です。

台所

こちらは従業員の食堂。50~60人分の食事の準備をしていたそうです。
昔の調理道具がたくさん展示されており、見ていてとっても楽しい!
アイスクリームメーカーやワッフル焼き器など、新しく珍しいものを取り入れている様子が伺えます。

見事な蔵

旧野﨑家住宅には6つの蔵があります。黒と白の壁は「なまこ壁」と呼ばれ、黒い部分は瓦、白い部分は漆喰です。なんとランクがあるそうで、興味深かったです。最高級ランクは手前に見えているひし形のなまこ壁。見た目にもデザイン的で美しいですね。

展示館

蔵の中は展示館となっています。
私が伺った時には、旧野﨑家住宅が所有している貴重な書画がたくさん展示されていました。赤のポイントが鮮やかで巧緻な中国絵画を見ながら、野﨑家と当時の文化人の交流に思いを馳せます。
野﨑家が所有している美術品は、付随する資料も散逸されずにしっかり残っているのも素晴らしいところ。
野﨑家は芸術の庇護者という側面もありますね。
「野﨑家の書画展」は2023年11月9日(日)まで展示のご予定です。ぜひ本物の美術品をご覧ください。
こちらの蔵の中は、塩に関する資料館。塩の作り方や、野﨑家の歴史に関する品々も展示されています。展示品を見ていると、「んっ!?トルストイ!?」突然世界の文豪の名前が出てきて驚きました。野﨑家の関係者に、トルストイと交流があった人もいるのです。
ビジネス、歴史、建築、文化、芸術、文芸…野﨑家の魅力は多岐にわたります。

向座敷

主屋の一番奥にある向座敷です。
母屋の写真のところで「覚えておいてくださいね~」と書いた、奥に見えていた掛け軸がある部屋はこちらです。
なんと、一周ぐるっと回った最後に再び現れました。
ここまで長く繋がっていることにビックリです。

野﨑家を全て一度に見られるチャンスは今!

今回、取材時にお話を伺った学芸員の三宅功一さんです。
旧野﨑家住宅に関する興味深いお話や魅力を、わかりやすくご説明頂きました。
このような大きく立派な旧家が残っていることは全国的にも珍しいので、ぜひご来場くださいとおっしゃっていました。
また、令和7年度からは大がかりな改修工事が始まり、何年もかけて部分的に見られなくなることが予定されています。一周全部見られるチャンスは今!ぜひ、足を運んでみてくださいね。

児島ジーンズストリート

旧野﨑家住宅の前は児島ジーンズストリートとなっています。
日本的な旧野﨑家住宅と、舶来のジーンズが共存していて面白い通りです。
ぜひゆっくりとご覧になってみてくださいね。

営業時間・料金・アクセス

いかがでしたでしょうか。

『ミステリと言う勿れ』のロケ地であり美しい日本家屋の野﨑家ですが、その他にもビジネス、歴史、文化、芸術、文芸…と、沢山の魅力がありますので、ぜひ足を運んでみてくださいね!
特集『ミステリと言う勿れ』×岡山映画ロケ地≫

【国重要文化財 旧野﨑家住宅】
所在地:倉敷市児島味野1-11-19
TEL:086-472-2001
開園時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休園日:月曜日(祝日の場合は翌日)、12月25日~1月1日
入園料:大人500円、小・中学生300円、高校生以下は、土日祝は無料
駐車場:普通車36台、バス5台(無料)
交通アクセス(公共):JR児島駅から徒歩約25分、または小川経由倉敷駅行きバス約5分、「大正橋」下車、徒歩約5分
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