誰もが感じる居心地のよさ。市民と一緒に作った公共図書館。
そんな中、2016年に誕生した「瀬戸内市民図書館/もみわ広場」は、計画段階から市民参加を行う方法をとり、全12回に及ぶ市民とのワークショップの実施や、設計士によるプレゼンを公開、また設計の平面図を見ての意見を取り入れるなど、全国的にも珍しい、先駆的な図書館です。
その取り組みは全国に知られており、各地から視察が相次ぐほど。実際に訪問して納得。あふれる同館の魅力をレポートします。
入ってすぐに広がる、開放的なカフェスペース
つい、はしゃいでしまう小さな子ども連れでも安心して過ごせるエリアがあるって、嬉しいですよね。オリーブの木が青々と美しい庭を眺めて、一つの雑誌を一緒に見ながら友達とおしゃべり…なんて楽しいひとときも楽しめます。
(写真提供=瀬戸内市民図書館、撮影=中川正子)
子どものための本、絵本コーナーが充実
優しい陽の光が差し込む「読書テラス」
瀬戸内市の人形師「竹田喜之助」ギャラリーも
2階にも郷土資料などを展示するスペースがあり、専属の学芸員による企画展が年4回ほど実施されています。
シンプルで分かりやすいデザインが秀逸!
スタイリッシュでいて可愛らしく、とっても親しみやすいので大好きなのです。
これらは「建物をさらに居心地のいい場所にするために」と、瀬戸内市長船町出身のデザイナー・アーティストの、黒田武志さんが制作されたものだとか。館全体が柔らかくまとまっていますよね。いろんなサインを探してみてください。
自習がはかどる2階へようこそ
ちなみに館全体には瀬戸内市の無料Wi-Fiが通っているので、タブレットやノートPCの持ち込みもOK。なんて懐の深さ…!
カウンター席の細やかな配慮に感涙
1階のカフェスペースでぼーっとお茶を飲んでもいいし、2階で資料片手にガッツリ自分の世界に入り込んでもいい。ちょっと立ち上がれば吹き抜けから1階の郷土資料スペースが見えるし、そちらにフラッと立ち寄ってもいいし…。
あらゆる人たちのことを想定した、思いやりを感じます。
コンセプトは「もちより・みつけ・わけあう広場」
各々が持っている疑問や課題を持ち寄り、その解決方法を見つけ、それだけでは終わせず図書館に集まる人たちと共有するー。
人と人とがゆるやかに繋がっていける「広場」として、地元の人たちや、移住してきた人たち、そして図書館を大切に思うすべての人たちから愛されているようです。
写真の壁面タイルもその内の一つ。3200人以上の市民のみなさんの協力により完成し、広場をより楽しげに彩っています。
よりよい図書館を目指して、これからも市民と一緒に
図書館ができるまでに行われた市民ワークショップ「としょかん未来ミーティング」。実は今もなお続いており、使ってみての感想や、サービスの内容、今後やってほしいイベント内容などについて話し合いをしているんだとか。
そうして、常に図書館をアップデートさせながら進む姿は、全国の図書館ファンから見ても憧れそのもの。
建築ファン、デザインマニア、図書館愛好者はもちろんのこと、ちょっと変わった瀬戸内市観光がしたいなって方。ぜひとも瀬戸内市民図書館/もみわ広場へ!イチオシです。
(写真提供=瀬戸内市民図書館、撮影=中川正子)