library of the year受賞!瀬戸内市民図書館/もみわ広場は近くに住みたいほど素敵

瀬戸内市と瀬戸内市民がしっかりとタッグを組み、約6年かけて作り上げられた新しい瀬戸内市民図書館。2017年度には、先進的な活動を行っている図書館などに贈られる「Library of the Year」の大賞とオーディエンス賞を受賞するなど、全国からの視察も相次ぐ名物公共施設なのです。一度は見ておきたい建築美とデザイン美、あたたかい空気感を知れば「近くに移住したい…!」と思うこと必須。
(写真提供=瀬戸内市民図書館、撮影=中川正子)
掲載日:2018年11月28日
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誰もが感じる居心地のよさ。市民と一緒に作った公共図書館。

図書館の固定概念が変わり、より開かれたスタイルの図書館がぞくぞくと生まれている今。
そんな中、2016年に誕生した「瀬戸内市民図書館/もみわ広場」は、計画段階から市民参加を行う方法をとり、全12回に及ぶ市民とのワークショップの実施や、設計士によるプレゼンを公開、また設計の平面図を見ての意見を取り入れるなど、全国的にも珍しい、先駆的な図書館です。
その取り組みは全国に知られており、各地から視察が相次ぐほど。実際に訪問して納得。あふれる同館の魅力をレポートします。
 

入ってすぐに広がる、開放的なカフェスペース

飲食NG?喋っちゃダメ?は昔のハナシ。玄関入ってすぐのスペースは、持ち込んだ食事や飲み物を談話しながらいただける「もみわカフェ」。
つい、はしゃいでしまう小さな子ども連れでも安心して過ごせるエリアがあるって、嬉しいですよね。オリーブの木が青々と美しい庭を眺めて、一つの雑誌を一緒に見ながら友達とおしゃべり…なんて楽しいひとときも楽しめます。
(写真提供=瀬戸内市民図書館、撮影=中川正子)

子どものための本、絵本コーナーが充実

小学生などの子どもでも分かりやすいジャンル分けがなされた「こどものほん」エリアと、赤ちゃんの絵本や昔ばなし、大型絵本などが約4000点もある「えほんコーナー」。さらに奥には洞窟のような「おはなしのへや」があり、懐かしいおもちゃや絵本を使って、親子で楽しめます。

優しい陽の光が差し込む「読書テラス」

四季折々の草花が植えられた庭に面したテラス席。季節によって表情を変えるこのスペースで、のんびり読書は贅沢な時間。ウッドデッキに出てうーんと伸びをすれば、疲れた目も癒やされていきそう。

瀬戸内市の人形師「竹田喜之助」ギャラリーも

国際的に活躍した糸繰り人形師、「竹田喜之助」は瀬戸内市邑久の出身。瀬戸内市が保有している喜之助人形の企画展示やDVDの上映などの行っているそう。このように、瀬戸内市が誇る文化や歴史が自然と目に入り、学んでいける仕組みも同館ならでは。
2階にも郷土資料などを展示するスペースがあり、専属の学芸員による企画展が年4回ほど実施されています。

シンプルで分かりやすいデザインが秀逸!

階段やテーブル、トイレなどなど、あちこちで目にするシンプルな線のみで表現されたロゴマークや案内サイン。
スタイリッシュでいて可愛らしく、とっても親しみやすいので大好きなのです。
これらは「建物をさらに居心地のいい場所にするために」と、瀬戸内市長船町出身のデザイナー・アーティストの、黒田武志さんが制作されたものだとか。館全体が柔らかくまとまっていますよね。いろんなサインを探してみてください。

自習がはかどる2階へようこそ

誰でも利用できる自学専用スペースの「スタディルーム」や、吹き抜けに面した壁に設えられたカウンター席、インターネットが使えるパソコンが8台もある「インターネットコーナー」など、自主学習がバリバリはかどりそうな2階。
ちなみに館全体には瀬戸内市の無料Wi-Fiが通っているので、タブレットやノートPCの持ち込みもOK。なんて懐の深さ…!

カウンター席の細やかな配慮に感涙

個人的に激アツだったのが、2階のカウンター席。コンセントがあるのはもちろん、一人分のスペースにひとつ、手元を照らすライトが埋め込まれているのです。こんなに学ぶことを応援してくれる図書館ってあるだろうか…と感動しました。
1階のカフェスペースでぼーっとお茶を飲んでもいいし、2階で資料片手にガッツリ自分の世界に入り込んでもいい。ちょっと立ち上がれば吹き抜けから1階の郷土資料スペースが見えるし、そちらにフラッと立ち寄ってもいいし…。
あらゆる人たちのことを想定した、思いやりを感じます。

コンセプトは「もちより・みつけ・わけあう広場」

図書館を作っている市民のみなさんも気に入っているという同館のコンセプトは、「もちより・みつけ・わけあう広場」。
各々が持っている疑問や課題を持ち寄り、その解決方法を見つけ、それだけでは終わせず図書館に集まる人たちと共有するー。
人と人とがゆるやかに繋がっていける「広場」として、地元の人たちや、移住してきた人たち、そして図書館を大切に思うすべての人たちから愛されているようです。
写真の壁面タイルもその内の一つ。3200人以上の市民のみなさんの協力により完成し、広場をより楽しげに彩っています。

よりよい図書館を目指して、これからも市民と一緒に

図書館ができるまでに行われた市民ワークショップ「としょかん未来ミーティング」。実は今もなお続いており、使ってみての感想や、サービスの内容、今後やってほしいイベント内容などについて話し合いをしているんだとか。
そうして、常に図書館をアップデートさせながら進む姿は、全国の図書館ファンから見ても憧れそのもの。
建築ファン、デザインマニア、図書館愛好者はもちろんのこと、ちょっと変わった瀬戸内市観光がしたいなって方。ぜひとも瀬戸内市民図書館/もみわ広場へ!イチオシです。
(写真提供=瀬戸内市民図書館、撮影=中川正子)

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