岡山市の知られざる不思議スポット「牧山」に行ってみよう!

岡山市の北東部に位置するちょっとマイナーなエリア「牧山」の周辺には、面白くて不思議なスポットがいくつもあります。岡山と津山を結ぶローカル線「JR津山線」の中でも地味~な駅「JR牧山駅」を起点に、のどかでありながら、時に意外な表情も見せてくれる「牧山」エリアの魅力をご紹介します。
掲載日:2025年09月25日
  • ライター:田中シンペイ
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JR牧山駅

まずは、岡山市内の駅にしては秘境ムードが漂う「JR牧山駅」からご紹介します。山裾に張り付くように立地していて、駅舎もなく改札もありません。ICカードは使えず券売機もないので、ここから乗車する際は路線バスのように車内で整理券を取ります。
柵の隙間にしか見えませんが、これが駅のエントランスです。ここから出入りしてよいものか、少し躊躇してしまうくらいに控えめなつくりです。
ちょうど岡山行きの列車が2両編成で到着しました。ワンマン運転の場合は、前方に位置する車両のドアしか開閉しません。それに加えて、乗車は車両後方のドアから、降車は車両前方のドアからというルールがあり、初めての人は少し戸惑うかもしれません。それにしても、一定の年齢以上の人にはとても懐かしく感じられるレトロな車両です。

大久保暫定潜水歩道橋

駅のすぐ正面にある坂道を下っていくと、何やら不思議な橋が見えてきます。高知県の四万十川などで見られる、いわゆる「沈下橋」です。川が増水した場合には橋ごと水面下に沈むことを想定して作られています。
この付近には旭川を渡るための橋がなく、唯一の渡河手段であった渡し舟が廃止された後に作られた歩行者専用の橋だそうです。まさか岡山市内で沈下橋を見られるとは意外ですよね。
このあたりの旭川は、大規模な護岸工事が施されていない自然な姿をとどめています。津山線の車窓からも雄大な流れを眺めることができるので、短い距離でも鉄道を使って移動してみると車では気付かないような景色に出会えて面白いと思います。

松尾神社

牧山駅からしばらく北へ進むと、山裾の森の中に「松尾神社」が鎮座しています。歴史を感じさせる趣深いたたずまいですが、この神社にはひとつ意外な特色が…。
なんと、神社の参道を津山線の軌道が横切っているのです。ここには遮断機も警報機もありません。
近くの踏切が発する警報音が周囲に響き渡るなか、列車は警笛を鳴らしつつ颯爽とやって来ます。とても不思議な光景に思えました。
この場所には新型車両よりもノスタルジックなオレンジ色の車両が似合いますね。そのほかに、旧国鉄時代の急行列車のカラーリングを復刻した車両も走っているそうです。

牧山クラインガルテン

松尾神社から少し北へ進むと、小さな小屋がひしめくように立ち並んだ少し不思議な光景が広がっています。まるで異国のコロニーのようですね。
ここは岡山市が作った「牧山クラインガルテン」という市民農園です。小さな区画であれば月額千円くらいで借りられて、休日に野菜や果物作りを楽しむことができます。農具を借りたり栽培方法の助言を受けることも可能だそうです。「ラウベ」という小屋付きの契約プランの場合は、倉庫として使う以外に採れたて野菜の調理もできるのだとか。楽しそうですね。
津山線は「牧山クラインガルテン」の背後を通っています。この撮影時は偶然、土・日曜日、祝日に一往復のみ運行される観光列車「SAKU美SAKU楽(さくびさくら)」が通過しました。狙って待っていたわけではないので、何だか得した気分です。

ちなみに「牧山クラインガルテン」は利用者を絶賛募集中とのこと。岡山市民以外でも利用可能なので、興味のある方はリンク先をご覧ください。また、野菜や果物の青空市も随時開催されていて、利用者以外の方でも楽しめると思います。

まとめ

大久保暫定潜水歩道橋を渡った先(地域としては牟佐)には、例年8月上旬頃に広大なヒマワリ畑が現れます。このあたりは「黄ニラ(きにら)」の産地なのですが、2018年の西日本豪雨で大きな被害を受け、泥水に浸かった畑の土壌改良のためにヒマワリを植えたのが始まりだそうです。
黄ニラは普通のニラを遮光して栽培することで独特の風味を実現した高級食材で、岡山の特産品のひとつです。いろいろな食べ方がありますが、個人的におすすめなのが「お寿司」です。岡山にお越しの際に、もし飲食店のメニューに黄ニラを使ったものがあったら、ぜひ食べてみてください。そのおいしさに驚くと思いますよ。
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