レンタサイクルで行ける!古代を肌で感じる吉備路の古墳巡り

古代の魅力を肌で感じることができる史跡が見られる吉備路には、古代のロマン「古墳」があちこちに点在しています。今回は「吉備路サイクリングコース」周辺で気になった古墳をレンタサイクルで巡ってきました。
掲載日:2025年09月18日
  • ライター:大岩主弥
  • 37 ビュー

吉備路サイクリングコース

岡山でサイクリングコースと言えば昔からこの吉備路が有名。子供から大人まで多くの人が気軽に楽しめるコースとなっています。アップダウンも少なくコース全長は約25km。途中には古代の歴史を堪能できる史跡が点在しています。吉備路にある古墳の中で特に有名な「造山古墳・作山古墳・楯築遺跡」についてはリンク先のおか旅記事でも詳しく紹介されているので読んでみてください。今回はそれ以外の私が気になった古墳をご紹介します!

そもそも「古墳」とは?

稲作が始まり、集落が生まれた弥生時代(紀元前10世紀頃~紀元後3世紀中頃)、集落の規模が大きくなると身分の格差が生まれてきました。大きくなった集落は歴史用語で『クニ』と言われるそうで、その『クニ』のボスたちを埋葬するお墓を作るようになります。クニのボスたちの墓は墳丘墓と呼ばれる小高い丘のようになっていました。

弥生時代の後半になると強いクニが、弱い集落やクニを従えるようになり、強いクニはさらに強くなっていきます。ボスが強くなると、それに比例して墳丘墓もどんどん大きくなり、ついには墳丘墓とは呼べないほどの超特大サイズのものまで現れました。この墳丘墓という言葉では言い表せないほどの大きいお墓を「古墳」と呼ぶようになったそうです。
この古墳が大量に作られた時代を古墳時代(300年頃~500年頃)と呼びます。

吉備路日本遺産レンタサイクル「きびチャリ」

「吉備路自転車道ルート」を走るなら是非利用してほしいのが「きびチャリ」。岡山市中心部からアクセスするのに便利なのは、JR岡山駅から吉備線(桃太郎線)に乗り約15分で着くJR備前一宮駅前の「ウエドレンタサイクル」です。
特筆すべきは「備中国分寺」前の「高谷レンタサイクル」とJR総社駅前の「荒木レンタサイクル」で相互乗り捨てが可能な事。おススメは「ウエドレンタサイクル」で自転車を借り、サイクリングを満喫した後、「荒木レンタサイクル」に返却してJR総社駅から電車でJR岡山駅に戻るというコースです。※各店舗の詳細は以下をご参照下さい。

営業時間:9:00~18:00(11~2月は~17:00)※受付は15:30まで
定休日:なし
料金:乗り捨て2,000円、周遊性(1日貸し)1,500円
【問い合わせ】
・ウエドレンタサイクル(JR備前一宮駅前)
 TEL:086-284-2311
 住所:岡山市北区一宮554
・荒木レンタサイクル(JR総社駅前)
 TEL:0866-92-0233
 住所:総社市駅前2-1-5
・高谷レンタサイクル(備中国分寺前)
 TEL:0866-93-3421
 住所:総社市宿368-1

まずは吉備の中山へ

JR備前一宮駅前から、まずは「吉備津神社」へ向かいます。吉備津神社側から吉備の中山に登るために! 距離は約2.5km。約10分。登山道の前に自転車を置いていざスタート。
吉備津彦命(きびつひこのみこと)が温羅(うら)との戦いで陣を構えたと言われているのが「吉備の中山」。一歩入ると空気が変わる感じがします。神聖な空気を感じながら登山道を歩くこと約15分。
吉備津彦命の墓と言われている「中山茶臼山古墳」があります。宮内庁の管轄ということで詳しく見ることは出来ないのですが、ここが桃太郎のモデルとなった吉備津彦命のお墓と聞くと、厳重に守られているのも何だか納得してしまいますね。
「中山茶臼山古墳」から徒歩約5分の場所には、「穴観音」と呼ばれる数個の自然石があります。中央の石に観音像が彫られており、側面に穴が開いていることが名前の由来となっているそうです。観音様の正面に立つと見えるのが、「中山茶臼山古墳」の頂部であり、そのことから「穴観音」は古墳の埋葬者を拝むときの磐座(いわくら:神が座るとされる聖なる石)だったのではと言われています。

王墓の丘史跡公園

吉備の中山から約5km、約30分。「王墓の丘史跡公園」に到着。王墓山丘陵に残された貴重な遺跡群を保存・公開するため整備された公園で、楯築地区・日畑赤井堂地区・王墓山地区の3つの地区に分かれています。今回は王墓山地区の古墳を紹介します。

立派な石棺が残る王墓山古墳

王墓山地区にある「王墓山古墳」は明治時代の末に破壊されて、今残っているのは変形した後の姿。元の大きさや形については明らかではないそうですが、横穴式石室を持つ25mほどの円墳か方墳だったと考えられているそうです。きれいな形で残されている古墳があるのは珍しいことなんですね。岡山には完全ではないにしても、当時の様子を見られる古墳が多いように思います。とても貴重なことですね。立派な石棺が残されているのを発見。蓋まであるのものをこんなに間近で見たのは初めてでした。
王墓山古墳の上から眺める景色も最高です。

王墓山地区に点在する古墳

王墓山地区にはかなりの数の古墳が点在しています。大池上古墳群・真宮古墳群・東谷古墳群・赤井西古墳群etc.個性豊かな古墳が残されていて、間近で見ることが出来ます。散策がてらお気に入りの古墳を探してみてはいかがでしょうか。

イメージのままの古墳が見られる「千足古墳」

「王墓の丘史跡公園」から約4㎞、約20分の「千足古墳」。古墳と言えば鍵型の「前方後円墳」をイメージする人が多いと思うのですが、まさにその形を見られる古墳が「千足古墳」です。
岡山県では最大規模の「造山古墳」のそばにある6つの陪塚(ばいちょう)の1つで、第五号古墳とも呼ばれます。「陪塚」とは大型の古墳に近接する小規模の古墳の事です。初めて遠くから見たときは感動しました。古墳の上は長い年月を経て、林のようになっていることが多いため、なかなかあの形でイメージしづらいんですよね。近くまで行って上からの景色を眺めるのもおススメですが、やはり遠くからあの独特の形状も楽しみたいですよね。写真は「造山古墳」の上から「千足古墳」を眺めたもの。

石室が気になる「こうもり塚古墳」

古墳と言えば、パックリ口を開いた石室の入り口も気になりますよね。「千足古墳」から約3km、約20分で「こうもり塚古墳」に着きます。6世紀に作られた全長約100mの前方後円墳で、巨大な横穴式石室があります。石室の中央には石灰岩の一枚岩をくり抜いて造った石棺が安置されています。入り口付近までしか入れませんが、石室のひんやりとした空気を感じることができます。もし石室の中まで入りたいなら、個人的には「牟佐大塚古墳」をおススメします。吉備路とはかなり離れているので今回はご紹介しませんが、ご興味ある方は是非足をお運びください。

【360°動画】史跡こうもり塚古墳を360°で体験しよう!

「こうもり塚古墳」は内部に入ることが出来ないのですが、「岡山県古代吉備文化財センター」の360゜動画で内部をくまなく見ることが出来ます!

まとめ

吉備路には本当に多くの古墳が点在していて、古代吉備王国がいかに権勢を誇っていたかを垣間見ることが出来ます。今回私が行ってみた中でご紹介出来なかった古墳も沢山あります。名前を書いておくと「王墓山法伝山古墳」「小造山古墳」「折敷山古墳」「宿寺山古墳」「角力取山古墳」など、看板があるものから、こんもりとした丘がおそらく古墳だろうと判断できるものまで色々ありました。遠くから見ても、近くまで行き登ってみても、歴史を知っても楽しめる古墳。記事を読んで興味がわいたら是非足をお運びください!
写真は「作山古墳」を遠くから眺めて。
マップを見る

同じテーマの記事

このライターの記事