古代鏡作りや古墳講座も!何かと攻めてる「備前市埋蔵文化財管理センター」がアツすぎる

備前市にある備前焼の窯跡や遺跡などの埋蔵文化財を発掘、研究、管理、展示などを行う備前市埋蔵文化財管理センター。ここではワークショップや講座など、誰でも参加OKでワクワクする企画がいつも提案されており、ワークショップはすぐ定員に達するほど人気。どんな場所で、どんな人たちがいるのか、徹底レポートします!
掲載日:2018年08月29日
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地味?なんてとんでもない!備前市のお宝が眠る場所

備前市ならではの備前焼古窯から出土した多数の陶片。そして古墳から出土した多数の古代鏡。実は、歴史好きにはたまらない聖地だって知ってました?
遺跡&史跡の数々から、貴重な埋蔵文化財が発掘されている備前市。そんな埋蔵文化財を保護・保存し、さらに広く一般の人たちに向けて展示している重要施設が、「備前市埋蔵文化財管理センター」なのです。
早速中に入ってみましょう。おっと、ドアノブも立派な備前焼じゃありませんか!
しかも緋襷とゴマのかかった豪華な景色はさすがの一言。

おなじみ不老山からの出土品を展示中

今、伊部で新幹線のトンネルが通っている不老山には、室町時代のものと思われる大きな登り窯の跡が見つかっており、備前焼の陶片も大量に出土しました。
約50年前に収蔵された保存容器1700箱分もの陶片を、職員さんが厳選。現在、2階のフロアに展示中です。

ちょっと遊びすぎ!ツッコミどこ満載の陶片たち

面白いのが、すり鉢の陶片一つにもヘラで描かれた様々な模様があること。しかも、キレイに整えられたすり目だけじゃなく、波模様になっていたり、格子模様がざっくり描かれていたり、「✕」マークが何箇所にも刻まれていたり!当時の陶工たちの遊びゴコロがはっきりと伝わります。

しっかり絵まで描いてしまってるモノも…

当時、備前焼は全国的に大ブームで需要も多く、生産が追いつかないほどだったとか。
陶工さんたちも同じ器を何百、何千と作るうちに、飽きてしまった!? のか何なのか、絵の描かれた貴重な陶片も見つかっているのです。
こちらは2羽のニワトリがくっきりと描かれており、その眼光の鋭さに驚くほど。
こちらは、はっきりと指の跡が残っているすり鉢のフチ。ちょ、こんなにフチ歪ませてええんですか…お客さんに怒られません…?と、作家のツマとして思わず心配になる出来です。勇気あるなー!笑 たった一片の陶片から、いろいろなストーリーが想像され、どんどんイメージが広がっていく。
埋蔵文化を鑑賞する時の、最高に楽しいひとときですよね。

マリオもびっくり、備前焼の土管

まだ金属が貴重な時代。水を流すための大きな土管にも、備前焼は使われていました。
確かに備前焼を使うと水が長持ちしたり、美味しくなったりするので、理にかなっているワケです。

インスタ映えする大甕、企画力バツグンの職員さん

展示室には、人の腰の高さほどの大きな水甕(復元)があり、撮影&SNS投稿もすべてOK。
過去の備前焼まつりでは、これを背負って記念撮影をするインスタ映えイベントも行ったそう。何それ超やってみたい。
そんな個性的なアイデアを日々企画・提案しているのは、実力派の職員さんたち。企画タイトルも思わずニヤリとする攻め具合です。

募集が出たらすぐ予約して!古代鏡ワークショップ

国指定史跡の「丸山古墳」って知ってます?岡山県最大の円墳で、古墳の頂上から珍しい装飾を施された石棺が見つかって、その中から30数個もの古代鏡が出土したんだとか。その数は岡山県No.1。全国でも上位に入るレベルで、鏡のほとんどが東京の国立博物館に収蔵されています。
センターでは保管している出土品や古墳の研究結果を展示・講座で紹介したり、本物の絵柄を精巧に再現した型で鏡を作るワークショップも行っているんですよ。

2018年11月14日〜12月17日は丸山古墳を学ぼう!

スズとビスマスの合金を加熱し、型に流し込んで固め、最後にやすりなどでピッカピカに磨いて完成させる古代鏡ワークショップ。そのホンモノっぷりはうっとりするほど。
募集が出るとすぐ定員に達する人気イベントで、過去にはネットで話題になり、遠くは四国からお客さんが来られて、参加者全員、古墳トークで大いに盛り上がったとか。

2018年は11月14日〜12月17日に「◯◯◯◯(まるやま)古墳のすべて(ちょっとだけ)」という企画展も1階で開催。
それに合わせて鏡のワークショップも開催予定なので、公式サイトを随時チェックしてくださいね。

素人が笑い、玄人が唸る。埋文センターは備前の誇り!

「面白いこと、していこう!」という合言葉とともに、ともすれば地味になりがちな過去の遺物たちを、たっぷりの愛情でもって楽しくて身近な存在に仕上げていく手腕に惚れ惚れ。
備前焼まつりを始め、各種企画展・ワークショップなど、今後も目が離せません!
(写真は、葉っぱの型がくっきりとついた陶片。クリやアベマキの葉か?と言われていて、そういった植生まで分かりそうな資料になるところもまた面白いのです)
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