岡山城の全容
ちなみに、この図の左側(西側)には、さらに二重の水堀と土塁が築かれていました。江戸時代に幕府が諸大名に命じて提出させた詳細な城の絵図「正保城絵図 備前国岡山城絵図」によると、それら西側の防塁上には隅櫓や楼門などの構造物がまったく見られないため「惣構(そうがまえ)」(城下町を囲む防塁)と解釈して、今回の私の記事では城に含めないことにしました。
予備知識「石垣の進歩」
加えて、石垣の技術者集団の個性による違いもありますので、城主が何度も変わって修築が繰り返された城は、多種多様な石垣が混在する状態となります。岡山城はその最たる例で、「石垣の博物館」と言われるほど多彩な石垣が城内にひしめいています。「本丸 中の段」では、発掘調査で出土した石垣を見ることができるような工夫も行なわれています。
本丸の見どころ
外下馬門(岡山県立図書館)
写真は「岡山県立図書館」の敷地内に残る「外下馬門(そとげばもん)」の北側の石垣です。水堀を水盤で表現してあり、橋脚のあった場所も示されています。かつては長い木製の橋を渡った先に大きな城門がありました。
二の丸 東面(岡山県庁付近)
二の丸 対面所(林原美術館)
石山(旧本丸)
石山門
西手櫓(現存)
まとめ
ここで少しだけ現状に苦言を呈するなら、貴重な城の遺構が「点」で存在し、まったく連続性がないということが言えると思います。現在、「西の丸」にあった小学校は廃校となり、市民会館やNHKの移転など、公園整備に向けた条件は整っています。遠方から岡山城を訪れた方が「本丸」だけではなく、これらの遺構をスムーズに見学できるように、点を線に、線を面にしていく整備が望まれます。それまでは、宝探しの気分で現地をめぐってみるのも一興かと思います。