岡山市内で実物の戦車に出会える!「陸上自衛隊 三軒屋駐屯地」で大人の社会科見学
自衛隊の施設を見学する…と聞くと遠隔地まで長距離の移動が必要だと思いますよね。しかし、岡山には最寄り駅から歩いて行ける距離に見学可能な駐屯地があります。今回は、自衛隊の普段のお仕事や歴史について学べる大人の社会科見学をご案内します。
- ライター
- 田中シンペイ
- 掲載日
- 2025年10月30日
目次
「陸上自衛隊 三軒屋駐屯地」について
「JR岡山駅」から津山線に乗ってひと駅の「JR法界院駅」で下車して、そこから徒歩約20分の場所に「陸上自衛隊 三軒屋駐屯地」があります(JR岡山駅から路線バスで行くことも可能です)。見学にあたっては、まずメールか電話で事前に問い合わせて、見学申込みの申請を済ませておく必要があります(詳細は後述します)。
おもな所在部隊は、弾薬の管理や運搬などを行なう「三軒屋弾薬支処」、橋や陣地などを構築する「第三〇五施設隊」と、それらの装備品の整備点検を担う「第104施設直接支援大隊第2直接支援隊」です。付近には住宅地や大学などがあり、自衛隊というイメージから想像するより閑静で落ち着いたエリアに立地していますが、駐屯地にもさまざまな役割があって、ここでは射撃などの訓練は行なわないそうです。
三軒屋駐屯地のある場所は、もともとは旧陸軍の兵器廠の施設で、かつては周辺一帯に陸軍関連の施設が点在していました。現在、駐屯地として使用されている場所以外は「岡山大学」の敷地となり、練兵場跡は「岡山県総合グラウンド」になっています。
「駐屯地」とは
例えば、海上自衛隊の横須賀基地、航空自衛隊の三沢基地など、海と空は「基地」なのに、陸上自衛隊は「駐屯地」と呼びます。なぜでしょうか?海上自衛隊には港が、航空自衛隊には滑走路が必要で、これらは移動できないので「基地」と呼びます。しかし、陸上自衛隊は状況に応じて自在に拠点を移動できるので、一時的に留まっていることを意味する「駐屯地」と称しています。
退役した装備品の展示
見学の目玉となるのがこちらです。すでに現役を引退した装備品がズラリ。駐屯地の隊員の方々がまめに塗装などのメンテナンスを行なっているそうで、すばらしいコンディションで展示保存されています。以下にピックアップしてご紹介します。
「74式戦車」は1974年に制式化された戦車で、2024年にすべての車両が退役しました。油気圧サスペンションで車体の姿勢を自在に制御できるのが特徴で、ここでは車高を高くした状態で固定して展示されていますが、本来は限界まで車高を下げることもできます。私が幼少期に愛読していた『学研の図鑑 自動車・船』で詳細が解説されていたので、実物を目の前にすると胸が熱くなります…。低い車体と流線型の砲塔など、個人的には世界一かっこいい戦車だと思っています。
「61式戦車」は1961年に制式化された戦後初の国産戦車です。かつて複数の邦画作品にレプリカが登場しているため、このフォルムに見覚えのある方がいるかもしれません。私の場合は、1988年の角川映画『ぼくらの七日間戦争』が思い出されます。
「OH-6」は偵察などを任務とするアメリカで開発された小型のヘリコプターです。この機種も昔のアクション映画でよく見かけた気がします。キャノピー(透明な部分)は経年劣化で白っぽくなってしまうことが多いのですが、この機体はとてもクリアで、大切に管理されていることがよく分かります。
数字の読み方
自衛隊のように無線機で重要な通信を行なうことが多い職種では、聞き間違いが起こらないように独特な数字の読み方をします。例えば時刻の「18:00」は「ひとはちまるまる」と発声します。同じく装備品の呼称も「74式戦車」は「ななよんしきせんしゃ」、「16式機動戦闘車」は「ひとろくしききどうせんとうしゃ」となります。ちなみに「74」や「16」は制式化された年度(西暦)の下二桁です。
駐屯地資料館「頌史館」
こちらは「三軒屋駐屯地」の資料館で「頌史館(しょうしかん)」と呼ばれます。自衛隊の過去の装備品のほか、岡山県在住の方に呼び掛けて集められた戦前戦中の貴重な軍隊関連の物品が展示されています。お借りしているものと寄贈されたものがあるそうですが、それらは基本的に個人にまつわるものなので館内は撮影禁止となっています。逆に言えば、ここに来なければ見られない、ということです。小さな資料館ですが、じっくり見れば1時間はかかるほど内容は濃いので、こちらも必見です。
ちなみに、こちらの「ようこそ!三軒屋駐屯地へ!」の下にあるイラストは「三軒屋駐屯地」のロゴマークだそうです。一見するとアゲハチョウのイラストのように思えますが、よく注意して見ると「SANGENYA」という文字が表現されていることに気が付きます。素敵なデザインですね!様々な場所にこのロゴマークが入っているので、現地へ行ったら探してみてください。
「Yショップ三軒屋自衛隊売店」
こちらは、いわゆる施設内の購買部のようなお店ですが、ここで面白いアイテムを発見しました。
なんと「三軒屋駐屯地」のオリジナルカレーです。これは本当にこのお店でしか売っていないそうなので、見学に行ったお土産にベストですね!そのほか、こちらのお店では普通の食料品なども購入できますが、一部には一般の方は購入できない商品もあるそうです。
「三軒屋駐屯地」の見学は以上となります。
記念行事もあります
例年、秋頃に駐屯地の創立記念行事が行なわれます。その際は駐屯地が一般に開放されるため、事前の申し込みをしなくても誰でも見学することができます。式典や音楽演奏、屋台の出店などのほかに、普段は見られない装備品の展示も行なわれます。内容は毎年異なるそうですが、一例として2024年の様子を少しご紹介します。
最新の装備である「16式機動戦闘車」はデモ走行のみならず、主砲の発射実演もありました。もちろん空砲でしたが、目の前で花火の大玉が炸裂したかのような轟音と火炎に観客は騒然となりました。
こちらは大迫力の「155mmりゅう弾砲 FH70」です。なんと、砲手の座席に座らせてもらえました(照準器を覗き込んでいるのが筆者)。詳しい性能は機密なので明かせないそうですが、「もしこの場所から発射したとすれば瀬戸大橋には届きます」との説明にビックリ!
「第三〇五施設隊」による仮設橋の展示で、災害時の救援活動などにも活躍しているそうです。非常時には心強い存在ですね!この日はあいにくの天候だったのですが、雨をものともせず活動されている隊員の方々の姿はとても頼もしく感じられました。
2025年の「創立70周年記念行事」は11月22日(土)
三軒屋駐屯地では創立70周年記念行事がまもなく開催されます。
「三軒屋駐屯地 創立70周年記念行事」
2025年11月22日(土)10:00~14:00(9:00~開場)
記念式典、音楽演奏、装備品展示、屋台、体験試乗などを予定
※記念行事の開催中は駐屯地が一般に開放されるので事前の申込み等は必要ありません
※駐車場には限りがあるため、鉄道やバスなど公共の交通機関をご利用ください
※装備品の展示内容については鋭意準備中とのことで、当日の楽しみにしておいてください
まとめ
今回、取材のご対応をいただいたのは三軒屋駐屯地 広報班 班長の横溝さんという方で、私の質問に親切丁寧にお答えいただき、自衛隊の歴史や日常の業務のお話など、とても勉強になりました。そして、取材中に何度か「それは機密事項なので…」と公表できないお話があったり、写真撮影がNGの風景があったり、安全保障を担う現場としての緊張感のようなものも実感することができました。やはり、映像やインターネットで見るのと現場で見るのとでは、学べることに格段の違いがあると思いました。
駐屯地の見学について、横溝さんから「まずは、お電話かメールでお気軽にお問い合わせください」とのメッセージをいただきました。隊員の方々は普段の業務があるので突然訪ねてこられても対応できないので、事前の問い合わせなしに現地には行かないでください。団体はもちろん、1名様からの見学も可能とのことなので、以下の公式サイトをご確認いただいて、必ず事前に問い合わせを行なってください。
【大切なことなのであらためて記載しておきます】
※普段の駐屯地見学を希望される場合は必ず事前に問い合わせと申請を行なってください
※記念行事では駐屯地が一般に開放されるので事前の申込み等は不要です
地図
- 陸上自衛隊 三軒屋駐屯地
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