備前焼のふるさと「伊部南大窯跡」。巨大な窯と物原は唯一無二の光景!(備前市)
備前焼の産地として知られる備前市の伊部(いんべ)には、「備前陶器窯跡」という中世から近世に使用された窯(かま)の史跡がいくつか残されています。そのなかでも「伊部南大窯跡」は室町時代から江戸時代まで使用された国内最大級の窯跡に加えて、物原(ものはら)と呼ばれる廃棄された陶器の山が独特の景観を作り出しています。今回はこの「伊部南大窯跡」をクローズアップします。
- ライター
- 田中シンペイ
- 掲載日
- 2025年5月26日

「伊部南大窯跡」とは
「物原(ものはら)」とは
「陶印」を探してみよう!
大窯では複数の製作者が共同で多くの製品を焼くので、作者や発注者を区別するために「陶印」というマークが付けられました。物原の陶器の破片をよく観察すると、さまざまな形の陶印を見つけることができます。
※文化財保護のため、史跡内の陶器の破片を動かしたり持ち去ることは禁止されています。
まとめ
備前焼の始まりは平安時代と言われていますので、約千年の歴史があります。陶器に適した粘土を産出することや、薪に使用する豊富な木材を確保できたことなどが伊部が発展した理由と考えられています。今、大窯の跡に立って周囲を見回してみると、膨大な量の土や木材を消費する産業を千年も続けていながら、伊部の周囲には青々とした豊かな自然が広がっています。これは先人たちが脈々と努力を継続してきた結果なのだと思います。
そして現代においても、多くの備前焼作家がこの地で活動し、伝統の発信地として美術館がリニューアルされようとしています。実際に現地を訪れてみて、過去と現在が一本の太い道でつながっている街だなと感じました。史跡や工房、ギャラリーなど、主要な観光スポットが駅から歩いて行ける範囲にあることも大きな魅力だと思います。この夏にはぜひ、備前焼のふるさと「伊部」を訪れてみてはいかがでしょうか。
地図
- 備前陶器窯跡伊部南大窯跡
- 備前市美術館(旧備前市立備前焼ミュージアム)
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