日本刀の聖地・長船に泊まる!「一刀の宿seppa」2026年6月オープン(瀬戸内市)
日本刀の聖地といわれる瀬戸内市長船(おさふね)の歴史を振り返ると、古くから砂鉄の産地である中国山地や美作から吉井川の水運を利用し、豊富な原材料が持ち込まれ、作刀する多くの刀匠が居たことが分かります。鎌倉時代には、銘に「一」の字を切ることで有名な一文字派が誕生し、それぞれの住んでいるところで、福岡一文字派、片山一文字派、吉岡一文字派、岩戸一文字派と分かれています。その刀匠たちによって、高い技術水準と生産量で「刀剣王国」と呼ばれるようになった長船。そんな地に、引き継がれてきた刀剣文化と刀匠、刀職たちとの暮らしを身近に感じられる一棟貸しの宿が2026年6月にオープンします。
- ライター
- 高杉郁子
- 掲載日
- 2026年4月2日
目次
一刀の宿「seppa(セッパ)」
一棟貸しの宿「seppa(セッパ)」の建物は、備前福岡景観形成重点区域に建つ「仲﨑邸」(国登録有形文化財)の建設に尽力した棟梁が1918年に建てた住まいを宿泊施設にリノベーションしたものです。宿の名前は、刀の鍔(つば)の両面を挟み、刀身と柄をつなぎとめる薄い金具「切羽」から由来しています。外からはほとんど見えませんが、それがなければ刀は刀として成立しない、無くてはならないものです。宿「seppa」もまた、切羽のように刀の文化とまちの暮らし、人と人を静かにつなぎとめる存在として誕生します。
宿内には刀を展示
1階の飾り棚には、刀と道具が展示されていました。その長さと刀文の美しさは迫力があります。刀はかつて、武器であると同時に守りであり、祈りでもあり、人の精神を映す存在でもありました。鉄製なので手入れをしないと錆びてしまいますが、手入れを重ね、身に着け、家に置くことで、刀と共に過ごしてきた先人たち。「seppa」では、刀は観賞用ではなく、暮らしの中にあるものとして存在しています。飾り戸棚に竹が使われているのも、人の温もりと職人の技が感じられました。
1階(玄関・和室)
玄関を入ると続き間で3部屋があります。プレオープンの日は、着付けをして「刀を纏う」体験会と宿のお披露目会が行われていました。玄関を入ってすぐに目に入る飾り障子やお床のしつらえが季節を感じさせてくれました。刀の展示は、1階の和室の飾り棚にあります。
2階(和室)
2階の和室は日当たりの良い明るい部屋です。囲むように廊下があるので柔らかい光が入ります。お床の円形の飾り障子を少し開けると、掛け軸のようにも見えます。その隙間からのぞくと「仲﨑邸」が見えるようになっている、よく考えられた意匠設計です。
寝室には御守刀
2階は宿泊者の寝室になります。寝床を守る御守刀として短刀がショーケースに置かれています。刀と同じ空間で一夜を過ごすことで、昔の人たちの日常生活に刀が身近な存在であったことを感じられます。
繊細な欄間の装飾
和室の各所に見られる欄間の装飾が目を引きました。菊、亀、葡萄など、意匠の繊細さと職人の技が伝わってきます。
階段が飾り棚に
昔階段だった場所は、素敵な飾り棚になっていました。階段の壁にも飾り棚があります。季節の椿が生けられていて素敵でした。
設備面も充実
水回りは、1階にお風呂、洗面台、台所、トイレが備わっています。広いお風呂からは庭がよく見えます。台所では簡単な調理もできます。トイレと洗面台は2階にもあります。
石組の庭
奥行きのある庭は、石で整えられた中に植物が植えられていて、四季の移ろいを感じるつくりになっています。縁側に座って眺められる庭は、滞在時の憩いの場になりそうです。
朝食は「かけうどん」と「どどめせ」
「seppa」の朝食は、地元の人気店「一文字うどん」のかけうどんと、瀬戸内市の郷土料理のとどめせです。冷蔵庫に冷凍状態で用意されているので、宿泊者が自分で調理するようになります。うどんの麺は、石臼で自家製粉された「福ほのか」が使用されており、小麦を丸ごと挽くことで石臼製粉ならではの豊かな風味が感じられます。「とどめせ」は刻んだ根菜に米と出汁、少々のどぶくろを加えて炊き上げた、酢飯の炊き込みご飯です。宿から歩いて約4分の所にある「一文字うどん」でも食べられます。お昼時には行列のできる美味しいうどん屋さんです。
【一文字うどん】
所在地:岡山県瀬戸内市長船町福岡1588
TEL:0869-26-2978
営業時間:10:00~15:00
定休日:火・水曜日
駐車場:あり
宿の概要とアクセス情報
「seppa」は2026年6月開業予定で、5月中旬頃から宿泊予約を開始されるそうです。詳しくは公式サイト、SNSをご確認ください。※殺陣&着付け体験は公式X(一般社団法人 一刀)で募集告知あり。
【一刀の宿「seppa(セッパ)」】
所在地:岡山県瀬戸内市長船町福岡756
TEL:070-3537-9864
駐車場:あり
【交通アクセス】
<公共交通>
JR岡山駅から赤穂線でJR長船駅下車(約30分)。タクシー約5分(徒歩約15分)
<車>
山陽自動車道山陽ICから約20分
※JR岡山駅周辺からは約40分
はかま着付け体験
取材で訪れたプレオープンの日は、はかま着付け体験や模造刀で殺陣を体験するイベントが開催されていました。全国から参加されていて、刀剣ファンがたくさんいることにびっくりしました。皆さんお好みの着物を選び、着付けをされていました。はかまを着ると雰囲気が出て、古民家の「seppa」にもしっくりと馴染みます。
宿のオープン後も、このような体験会を開催していくそうです。
庭で刀の所作体験
庭では模造刀を使った刀の所作体験が行われていました。長い刀を腰に差すところから教えてもらい、実際抜いて元に戻すまでの一連の動作は案外難しく、皆さん苦戦されていました。慣れてきたら実際に刀を振ることが出来るように。なかなかない貴重な機会で、皆さん真剣に体験されていました。参加者の中にはお子様もいらっしゃって、幅広い年齢層が興味を持たれているようでした。
ちなみに講師は、おか旅ライターでもある大岩主弥さんでした!
お寺で殺陣体験
この日は「seppa」から歩いて約3分の所にある「教意山妙興寺」に移動して、殺陣の体験も実施されました。ここは日蓮宗のお寺で鬼子母神が祀られています。隣接の墓地には、宇喜多興家(おきいえ)と黒田官兵衛孝高(如水)の曽祖父・高政のものと伝えられる墓石もあります。宿にお泊りの際には散策にもおすすめです。はかまに刀を差して歩くと歩き方も変わり、町歩きも様になっていました。
屋外での実際の殺陣体験、皆さん真剣でした!大きなイチョウの木の下で刀を抜く所作から始まり、少しずつ刀を振って重さや大きさに慣れていきました。お寺の境内なので、雰囲気も抜群です。
【教意山妙興寺】
所在地:岡山県瀬戸内市長船町福岡684
TEL:0869-26-2024
駐車場:あり
「seppa」に住んでいた棟梁が建てた「仲﨑邸」
以前「seppa」に住まれていた棟梁が建築した「仲﨑邸」。福岡千軒(ふくおかせんげん)といわれる商都の繁栄がうかがえる建物で、国指定登録有形文化財にも指定されています。「seppa」からすぐなので、ぜひ立ち寄ってみてください。
【仲﨑邸】
岡山県瀬戸内市長船町福岡688
開館時間:10:00~15:00
開館日:土・日曜日
駐車場:あり
立ち寄り観光情報(周辺スポット案内)
刀剣について紹介した記事はこちら
紹介したスポットの場所(地図)
- 一刀の宿「seppa(セッパ)」
- 教意山妙興寺
- 仲﨑邸
- 一文字うどん
- 備前おさふね刀剣の里 備前長船刀剣博物館
- 天王社刀剣の森・靱負神社
- 慈眼院(長船刀匠菩提寺)
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