知っていれば少し自慢できるかも?岡山県内にある難読名称の神社5選
初見では決して読めないような難読名称の神社には、たいてい興味深い歴史や由来があるものです。今回は数ある岡山県内の難読名称の神社から、個人的に選んだ5つをご紹介します。
- ライター
- 田中シンペイ
- 掲載日
- 2026年2月26日
1.靭負神社(瀬戸内市)
「靭負神社」は「ゆきえじんじゃ」と読みます。はたして、日本人の何パーセントくらいが初見で「靭負」を「ゆきえ」と読めるのでしょうか(笑)。「靭」は「強靭」や「靭帯」の「じん」として音読みで目にすることはありますが、訓読みの「うつぼ、ゆき、ゆぎ」の方はあまり見かけません。そして、本来の漢字としては「靫」だとか「靱」(刃が少し違う)だとか…少々ややこしい。いずれにしても矢を入れておく入れ物のことなので、「靭負」はそれを背負った状態を指すのでしょう。このあたりに古くから伝わる地名なのだそうです。
「靭負神社」が鎮座する場所は瀬戸内市の長船。言わずと知れた日本を代表する刀剣の産地で、旧山陽道に面した要衝です。南北朝時代に足利尊氏が九州へ落ちのびる途中、ここで再起を祈願し、みごとに捲土重来を果たしました。足利尊氏は後に日向産の松の木を当神社へ寄進したと言われています。境内はその松の木の子孫とされる鎮守の森「天王社 刀剣の森」に囲まれています。
また、足利尊氏が目を患った際に当神社で祈願すると回復したという伝承もあり、眼病平癒の御利益がある神社としても知られています。刀剣の製作現場では炎をじっと見つめるので目を悪くする人が多く、長船の刀匠たちから篤い信仰を受けたそうです。現在でも、紙に「め」と書いて拝殿に貼るという祈願が行なわれています。
深い歴史を感じられる静かな境内をのんびりと散策するのがおすすめです。「備前長船刀剣博物館」から徒歩圏内にあるので、来館にあわせて参拝してみてはいかがでしょうか。
2.尾治針名眞若比咩神社(岡山市)
「尾治針名眞若比咩神社」は「おじはりなまわかひめじんじゃ」と読みます。『延喜式』に記載のある式内社ですが、一時所在が不明となった後に再興されたそうです。
式内社とは
神社の由緒書きなどを読んでいると「式内社」という用語を目にすることがあります。平安時代に編纂された『延喜式』(律令制の施行細則をまとめた書物)に「神名帳」という項目があり、全国の神社の一覧が掲載されています。ここに記載のある神社は「式内社」と呼ばれ、とても由緒の古い神社であるとされています。
御祭神は「尾治針名眞若比咩命」という変わったお名前ですが、この地域の「産土神(うぶすながみ)」だそうです。ちなみに、一族を守護してくれる神様を「氏神」、その土地で生まれた人を守護してくれる神様を「産土神」と呼びます。現在では区別されなくなり、「氏神」や「氏子」として耳にすることが多いと思います。
岡山市の市街地中心部を見渡せる丘陵の上に鎮座していて、周辺は住宅地や学校になっています。麓から想像したより境内は広くて明るく、とてもきれいに整備されていました。地元の方々によって、大切に管理されていることがわかりますね。
3.石上布都魂神社(赤磐市)
「石上布都魂神社」は「いそのかみふつみたまじんじゃ」と読みます。知る人ぞ知る非常に興味深い由緒をもつ神社で、こちらも式内社です。『日本書紀』には、素戔嗚尊(すさのおのみこと)がヤマタノオロチを退治した剣は吉備にあると記されていて、それは「石上布都魂神社」のことだと言われています。剣はその後、現在の奈良県にある「石上神宮(いそのかみじんぐう)」へ移されましたが、明治時代に「石上神宮」の禁足地が発掘されると伝承の通りの剣が出土したそうです。
拝殿の先にも険しい参道が続き、登りつめた場所には「磐座(いわくら)」が鎮座しています。
「石上布都魂神社」は以前に「おか旅」で紹介された記事がありますので詳細はリンク先をご覧いただければと思います。
4.神神社(岡山市)
「神神社」と書いてあると一瞬「?」となってしまいますが、こちらは「みわじんじゃ」と読みます。奈良県の三輪山の麓にある「大神神社(おおみわじんじゃ)」も「みわ」と読むので、歴史が好きな方であればピンとくるかもしれません。御祭神は「大神神社」と同じく「大物主神(おおものぬしのかみ)」です。
「神神社」は小高い山の上に鎮座していて、麓に広がる津高地区を見渡すことができます。その一方、傍らには満々と水をたたえた大きな池もあるという不思議なロケーションとなっています。
興味深いのは、そこそこの山間部であるにも関わらず「鯨岩」という海にまつわる伝承が残されていることです。内容としては、「大物主神」がクジラに乗って当地を訪れ、待ちぼうけをくったクジラは石になってしまった、という感じです。なんだか不思議なお話ですね。
境内には「八大龍王」も祀られています。晴れの国岡山は、当然のごとく雨が少ない地域です。そのため「雨乞い」がさかんに行なわれていたようで、雨をつかさどる龍神様が各所に祀られているのです。ちなみに、岡山県には「龍王山」など龍や竜のつく名前の山がたくさんありますが、かつて雨乞いが行なわれていた場所であることを示唆しています。
5.五香宮(瀬戸内市)
「五香宮」は「ごこうぐう」と読み、神功皇后とのゆかりが深い神社です。当初は住吉三神が祀られていましたが、江戸時代の岡山藩主「池田光政」により京都伏見の「御香宮神社(ごこうのみやじんじゃ)」から「神功皇后」「応神天皇」が勧請され(神の分霊を他の場所に移して祀ること)、合わせて五柱の神を祀るので「五香宮」となったのだそうです。
「五香宮」は猫がたくさんいることでも知られています。ここでは、唐琴の瀬戸に響く潮騒を聴きながら、のんびりとした時間を過ごすのがおすすめです。
まとめ
今回ご紹介した神社はいずれも宮司さんが常駐しておらず、ふだんは無人です。そして観光客であふれかえるような場所でもありません。しかし、境内は隅々まで整備されていて、落ち着いた空間が訪れた人を温かく迎えてくれる気がします。ぜひ、静かな境内をのんびりと散策して、先人たちが刻んできた悠久の歴史を感じてみてください。
紹介したスポットの場所(地図)
- 靱負神社
- 尾治針名眞若比咩神社
- 石上布都魂神社
- 神神社
- 五香宮
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