地元ライターいちおし、備中の地酒バル「粋酔日」。倉敷美観地区にも近い!
倉敷美観地区のすぐ近くにある、全国でも極めて珍しい「備中の地酒」に特化した「備中の地酒バル 粋酔日(すいようび)」。店主自ら蔵元を訪ねて仕入れる酒と、手間を惜しまない料理が人気で、観光客だけでなく常連も多い店です。「笑って楽しく飲むのが一番美味い」と笑顔で語る大将の人間味も魅力。店名通り"粋に酔える日”になれる、この店の魅力を紹介します。
- ライター
- イマオカ マコト
- 掲載日
- 2026年9月29日
目次
唯一無二、備中の地酒に特化したこだわり
店に入ると、黒板いっぱいに備中の蔵元と銘柄のイラストが目に飛び込んできます。この温もり溢れるチョークアートは常連さん達によって描かれたもので、この時点で店の愛され度が伝わってきます。「粋酔日」で扱うのは“備中の酒のみ”。岡山県西部を縦断する7市3町の備中エリアには、土地ごとの気候風土や蔵元の方針によって、味わいもさまざまな個性の酒がたくさんあります。「うちは備中の酒しか置いていません。土地ごとに味わいもまったく違う。だからこそ面白いんです」と大将の中原和雄さん。自ら蔵元へ足を運び、直接対話を重ねながら仕入れるため、一般にはあまり出回らない限定酒や珍しい番外酒が並ぶことも!日本酒はもちろんクラフトビールもあります。
大将曰く「満遍なく誰にでも好まれる丸い形じゃなく、ギザギザで心に引っかかる。そんな店でありたいですね」。その個性に惹かれ、県外だけでなく台湾、韓国、アメリカなど海外のお客さんも増えているそうです。
知識よりも、自分の好みで選んでほしい
日本酒を選ぶとき、純米大吟醸などの種別や精米歩合などを気にする人も少なくありませんが、大将が大切にしているのはそうした情報だけで酒の価値を決めないこと。「醸造アルコールが入っているからダメだとか、純米大吟醸だから偉いとか、そんなのは関係ない」。純米も本醸造も蔵人の技術や想いが詰まっているからこそ、他人の評価ではなく自分が美味しいと感じるかどうかを大切にしてほしいと言います。「合わないなら合わない、でいいんです。人の好みに正解・不正解はありませんから」と笑う大将が印象的です。
初めての人にも、気軽に楽しめる飲み方を
酒に詳しくなくても、構える必要はありません。「フルーティーで飲みやすい」「スッとしたキレがある」など、大将が分かりやすい言葉で好みに合う酒を提案してくれます。いろいろな銘柄を試したいという声には、量を少なめにした3種飲み比べもあるので遠慮なく伝えてみて。知識を披露するためではなく、楽しく飲んで自分に合う一杯を見つける。大将はそんな気軽な酒との付き合い方を提案しています。
一滴の酒には、何百人もの仕事がこもっている
「粋酔日」が何より大切にしているのが、酒や造り手への敬意。米をつくる農家、農具をつくる人、蔵人にブルワリーの人、酒造りを支える道具職人、運送業者。一杯の酒が完成するまでには、さまざまな人の仕事が関わっている「何百人もの手と汗の結晶がこのグラスに注がれているんです」と大将。だからこそ、一滴残さず酒を感謝しながら楽しく飲んでほしいと、酒のことを聞くと躊躇することなく説明が返って来ます。すべての酒への半端ないリスペクトがビシビシ伝わってきます。
※掲載画像は取材日に私と周りのお客さんがオーダーした酒の一部です。
お客さんのお腹と心を掴む、大将の料理
バルというイメージからメニューはライトなつまみかと思いきや、40年以上のキャリアを持つ大将は料理への手間を惜しみません。「1から10まで、自分で作ったものでお代をいただくこと」を信条に仕入れから仕込み、調理までじっくり手をかけています。数あるメニューの中で、私が魅せられているのは「アジフライ」。仕入れから丁寧な骨抜き、自家製タルタルソースを添えて仕上げられ、シンプルな料理だからこそ仕込みの細かさが味わいに表れています。画像は「片身」ですがこのボリューム!遠方から通うファンがいるのも納得です。アジはもちろん、タルタルソースだけでも酒が進みます。もちろん他のメニューも丁寧な仕事で唸らせてくれます。
定番から季節のおすすめまで、酒と合わせて楽しみたい料理が揃っています。例えば取材時にあった季節メニュー「自家製鶏味噌添え冷奴」もいい仕事していました。大将曰く「既製品の袋を開けて出すことはしない、お代をいただくからには家庭で出せるものとは違うものにしたい」。その言葉どおり、約2週間仕込む「自家製ベーコン」のように時間をかけるものはもちろんのこと、シンプルな料理も手間を惜しまないため、お通しから期待が膨らみます。手のかかった酒を楽しむための肴でありつつ、料理としても成立している。酒と料理、どちらもメインで対等、まさに酒の友です。
※画像の料理は取材時のものですので、季節によっては提供していない場合があります。
店の自慢は、酒でも料理でもなく「お客さん」
先にも触れた通り、店内は常連客が手掛けたチョークアートに彩られ、壁にはお客さんのイラストやメッセージが飾られています。そこには、酒場を訪れる人たちとのつながりが感じられます。「うちの自慢はお客さん」と話す大将が大切にしているのは、酒の難しいウンチクを語り合うことではない。例えば、隣の人と「美味しいね」と笑い合い、楽しい時間を過ごして帰ってもらうこと。実際に初対面だったお客さんが仲良くなって、後日一緒に来店することもあるそうです。「お酒に詳しい人も、これから日本酒を楽しみたい人も、それぞれのペースで過ごせる場所になれたらいいですね」という大将の姿勢はずっと変わらないんだろうと思わせてくれます。
取材の日にも、「ホテルの人が一番に紹介してくれました」という旅行中の方や、「社長から勧められた」という某酒蔵の方が取引先の方と一緒に来店。お客さんがお客さんを呼んでいる店だと実感できます。
笑って楽しく飲めれば、最高の「粋酔日」
備中の地酒にこだわり、料理には手間をかけ、一方で酒の楽しみ方は自由でいいと語る大将。その姿勢が、酒や料理だけでなく、店を包む空気にもつながっています。気になる酒を試し、手仕事の肴をつまみ、隣の人とも話が弾む。「粋酔日」にはそんな時間を過ごせる魅力があります。私も気がつけば開店から閉店まで座っていました。
倉敷を訪れた際は、備中の地酒をどっぷり、あるいはライトに、「粋酔日」で笑って楽しく飲みませんか?もちろん食事だけでも大歓迎とのことです。
【備中の地酒バル 粋酔日(すいようび)】
所在地:岡山県倉敷市中央1-13-3
TEL:086-434-3142
営業時間:18:00〜23:00(金・土曜日は17:00〜23:00)
定休日:月曜日
駐車場:なし
※貸切やイベント、臨時休業などはGoogleマップの最新情報と公式Instagramに掲載の営業カレンダーをご確認ください。
地図
- 備中の地酒バル 粋酔日
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