瀬戸内国際芸術祭2025 ~ 岡山県・児島観光港から行く本島・宇多津エリア
2025年11月9日(日)まで開催中の瀬戸内国際芸術祭2025・秋会期。
今回は岡山県側にある児島観光港を起点に、香川県の本島・宇多津エリアを回遊し、児島駅に戻ってくるルートをご案内。瀬戸芸らしさのある、地域の歴史を反映したアート作品とあわせて紹介します。
- ライター
- toru.
- 掲載日
- 2025年10月22日

児島観光港へのアクセス
香川県にある瀬戸内海の離島、本島(ほんじま)への玄関口となるのは、JR児島駅から徒歩約5分の「児島観光港」です。
JR児島駅の改札を抜け、右手側の東口へ向かいます。
駅を出たところにある歩道橋を渡り、南へ徒歩約5分。本島への定期船が発着する児島観光港に到着します。
待合室の前には、船に乗船されるかた専用の無料駐車場もあります。なお、利用の際には窓口でナンバープレート(数字4桁)を聞かれますのであらかじめ控えておくとスムーズです。
また、児島観光港に隣接する商業施設「FOK SEA SIDE TERRACE」には、うどん店、青果店、カフェなども入居していて、乗船までの待ち時間に利用することも可能です。
本島へのアクセス
児島観光港の待合室に旅客船(むくじ丸海運)のきっぷ売り場があります。
本島までの運賃は片道大人650円、小人320円(2025年10月現在)です。
ちなみに往復の場合は割引があり、大人1,230円、小人610円(同上)です。
この航路のハイライトは、瀬戸大橋の下をくぐるところ。後ろのデッキに立つと、迫力ある橋の大きさを間近に感じることができます。
児島観光港から約30分で目的地の本島に到着します。
本島の紹介
岡山県と香川県のあいだ、塩飽(しわく)諸島に位置する「本島」。人口250人のこの島は江戸時代から明治時代にかけて「塩飽大工」とよばれる優秀な大工集団を輩出したことでも知られています。
例えば、岡山県総社市にある「備中国分寺五重塔」は江戸時代に塩飽大工の手によって建立されたと伝えられていて、当時の技術力の高さをうかがい知れます。
また、江戸時代には海運が栄えていたこともあり、廻船業で財を成した当時の栄華を今に伝える古い町並みも残っています。
そのうちの一つである「笠島集落」は1985年(昭和60年)、重要伝統的建造物群保存地区に指定されました。
古くから岡山県ともつながりの深いこちらの島は、2013年より「瀬戸内国際芸術祭」の舞台となっていて、塩飽諸島の歴史からインスピレーションを受けたアート作品が多数展開されています。
こちらは良質な石材がとれる「広島」の採石場にて採取した石を使った作品「SETOUCHI STONE LAB / 川島大幸」。
なお、本島港から作品が多数ある笠島集落までは離れているため、バスで往復するのが便利です。芸術祭期間中は、瀬戸芸公式アプリより1日券(大人400円、小人200円)も販売されていて、往復するだけで元が取れます。
作品紹介(本島)
島内に数ある作品の中から、2025年の新作をピックアップして紹介します。
ho19 ディスパッチ / ジャッガイ・シリブート
タイ人アーティストによるパッチワークと刺繍を組み合わせた作品。
ワークショップにより、島の人たちの思い出が詰まった衣服に刺繍が入れられています。
ho20 うみのえまつり / コタケマン
旧本島中学校の体育館を使った巨大な壁画のような作品。本島での作品制作中のムービーも公開されています。
ho21 House of Shadows(影の家) / エカテリーナ・ムロムツェワ
古民家の中に展開されている、タイトルのとおり動く影絵が印象的な作品。
丸亀港経由で宇多津へ
本島からフェリーにて丸亀港(香川県)に向かいます。
本島から丸亀港までの運賃は片道大人560円、小人280円(2025年10月現在)です。
丸亀港から徒歩約10分でJR丸亀駅に到着。ここから高松・岡山方面に電車で1駅のJR宇多津駅へ移動します。
宇多津エリアの紹介
瀬戸内国際芸術祭2025より新たに会場となった「宇多津エリア」。
古来より塩づくりで栄えたこの町、製塩方法の変化により塩田は廃止となりましたが、その広大な跡地は「新宇多津都市」として開発され、新しい街へと生まれ変わりました。
今回の芸術祭では、古くからの市街地である「古街(こまち)」と、塩田跡地にある「宇多津臨海公園」にアート作品が展開されていて、それぞれの会場とJR宇多津駅を結ぶ無料シャトルバスが運行されています。
作品紹介(宇多津)
エリア内に点在する作品より、代表的なものをピックアップして紹介します。
いずれも「塩」や「海」からインスピレーションを受けた、宇多津らしい作品です。
ut03 「時を紡ぐ」(ときをつむぐ) / 山本基
古街エリアにある登録有形文化財の「倉の館 三角邸(旧堺邸)」にて展開されている、塩で描かれたアート作品。
こちらで使用されている塩は、岡山県玉野市に製塩工場を持つ「ナイカイ塩業」の提供によるものです。 同社は宇野港エリアにて展開されている作品「un16 命の塩 / SILT」にも同様に塩を提供しています。
枯山水の庭園を思わせるような、繊細さとダイナミックさが共存した作品です。
ut01 色のない翼の彼方 / 西澤利高
宇多津臨海公園内に新たに設置された屋外アート作品で、水族館の水槽に使われるアクリルパネルを組み合わせた作品。
水族館で使用されるアクリルパネルも、香川県の企業が多くのシェアを持つ分野なので、地域性を感じます。
夕陽が綺麗な場所ですので、夕暮れ時の訪問がおすすめです。
おわりに
アートをたどりながら「本島」と「宇多津」の各エリアをめぐると、「塩」や「石」といった古来からの産業が、対岸の岡山県とも深くつながっていることに気づかされました。
今回の旅の起点となった児島も、宇多津同様に塩づくりで栄え、塩田跡地に新しい街が作られている共通点があります。
児島には塩田王の旧宅で、近年はドラマロケなどにも使われた「旧野崎家住宅」があり、併設の「野崎家塩業歴史館」では塩作りの歴史を学ぶこともできます。
また、本島を含む塩飽諸島は、岡山県の笠岡諸島などとともに、日本遺産「知ってる!?悠久の時が流れる石の島 〜海を越え、日本の礎を築いた せとうち備讃諸島~」にも認定されています。
瀬戸芸をきっかけに、これらの歴史遺産をたどってみるのもおすすめです。
紹介したスポットの場所(地図)
- 児島観光港
- 本島
- 宇多津エリア
- 旧野﨑家住宅
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