倉敷美観地区周辺で名建築とともに楽しむ屋外アート
「パブリックアート」という言葉を聞いたことがありますか。公共施設や公園など、誰もが入って見ることのできる場所に置かれたアート作品のことを指し、屋外彫刻などがこれに当たります。「大原美術館」や「倉敷市立美術館」といった建物自体もアート要素のある文化施設が多い倉敷美観地区周辺には、屋外彫刻をはじめ無料で楽しめる作品が点在。
本記事では、倉敷美観地区周辺にある名建築とともに楽しめるパブリックアートをピックアップして紹介。まち歩きの際にちょっと足をとめて鑑賞してみませんか。
- ライター
- toru.
- 掲載日
- 2026年6月26日
目次
町並みに溶け込む世界的彫刻家の作品(倉敷公民館)
倉敷美観地区に隣接する「倉敷公民館」。倉敷市役所や倉敷アイビースクエアを手がけた建築家、浦辺鎮太郎(うらべ しずたろう)による、白壁の蔵をイメージして作られた建築は歴史ある町並みによく馴染んでいます。
公民館の前に、黒御影石で作られた彫刻が設置されています。「KURASHIKIMON」と名付けられたその彫刻は、香川県出身の世界的アーティストである流政之(ながれ まさゆき)による作品。
1969年に倉敷公民館(当時は倉敷文化センター)が完成したことを記念し、倉敷ロータリークラブより寄贈されました。
当初は館内に置かれていましたが、後に現在の場所(屋外)に移動されています。
所在地:岡山県倉敷市本町2-21
大原美術館分館前の彫刻群(新渓園)
観光バスの駐車場から倉敷美観地区方面に抜ける地下道を出たところにある「新渓園」。こちらに隣接する大原美術館分館前にも、著名なアーティストによる屋外彫刻が多数あります。
大原美術館分館の建築は、倉敷公民館と同じく浦辺鎮太郎により手がけられたもので、1961年に開館しました。伝建地区である倉敷美観地区の南西の城壁をイメージしたといわれるモダニズム建築は、波打つような屋根など当時としては斬新な意匠を取り入れつつも、倉敷美観地区のまちなみに調和しています。
黒御影石で作られたこちらの作品「道しるべ」は、名前のとおり大原美術館の各館への案内板の役割を果たしています。
手がけたのは香川県出身の彫刻家、速水史郎(はやみ しろう)。芝生の上に浮かぶ島のようなデザインで、下部は波による浸食をイメージ。
分館前にはほかにも、ロダン、イサム・ノグチ、ヘンリー・ムーアといった有名彫刻家の作品が並んでいます。
所在地:岡山県倉敷市中央1-1-20(新渓園)
営業時間:9:00~17:15
登録有形文化財の旧市庁舎とまちかどの彫刻たち(倉敷市立美術館)
倉敷中央通りを挟んで、大原美術館分館の南西側にある「倉敷市立美術館」。1960年に倉敷市庁舎として建てられたコンクリート打ちっぱなしのモダニズム建築で、現市役所への移転後改修を経て1983年より美術館として使用されています。
手がけたのは戦後日本を代表する建築家、丹下健三(たんげ けんぞう)。戦後モダニズムを代表する建築のひとつとして、2020年には国の登録有形文化財に指定されました。
美術館の周辺には、多数のパブリックアートが点在しています。
美術館は大きなひさしが特徴的な建物。そのの南広場にある黒御影石の彫刻「ETTOSE」。倉敷公民館の「KURASHIKIMON」と同じく、流政之の作品です。
こちらの作品「ENCOUNTER’87」は、大原美術館分館前にある「道しるべ」を制作した速水史郎による作品で、1987年に開催された「第1回 倉敷まちかどの彫刻展」出展作品でした。
倉敷まちかどの彫刻展
倉敷まちかどの彫刻展は、自然と人と文化が調和した都市空間づくりを基本理念に、倉敷市の新市発足20周年記念事業の一環として、1987年にスタートした野外彫刻の公募展です。「文化都市・倉敷」を象徴するパブリックアートとして美しい都市景観を創造するとともに、市民に文化芸術を身近に感じていただくことを目的に実施されてきました。
第1回展(1987年)から第6回展(2003年)までが行なわれ、現在は各回の入賞作品47点が市内の街路や広場など公共スペースに設置されています。
(公式サイトより引用)
美術館の周辺には、倉敷まちかどの彫刻展出展作品が多数配置されています。南広場にあるこちらの作品「RELATION "二人の関係?"」は、第2回展に出展されたものです。
美術館の東歩道にある大きな花崗岩で作られた作品「ストン!」ストーン(石)が傾き落ちる様を表現した作品です。
隣接する中央駐車場北広場にある「群生」。タイトルのとおり、真鍮で作られた杭が繁っているような作品で、周囲の景観と一体化しています。
所在地:岡山県倉敷市中央2-6-1(倉敷市立美術館)
龍のレリーフが美しい「今橋」
大原美術館の前に架かる「今橋」。倉敷美観地区のフォトスポットとして、季節を問わず多くの観光客で賑わうこの橋は、龍のレリーフがデザインされています。
現在の橋は今から100年前の1926年、昭和天皇の倉敷訪問に合わせて架けられたものです。デザインを手がけたのは大原美術館の礎となるコレクションを蒐集した洋画家・児島虎次郎。
大原美術館を開設した大原孫三郎の干支である「龍」のレリーフに、欄干の頭部にあしらわれた菊花紋の意匠には、昭和天皇への敬意が込められています。外側の龍は立体的に、内側の龍は平面的に表現されているところにも注目です。
大原美術館本館前にある2体のロダン
今橋の前にある「大原美術館」。"天皇に選ばれた建築家”薬師寺主計(やくしじ かずえ)の手がけたローマ神殿風の本館を擁する日本初の本格的な西洋美術館として1930年に開館しました。本館前には開館以来、来館者を迎え続けたロダンによる2体の銅像があります。
向かって右手の銅像は、「カレーの市民ージャン=デール」。 国立西洋美術館(東京・上野)の前庭にある群像彫刻「カレーの市民」の中の1体です。鍵を持ってじっと前を向く姿は、美術館のエントランスにマッチしています。
左手の銅像は「洗礼者ヨハネ」。大原美術館の創設者の大原孫三郎は、岡山孤児院の創設者で社会福祉事業家の石井十次との親交をきっかけにキリスト教の影響を強く受けたといわれています。この銅像は、大原孫三郎自身を具現化したものなのかもしれませんね。
いずれも戦時中の金属供出からも免除され、現在に至るまで来館者を迎え続けています。
【大原美術館】
所在地:岡山県倉敷市中央1-1-15
TEL:086-422-0005
営業時間:9:00~17:00
定休日:月曜日
駐車場:なし
おわりに
紹介した以外にも、倉敷美観地区周辺は多数のパブリックアートや名建築が存在しています。いずれも無料で鑑賞できるので、散策の途中に見かけた際は気に留めてみてはいかがでしょうか。
また、散策時には倉敷美観地区周辺のまちあるきをより楽しめるデジタル地図「倉敷まちあるきマップ」も合わせて利用すると、道中で見つけた古くからある石碑などの謂れが分かるなど、新たな発見があるのではと思います。
地図
- 倉敷公民館
- 新渓園
- 倉敷市立美術館
- 今橋
- 大原美術館
Google Mapの読み込みが1日の上限を超えた場合、正しく表示されない場合がございますので、ご了承ください。


































































