岡山市街地周辺現代建築めぐり~新しきをたずねて古きに出会う~
岡山市街地周辺には、数多くの特徴的な現代建築が点在しています。
今回は岡山大学(津島キャンパス)を起点に、自転車を使って南へ下るルートで平成以降の現代建築7スポットを探訪しました。
世界的有名建築家の作品から現代的なオフィスビルまで、街の中できらりと光る現代建築の数々と、対になるレトロ建築との対比を周辺の風景とあわせて案内します。
- ライター
- toru.
- 掲載日
- 2025年12月19日
目次
1.Junko Fukutake Terrace(Jテラス)
まず初めに訪れたのは、岡山大学津島キャンパス内にある不思議な形をしたこちらの建物「Junko Fukutake Terrace(Jテラス)」。
世界的建築家である妹島和世(せじまかずよ)・西沢立衛(にしざわりゅうえ)による建築家ユニット「SANAA(サナア)」の設計により、2014年にオープンしました。
SANAAは2025年春、宇野港に設置されたベンチのデザインを手がけており、直近の代表作としては、あなぶきアリーナ香川(2024年 高松市)、Better Co-Being(2025年 大阪・関西万博)などが挙げられます。
いずれの作品も、曲線と直線を融合させた有機的なデザインが特徴的です。
ちなみに建物の名前は、寄贈者である福武純子氏(公益財団法人 福武教育文化振興財団 代表理事副理事長(当時))にちなみ名付けられました。
曲線を多用した庇(ひさし)と、それに沿うようにカーブした開放的な窓が特徴的です。
内部は「Jテラスカフェ」として営業していて、だれでも利用することができます(カフェについての詳細はこちらの記事を参照してください)。
周辺は築山のある芝生広場となっており、このスペースを利用して時折イベントも開催されています。
また、隣接する農学部南側の通路のイチョウ並木は、紅葉の名所。こちらも秋になると多くのかたが訪れます。
【Junko Fukutake Terrace(Jテラス)】
所在地:岡山県岡山市北区津島中1-1-1
TEL:086-253-0567(Jテラスカフェ)
定休日:日曜日、祝日
2.パーゴラ
岡山大学構内にあるSANAAの手がけたもう一つの建築が、こちらのパーゴラ。
Jテラスからほど近く、岡山大学の福利厚生施設であるピーチユニオンの東側の交流広場にあります。
Jテラスの屋根部分のみを切り取ったような特徴的な外観で、細い柱で支持された屋根がもたらす浮遊感が特徴的な建築です。
将来、周りの樹木が生長し、森の木陰のような空間になることを想定しています。
【パーゴラ】
所在地:岡山県岡山市北区津島中3-6-7
定休日:なし
パーゴラとは
パーゴラとはぶどう棚を指す言葉で、日陰をつくり、くつろぎの場を創造するための屋根として設置されています。(現地看板より抜粋)
3.ベネッセコーポレーション本社ビル
岡山大学津島キャンパスから、岡山市街地に向かう途中にあるこちらの高層ビルは「ベネッセコーポレーション本社ビル」。進研ゼミなどで知られる岡山を代表する企業のひとつです。
近年では現代アート方面での知名度が高く、直島、豊島、犬島にて30年以上にわたり継続されている「ベネッセアートサイト直島」は、瀬戸内国際芸術祭開催のきっかけになりました。
本社ビルは大手設計事務所である「日建設計」による設計で1990年に竣工。同年BCS賞を受賞しています。
また、周囲は公開空地となっていて、誰でも自由に入ることができます。
エントランス近くの屋外には、直島にも屋外作品があるニキ・ド・サンファル氏によるアート作品「アダムとイブの選択」が展示されています。
近くには不思議な形をした変電所(中国電力ネットワーク 広瀬変電所)もありました。
【ベネッセコーポレーション本社ビル】
所在地:岡山県岡山市北区南方3-7-17
※外観と公開空地のみ見学可能
4.朝日新聞社岡山総局
ベネッセコーポレーション本社前の道を南へ走ると、路面電車と交差する柳川交差点のすぐ北側にコンクリート打ちっぱなしの現代建築「朝日新聞社岡山総局」がみえてきます。
設計を手がけたのは、日本を代表する世界的建築家、安藤忠雄。後述する「おかやま信用金庫 内山下スクエア」とともに、岡山市街地にある安藤建築として知られた建物です。
内部は非公開のため、道路上から外観を見学します。コンクリート打ちっぱなしとガラスサッシの組み合わせは、岡山県高梁市にある「高梁市成羽美術館」にも通ずるデザインです。
【朝日新聞社岡山総局】
所在地:岡山県岡山市北区野田屋町1-12-11
外観のみ見学可能
5.岡山シンフォニービル
路面電車の城下電停前にあるこちらの円形型の建物は「岡山シンフォニービル」。
ビル内に入る「岡山シンフォニーホール」は、本格的なオーケストラの演奏にも対応したホールとして1991年に開館しました。
設計は数多くの公共建築を手がけた建築家、芦原義信。存在感のある外観は開業以来、城下エリアのランドマークとして親しまれています。
(2025年12月現在、館内の改装工事中のため外観のみ見学可能です)
ちなみに、岡山観光WEBを発信している岡山県観光連盟は、こちらのビル2階に事務所があります(観光パンフレットも取り揃えています)。
【岡山シンフォニービル】
所在地:岡山県岡山市北区表町1-5-1
6.おかやま信用金庫 内山下スクエアとルネスホール
以前、岡山市内近現代建築めぐりにて紹介した「おかやま信用金庫 内山下スクエア」。安藤忠雄の手がけた銀行建築として個性の光るこちらの建物、今回は内部見学に立ち寄りました。
入口を入って左手に受付がありますので、そちらで一声かけると内部見学が可能。ちなみに見学は日曜日、祝日以外の日中に対応しているとのことです。
内部はコンクリート打ちっぱなしの大きな吹き抜け空間。教会など聖なる空間を多く手がけてきた建築家の本領が発揮されているように感じられました。
吹き抜け空間の周囲は螺旋階段になっていて、ガラス張りの北側の窓からは隣接するルネスホールがよく見えます。
ルネスホールと銀行建築の変遷
ルネスホール(旧日本銀行岡山支店)は、東京駅を手がけた建築家・辰野金吾(たつの きんご)の弟子で、銀行建築の第一人者として知られた建築家・長野宇平次(ながの うへいじ)の設計により、1922年に日本銀行岡山支店として建てられました。
その昔、この通りには中国銀行本店、山一證券岡山支店、日本銀行岡山支店と戦前に建てられた重厚な銀行建築が並び、厳粛な金融街の雰囲気を醸し出していたそうです。
内山下スクエアを設計した安藤忠雄氏は、周囲の景観や歴史を考慮して、円形の吹き抜け空間の外観にルネスホールの円柱のイメージを重ねたのかも知れませんね。
【おかやま信用金庫 内山下スクエア】
所在地:岡山県岡山市北区内山下1-7-1
TEL:086-223-1710
定休日:日曜日、祝日
7.Junko Fukutake Hall(Jホール)
岡山大学鹿田キャンパス内にある特徴的な形をしたこちらの建物「Junko Fukutake Hall(Jホール)」。
冒頭に紹介したJテラス同様、福武純子氏の寄贈により2013年にオープンしました。
設計もJテラス同様、建築家ユニット「SANAA(サナア)」の手によるものです。
7枚の大きな屋根が折り重なるようなデザインが特徴的な外観は、全面ガラス張りにより軽快な印象を受けます。
館内には、SANAAデザインの椅子も置かれていました。
また、隣接する1932年竣工、アール・デコ様式のレトロ建築「鹿田会館・講堂」との対比も興味深いです。
【Junko Fukutake hall(Jホール)】
所在地:岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
TEL:086-235-6826
定休日:土・日曜日、祝日、12月29日~1月3日、その他学長が認めた日
(外観の見学は可能)
おわりに
今回、平成以降の現代建築にスポットを当てながら岡山市街地を探訪してみて、歴史ある場所に立つ現代建築には対となるレトロ建築があることに気がつきました。
紹介したルネスホールと内山下スクエア、鹿田会館とJホール以外にも、新旧の建物が調和している場所が街中には数多くあります。
建築に限らず、興味関心のある事柄を軸に探訪してみると、新たな発見に出会えるのかも知れませんね。
今回紹介した以外にも、岡山市街地には特徴的な建築がたくさんあります。お気に入りの建物を探しながら自分だけの地図を作ってみてはいかがでしょうか。
撮影協力/モデル:YURI
紹介したスポットの場所(地図)
- Junko Fukutake Terrace(Jテラス)
- パーゴラ
- ベネッセコーポレーション本社ビル
- 朝日新聞社岡山総局
- 岡山シンフォニービル
- おかやま信用金庫内山下スクエア
- 岡山大学 Junko Fukutake Hall
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