岡山市の「千足古墳」で歴史探訪 〜古代吉備と北部九州のつながりを伝える装飾古墳〜
岡山市北区にある「造山古墳」は、墳丘に上がれる古墳としては国内最大の前方後円墳として知られる岡山県内最大の古墳です。今回紹介するのは、造山古墳の陪塚として作られたとされる「千足古墳」。近年発掘調査がおこなわれ、2023年に墳丘と石室が復元整備されました。円筒埴輪が並べられた墳丘の外観は、誰もがイメージする古墳の姿そのもの。早速ご案内します。
- ライター
- toru.
- 掲載日
- 2026年1月19日
目次
千足古墳とは
「造山古墳」の前方部前面(南側)に位置する、墳長約81m、後円部径約63m、同高さ7.4m以上、前方部長約25mからなる前方後円墳(帆立貝式古墳)です。
造山古墳の陪塚(ばいづか)とされ、別名を造山第5古墳といいます。周辺には千足古墳を含め6つの陪塚が点在しています。
2023年に復元整備工事が完了し、石室の一般公開が始まりました。
陪塚(ばいちょう・ばいづか)とは
大型の主墳(しゅふん)の周囲に、同じ時代に計画的に造られた小型の古墳群。
主墳に従属し、近親者や従者の墓、または副葬品を埋納するために作られたもので、前方後円墳、円墳、方墳など様々な形があり、特に古墳時代中期に多く見られます。
造山古墳ビジターセンターからスタート
造山古墳の東側にある「造山古墳ビジターセンター」から散策をスタートします。こちらには駐車場やトイレが完備されているほか、ビジターセンターとして古墳めぐりの拠点機能が充実しています。
館内には造山古墳群(造山古墳と陪塚)の紹介はもとより、日本遺産「桃太郎伝説」の生まれたまち おかやま の紹介コーナーもありました。
また、それに関連して開催されている「御墳印ラリー」のスタンプも設置されています。
こちらでは造山古墳のほか、近隣にある弥生時代の遺跡「楯築遺跡」の御墳印を押すことができます。御墳印ラリーについては、こちらの記事を参照ください。
【造山古墳ビジターセンター】
所在地:岡山県岡山市北区新庄下789
TEL:086-803-1332(岡山市観光振興課)
営業時間:10:00~15:00
定休日:月曜日(祝日の場合は直後の平日)、年末年始
駐車場:あり
トイレ:あり
造山古墳に登ります
ビジターセンターを出発し、まずは西側にある造山古墳に登ります。墳丘部に上がれる古墳としては国内最大規模の巨大古墳は、吉備がいかに権力を持った国であったかを今に伝えています。
造山古墳の東側は住宅地となっています。地面に書かれた案内にしたがって進むと、登り口が見えてきました。
階段を登りきると、丘のようになった前方部(南側)に到着します。
前方部には神社(荒神社)が鎮座しており、その横に安置されている手水鉢(ちょうずばち)のような石棺。こちらの石棺は、阿蘇溶結凝灰岩で作られており、蓋には後述する直弧文(ちょっこもん)が描かれています。これらより、吉備が今の九州地方と深い繋がりがあったことを伝えています。
前方部から千足古墳を望む
石棺のある場所から南をみると、千足古墳の全体がよく見えます。復元整備された墳丘の上に並べられた円筒埴輪も確認できました。
造山古墳をあとにし、千足古墳まで徒歩約5分程度の道のりを歩いていきます。
千足古墳に到着
田んぼのなかの道を歩き、千足古墳に到着しました。
入口の石碑には「史跡 千足装飾古墳」と書かれており、昔はこのように呼ばれていました。
千足古墳は、第1石室内部にある「直弧文」や石室内の彩色や造りに装飾古墳の特徴が見られます。このことより当時の吉備と、装飾古墳発祥の地とされる北部九州とのつながりが指摘されています。
装飾古墳とは
装飾古墳とは、古墳の石室や石棺の壁面・内部に、彫刻(浮彫り・線刻)や彩色で幾何学模様、人物、動物、道具などの絵や文様を描いた古墳を指し、北部九州に多く存在します。
これらの装飾は死者の魂を来世へ送るための呪術的な意味合いや、当時の信仰、権力者のメッセージが込められていたと考えられています。
第1石室内部のようす
2023年より公開されている第1石室。地下シェルターのようなこちらの入口を入ると、眼下に石室内部が見えてきます。
こちらに見える部屋は「玄室」と呼ばれる遺体を安置したとされる部屋で、そのなかにある「石障(せきしょう)」と呼ばれる板石に「直弧文」が描かれていました。
石障は現在、岡山市埋蔵文化財センターにて保存されており、石室内にはコンクリート製のレプリカが設置されています。
また、上部のモニターにて、第1石室内部のようすを再現したムービーを見ることができます。
【千足古墳 第1石室】
所在地:岡山県岡山市北区新庄下
TEL:086-803-1332(岡山市観光振興課)
営業時間:10:00~15:00(石室内部公開時間)
定休日:月曜日(祝日の場合は直後の平日)、年末年始
駐車場:なし(造山古墳ビジターセンターを利用)
トイレ:なし(造山古墳ビジターセンターを利用)
墳丘部にも登れます
円筒埴輪などが並べられた墳丘部にも登ることができます。
こちらも石室と同時に整備されたもので、墳丘部からは先ほど登った造山古墳はもとより、遠くには最上稲荷の大鳥居の姿も。
2013年の発掘調査で第2石室とともに、土中よりみつかった「家形埴輪」と「蓋型(きぬがさがた)埴輪」のレプリカも墳丘上部に展示されています。
蓋型埴輪は、身分の高い人に差しかけるための傘をモデルにした埴輪であるため、千足古墳の埋葬者も身分の高い人だったと推察されています。
おわりに
筆者は過去に造山古墳を訪れたことはあったものの、陪塚を訪れたのは今回が初めてでした。
千足古墳以外にも、造山古墳には6つの陪塚があり、それぞれを散策するコースも整備されています。
また、周辺には乗馬体験のできる吉備路若駒牧場や、吉備路自転車道を使っての古墳めぐりなど、古墳とともに楽しめるアクティビティもあります。
四季折々の吉備路の風景とともに、散策してみませんか。
紹介したスポットの場所(地図)
- 岡山市造山古墳ビジターセンター
- 造山古墳
- 千足古墳
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