ビール好きの聖地!?「東洋のビール王」馬越恭平のゆかりの地を訪ねる(井原市)
岡山県井原市の南東部に位置する木之子町(きのこちょう)は市内でも比較的大きな地区で、のどかな田園風景が広がる歴史と地域文化が息づく地域です。この木之子町出身の馬越恭平は、明治〜大正期の実業家で、渋沢栄一らと並ぶ「近代日本の産業資本家」の一人とされます。また日本のビール業界の発展に大いなる貢献をし、「日本ビール産業の育ての親」と称されています。さらに、ビアホールの生みの親でもあるため「東洋のビール王」ともいわれています。そんな馬越恭平の生家が今も残る、井原市を訪ねてみました。
- ライター
- 曲輪衆◎たけ
- 掲載日
- 2026年3月4日
目次
馬越恭平ってどんな人?(プロフィール)
馬越恭平(まこしきょうへい)は弘化元年(1844)、現在の岡山県井原市木之子町で生まれました。生家は4代にわたって医者でしたが、安政3年(1856)に13歳で大阪に出て当時の豪商・鴻池家の丁稚となり、実業家人生の第一歩を歩み始めます。明治6年(1873)に上京したのち、旧三井物産の社員となり、明治24年(1891)に日本麦酒の経営に関わりビール業界に入りました。札幌ビール(のちのサッポロビール、当時渋沢栄一が会長)・日本ビール(馬越恭平が社長)・大阪ビール(のちのアサヒビール)の3大ビール会社の統合を主導し、明治39年(1906)に「大日本麦酒」の社長に就任。昭和8年(1933)、88歳で死去するまで社長を務めました。
馬越家とは?
馬越家は、江戸時代中期頃には備中国井原周辺に移り住み、農業に専念した家でした。恭平は東京に出て成功した後も故郷木之子の地と縁を切ることなく、地元のために貢献する事業なども多く手掛けています。
今回は岡山県内で俳優・移住宣伝大使活動をしている水野美咲さんと一緒に、東洋のビール王・馬越恭平のふるさと井原市木之子町を回りました。
馬越恭平翁生家(井原市木之子公民館)
木之子町には馬越恭平の生家が今でも残っています。現在、木之子公民館が建っている場所が生家です。母屋は残っていませんが、長屋門、離れ、土蔵、社、井戸などを見ることができます。離れは馬越恭平翁写真資料室になっています。
馬越恭平翁写真資料室
「馬越恭平翁写真資料室」は木之子公民館のすぐ裏に残っている離れの2階にあります。ここには馬越恭平に関する資料や昔の写真などが展示されています。大日本麦酒時代の古い写真も多く、日本のビール業界の発展の様子なども知ることができます。また、地元のために貢献した事業などの資料も展示されています。隣の部屋にはサッポロビール、エビスビールも展示してありました。訪問帳にはビール会社の名前も!ビール好きにとって一度は訪れてみたい場所です。
【馬越恭平翁写真資料室】
所在地:井原市木之子町618
TEL:0866-62-8559
駐車場:あり
木之子地区の史跡散策①「三光寺」
「三光寺」は曹洞宗のお寺で、馬越恭平とその夫人のお墓があり、故郷の偉人として顕彰されています。私もいつも「美味しいビールをありがとうございます」と、お参りさせていただきました。お供え物はやはりビールでした。
【三光寺】
所在地:岡山県井原市木之子町5145
TEL:0866-62-4017
駐車場:あり
木之子地区の史跡散策②「縣主神社」
「縣主神社」の御祭神は初代縣守の鴨別命大神(かもわけのみことおおかみ)で、古代吉備地方を治めた豪族です。2~7代の笠臣大神(かさおみのおおかみ)、8代の笠三枚大神(かさのみひらのおおかみ)の8柱が地域の守護の神として祀られ、この地域の氏神として古くから人々の信仰を集めています。境内には末社も多く、荒神社、稲荷社、八幡神社、天満宮、厳島神社などもあり、本殿→末社の順で参拝すると、「氏神さま→暮らしを守る神さま」へとご挨拶できて、地元流の丁寧な参拝になります。山上の境内隣の駐車場までは車で行けます。
アートでカラフルな御朱印
実はここ「縣主神社」は、素敵なデザインのとてもカラフルな御朱印をいただけるということで、知る人ぞ知る大人気スポットなんです。境内に住み付いている猫もいて、この猫を描いた可愛い御朱印も人気です。心のこもった手描きの御朱印に感動してしまいます。
直書一文字御朱印、直描両面絵入特別御朱印(郵送対応のみ)、直書判押し特別御朱印、書置箔押し特別御朱印、書切门絵特別御朱印、書置社名御朱印など種類も豊富。参拝のあとはぜひ社務所に寄ってみてください。
【縣主神社】
所在地: 岡山県井原市木之子町3909
TEL:090-7775-8696
受付日時:土・日曜日、祝日10:00~14:00、平日10:00~12:00(外出していることがあるため要連絡)
駐車場:あり
木之子地区の史跡散策③「中世山城・才崎城」
馬越恭平の生家から南を見ると小高い山が見えます。ここが「才崎城」で比高40mほどの丘陵に築かれています。才崎城は中世の山城で建物などは残ってはいませんが、主郭および各曲輪跡や堀切、切岸などの遺構はよく残っています。特に東側斜面にある畝状竪堀群は圧観です。麓の駐車場から20分程で登れ、山城もコンパクトで中世の山城を知る上でもとても見学しやすいお城です。車は登城口近くの円地公民館に駐車できます。才埼城は2025年に保存会が立ち上がったばかりで、これから少しずつ遊歩道の整備が行われていきます。逆に言うと、今は整備されていない手付かずの遺構を見学できるチャンス!
【円地公民館(駐車場)】
所在地:岡山県井原市木之子町4432
才崎城について
築城年代は伝わっておらず不明。城主は『備中集成志』に木子村の「才崎城」として渡邊大隅または住江大隅と称するものが在城し、渡邊六兵衛尉が相続したと記されています。『備中誌』には、木之小村「才崎の城」として、城の東を堀というと記載。北西の谷部には「堀屋敷」、南側には「小鍛治」という地名が伝わっています。(参考:岡山県中世城館跡総合調査報告書第2冊備中編)
井原市とサッポロビールの「まちづくりに関する協定」
井原市とサッポロビールは馬越恭平との縁で「まちづくりに関する協定」を結んでいます。俗にいう「まちづくり協力金」というものです。井原市出身の実業家・馬越恭平の功績を称えつつ、両者の資源を活用して地域のまちづくりを推進すること目的にしています。サッポロビールから缶・瓶製品は井原市内への出荷本数、樽生製品は出荷量 1リットルあたり1円が井原市へ協力金という形で寄付されます。井原市はこれらの寄付金を「まちづくりの財源」として活用し、地域振興・イベント支援・観光資源整備など、自治体の総合的なまちづくり事業に使われています。馬越恭平は今でも故郷の井原の振興に貢献しているんですね。
まちづくり協定に取り組む地元の酒屋さん
井原市内でサッポロビールとの協定に取り組むお店をご紹介しましょう。
創業100年の老舗酒屋さん(株)齋藤商店の社長・誉郞さんは、「この協定は営利目的でなく、市民の方や観光客の方が井原市の生んだ東洋のビール王・馬越恭平さんを顕彰してサッポロビールを選んでくれるのがとても良いことだと思います。 サッポロビールを選んでくれたお客様には、うちで作ったサッポロビールのグラスに注いでもらったり、生ビールサーバーの貸し出しの際にサッポロビールを選んでくださったお客様にポリコップを無償で提供したりと、できることに協力しています」と話して下さいました。
【(株)齋藤商店】
所在地:岡山県井原市井原町3178-5
TEL:0866-62-0327
営業時間:7:30~19:30
定休日:元日
駐車場:あり
協定に取り組むサッポロビール・エビスビールを提供するお店
協定に賛同する、井原鉄道・井原駅前にあるサッポロ推しのお店もご紹介しましょう。
「炉ばた焼きだんけ」は、生簀にトラフグやイカが泳いでいる活きイカと新鮮な魚料理で評判のお店です。「うちのお店はサッポロビールメインで提供させていただいてます。仕事で井原にいらした方や観光客の方は井原市とサッポロビールの関係を知らない方が多く、馬越恭平さんや大日本麦酒のことを話すくだりで一話題できて盛り上がって、"それじゃあサッポロ飲もうか!”ってなったりします。おいしいビールを飲んでそれで井原が盛り上がるのはとても良いことだと思います」。
「熱誠お好み焼き・まるでん」は、とても厳しい基準と技術の必要な『絶品YEBISUの店』の認証を受けているおいしいビールにこだわったお店です(認証後の維持も大変だといわれています)。「井原でお店を出すのなら、地元に関係の深いサッポロビールをと思い、ヱビスと赤星を提供しています。分厚い鉄板で焼かれたお好み焼きや料理との相性も抜群です。ぜひプレミアムなビールとジョッキの内側にできるリングを体験してください」とお話しくださいました。
【炉ばた焼き だんけ】
所在地:岡山県井原市七日市町118
TEL:0866-62-7576
営業時間:17:00~23:00
定休日:日曜日
駐車場:あり
【お好み焼き・まるでん】
所在地:岡山県井原市七日市町120
TEL:080-1644-0004
営業時間:11:00~14:00、17:00~21:00
定休日:月曜日、第1・3・5火曜日
駐車場:あり
おしまいに
東洋のビール王と言われた馬越恭平の故郷・井原市木之子町を回ってきましたが、歴史と地域文化を大切に今に受け継がれている地域でした。そして今も馬越恭平の業績によって井原市の振興に関わり続けていることに驚いたりもしました。
最後に、長年にわたり馬越恭平や木之子町の研究をされている、馬越恭平翁顕彰会会長である井上晴正さんからコメントを紹介します。
「馬越恭平は近代日本の発展に尽くした"ビール王”であるとともに、郷土岡山・井原・木之子にも多大な貢献をした人物です。木之子町では『馬越恭平翁顕彰会』を組織し、毎年恭平翁の顕彰に努めています。ぜひ木之子へその足跡を訪ねに来てみてください」。
紹介したスポットの場所(地図)
- 馬越恭平翁生家(井原市木の子公民館)
- 三光寺
- 縣主神社
- 才崎城
- 才崎城駐車場(円地公民館)
- (株)齋藤商店
- 炉ばた焼き だんけ
- お好み焼き・まるでん
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