【早島町観光】ガイドと歩く町歩き|イ草と干拓の物語をたどる
岡山県内で最も面積が小さな自治体、早島町。その名の通りかつては島で、干拓によって陸続きとなりました。
古くから交通の要衝として、また「イ草」の一大産地として栄えてきた歴史を持つ町でもあります。
そんな早島町では、現在「歩いて暮らせる町」としての魅力が見直されています。「観光ボランティアガイド」と一緒に歩けば、ネットや情報誌だけでは分からない土地に刻まれた物語を知ることができます。今回はガイドさんの案内で早島の町歩きを体験してきました。
- ライター
- こばん(小林美希)
- 掲載日
- 2026年2月26日
目次
早島観光ボランティアガイドとは?
早島の町歩きをより深く楽しむために欠かせないのが「早島観光ボランティアガイド」の存在。「昔はここまで海だった」「江戸時代に賑わった街道」など、ただ歩くだけでは気づかない早島の物語を、地元に詳しいガイドさんが同行して丁寧に案内してくれます。見慣れた景色も、その背景にある歴史を聞くことで、まったく違った風景に見えてくるから不思議です。
事前(希望日の1週間前まで)に予約することで、無料でガイドさんに案内してもらえます。今回の取材には、13人中6人のガイドさんが参加してくださいました。
早島町歴史民俗資料館
まずは「早島町歴史民俗資料館」へ。早島でのイ草栽培は昭和40年代までは盛んに行われていました。こちらでは、早島の伝統産業であるイ草やイ草製品に関する貴重な資料や道具を見ながら、その歴史を学ぶことができます。
なぜ早島でイ草だったのか。ガイドさんの説明によると、それは干拓地の土壌と関係があるそうです。海を埋め立てたばかりの土地は塩分を含んでおり、稲作には不向きでした。しかし「イ草」や「綿(わた)」は塩気に強い作物です。そのため、隣の倉敷や対岸の四国では綿が、そしてここ早島ではイ草の栽培が盛んになったといいます。
収穫の時期になると、地元の人手だけでは足りず、九州や四国からも多くの出稼ぎ労働者が訪れ、町は活気に包まれました。江戸時代の作家・滝沢馬琴の小説に登場するほどの名産品は、明治時代になるとアメリカなど海外へも輸出され、早島の名前を世界に広めました。館内では、そういった歴史を資料とともに学ぶことができます。
【早島町歴史民俗資料館】
所在地:岡山県都窪郡早島町前潟237
TEL:086-482-1511(早島町教育委員会生涯学習課)
開館時間:9:00~17:00
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
入館料:無料
駐車場:あり
早島町花ござ手織り伝承館
「歴史民俗資料館」に隣接する「花ござ手織り伝承館」は、花ござの手織りの伝統技術を伝えていく目的で1983年に設立されました。
館内に足を踏み入れると、大きな織機がずらりと並んでおり、どこか懐かしく温かい雰囲気。保存会の方々による実演(火・金曜日)が行われているほか、予約をすれば手織り体験をすることも可能です。
※見学希望の際は事前に問い合わせてください。
【早島町花ござ手織り伝承館】
所在地:岡山県都窪郡早島町前潟240
TEL:086-482-1511(早島町教育委員会生涯学習課)
開館時間:13:30~15:30(実演は火・金曜日)※要予約
入館料:無料
駐車場:あり
前潟開墾記念碑
早島町役場や町の文化・健康・学習の拠点である「ゆるびの舎」の前を通って、てくてくと「前潟開墾記念碑」へ。
前潟新田開発250年(着工:1667年(寛文7年))を記念して、1917年(大正7年)に建立された碑があります。海を堤防で締め切り、排水して陸地にするという難工事でした。
この地を治めていた戸川家の最後の殿様、戸川安宅が写った写真も見ることができます。
早島はもともと島でしたが、数百年前から高梁川などが運ぶ土砂のため、次第に干潟化が進んでいきました。干拓による新田開発は、戦国大名・宇喜多氏がこのあたりの領主になってからです。
その後、早島に入った戸川家の時代にも開発が進み、現在のような田園が広がる町並みの原型ができました。
この頃の新田開発は藩営が多いですが、早島は上方商人の資金を導入し、有力農民や村方たちが一体となって進めた点が特徴なのだそうです。
【前潟開墾記念碑】
所在地:岡山県都窪郡早島町前潟
岡山ゲストハウスいぐさ
古い町並みの中に溶け込むように佇むのが「岡山ゲストハウスいぐさ」です。
かつて早島で唯一の民宿だった建物を改装した、畳の部屋がある趣のあるゲストハウスには立派な庭園があり、当時のこだわりが感じられます。
共有スペースの和室からは日本庭園を眺めることができ、のんびり過ごすことができそうです。
【岡山ゲストハウスいぐさ】
所在地:岡山県都窪郡早島町前潟615-1
倉敷ソーセージ
JR早島駅付近にある「倉敷ソーセージ」。
24時間365日営業の無人直売所が工場に併設されており、無添加のこだわりのハムやソーセージを購入することができます。
早朝や夜間の散策時でも利用できるのが嬉しいポイント。早島・倉敷のお土産としていかがでしょうか。
【倉敷ソーセージ】
所在地:岡山県都窪郡早島町前潟611-1
営業時間:24時間365日(無人直売所)
駐車場:あり
安養院
「あそこまで歩きますよ」。
水路を眺めながら小高い丘の上を目指すと、「安養院」に到着します。
歴史ある楼門には大きなわらじが!
ここからの眺めは素晴らしく、早島の町並みを一望できる絶景スポットです。
「ついそこにある交差点まで、海だったんですよ」と教えてもらいました。早島がかつて島であり、干拓によって広がっていった様子を地形からも感じ取ることができます。
【安養院】
所在地:岡山県都窪郡早島町早島198
駐車場:あり
金毘羅燈籠・道標
住宅地の中に突如あらわれる燈籠。
かつて早島には、讃岐の金比羅に続く道「金毘羅往来」が通っていました。江戸時代中期から多くの旅人で賑わっていたことを示す燈籠や道標が残っています。
【金比羅燈籠・道標】
所在地:岡山県都窪郡早島町早島
清澄家住宅
「清澄家住宅」は早島町内に唯一残る貴重な明治洋風建築です。
元々は眼科医院として建てられたそうで、玄関を中心に左右対称に翼を広げたようなコの字型のモダンな造りが特徴。木の板を重ねた「下見板張り」の外壁や、屋根の先端にある装飾が明治時代の雰囲気を今に伝えています。
※個人宅のため敷地内立入不可、外観のみ見学可能です。
【清澄家住宅】
所在地:岡山県都窪郡早島町早島344
ふじた花店
早島小学校の向かいにある「ふじた花店」は地域に根付いた町のお花屋さん。店頭には季節の花々が彩り豊かに並んでいます。一輪の花から気軽に購入できます。
観光地化された場所だけでなく、こうした地元の人々の生活に溶け込んだ商店が元気に営業している風景も、「歩いて暮らせる町」早島の温かい魅力の一つです。
【ふじた花店】
所在地:岡山県都窪郡早島町早島1269-1
TEL:086-482-0880
営業時間:9:00〜19:00 (日曜日は15:00まで)
定休日:火曜日
駐車場:あり
早島小学校
町の中心にある「早島小学校」の正門には、歴史を感じさせるレンガ造りの門柱が残されています。
設置年代は不明ですが、昭和初期の写真には既にその姿があり、大正時代から存在していたとも考えられています。
写真左に写っている、現在トイレになっている円柱状の建物は、昔は相撲を取る場所だったのだとか。ガイドさんが教えてくれました。
【早島小学校】
所在地:岡山県都窪郡早島町早島1297
戸川家記念館
江戸時代、早島は旗本・戸川家の領地として栄えました。「戸川家記念館」は、陣屋跡に残る書物蔵を改修した資料館です。
館内には、旗本戸川家に代々受け継がれてきた武具や古文書、早島の歴史を物語る品々が展示されています。3400石を治めた旗本としての格式や、当時の武家文化を垣間見ることができる貴重な場所です。
戸川家はもとは岡山城主だった戦国大名・宇喜多家の筆頭家老という、名門中の名門でした。しかし、関ヶ原の戦いの際に東軍(徳川家康側)に味方した功績により、家康から早島を与えられ、以来200年以上にわたってこの地を治めることになりました。
ガイドさんが特に熱を込めて教えてくれたのが、江戸時代の古地図の話です。実は、2018年の西日本豪雨の後、この地図を見に来る人が増えたといいます。
何百年も前にこの地図を書き残した先人たちは、未来を生きる私たちに「どうか気をつけて」と伝えようとしてくれていたのかもしれません。時を超えて届く、先人の深い知恵と愛を感じます。
【戸川家記念館】
所在地:岡山県都窪郡早島町早島1292
TEL:086-482-1511(早島町教育委員会生涯学習課)
開館時間:10:00~16:00(原則として日曜日・祝日のみ開館)
入場料:無料
駐車場:あり
小池菓子舗
創業100余年を誇る老舗「小池菓子舗」の看板商品「早島最中」は、地元の人々に長く愛され続けている銘菓。さくさくの最中の皮にあんこを自分で入れて、いただきます。
また、季節の和菓子も人気。私が訪れた時には苺を使った和菓子が並んでいました。散策の途中で甘いものを購入し、ひと休みするのに最適なお店です。
手作りナッツ最中は、ピーナッツバターとつぶ餡が入り、ナッツがトッピングされた食感が楽しい創作和菓子。
最中がサクっとしているうちにいただくのがおすすめ。「町歩きを楽しみながら食べてほしい」と考案されました。
伝統の味を守りながら、新しいお菓子作りにも挑戦されています。
【小池菓子舗】
所在地:岡山県都窪郡早島町早島1365
TEL:086-482-0252
営業時間:8:30~18:00
定休日:年中無休
駐車場:あり
いかしの舎
「いかしの舎(や)」は明治末期に建てられた畳表・経糸(たていと)の問屋で、早島の繁栄を象徴する寺山家の邸宅を改修した施設です。
立派な母屋や蔵、美しい庭園が見事に保存されており、現在は新しい文化を創造する拠点として活用されています。館内にはカフェ・レストランスペースもあり、歴史ある和風空間で庭を眺めながらゆったりとした時間を過ごすことができます。
「建物の出格子も見てみて」とガイドさん。格子の縦棒が3本なのが「倉敷式」、4本なのが「早島式」なのだそうです。「いかしの舎」は4本ですが、街中には3本の格子もありました。
そんな小さな違いを見つけながら歩くのも楽しかったです。
【いかしの舎】
所在地:岡山県都窪郡早島町早島1466
TEL:086-483-1243
開館時間:9:00~17:00
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
駐車場:あり
足を延ばして、車でめぐる歴史スポット
ここからは、車で少し足を延ばして行ける、早島のおすすめ歴史スポットをご紹介します。
<鶴崎神社>
町の南西部に位置する神社です。鎌倉時代に「八幡神社」として始まり、岡山の有名な「吉備津神社」から神様を招いた古い歴史がある神社です。本殿近くには、吉備津彦命の休息岩があります。
2009年に新しくなった社殿は双殿造りとなっており、見ごたえがあります。
【鶴崎神社】
所在地:岡山県都窪郡早島町早島2220
TEL:086-482-0097
駐車場:あり
<厳島神社・巨石群>
地元では「弁才天」と呼ばれ、親しまれている「厳島神社」。ここは、かつて川港としてたくさんの船が行き来して栄えた場所です。また、南側にある大きな岩の集まり(巨石群)は、早島がまだ「島」だったころの波打ちぎわの跡。当時の景色を今に伝える貴重な場所です。
【厳島神社・巨石群】
所在地:岡山県都窪郡早島町早島
<舟本荒神社>
かつて弁才天の「厳島神社」と並んで、川の港として栄えました。江戸時代には多くの船が行き来し、人や物で賑わった場所だそうです。今では静かな住宅街の中にありますが、当時の活気ある港の歴史を今に伝える大切な神社です。
【舟本荒神社】
所在地:岡山県都窪郡早島町早島
おわりに
早島を訪れるなら、ぜひ観光ボランティアガイドと一緒に歩いてみてください。ただ見るだけでは気づかない歴史や背景を知ることで、町歩きの満足度がぐっと高まります。
「歴史民俗資料館」や「戸川家記念館」を軸に、「いかしの舎」や「小池菓子舗」でひと休み。“歩いて暮らせる町”早島の魅力を、体験として味わってみてはいかがでしょうか。
【早島観光ボランティアガイドの利用について】
料金:無料
所要時間:1〜2時間(コースは相談に応じてアレンジ可能)
予約:希望日の1週間前までに要予約
申し込み:早島町観光協会事務局(早島町 総合政策推進室)
TEL:086-482-2609
紹介したスポットの場所(地図)
- 早島町歴史民俗資料館
- 早島町花ござ手織り伝承館
- 前潟開墾記念碑
- 岡山ゲストハウスいぐさ
- 倉敷ソーセージ
- 安養院
- 清澄家住宅
- ふじた花店
- 早島小学校
- いかしの舎
- 鶴崎神社
- 厳島神社・巨石群
- 舟本荒神社
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