岡山が誇る日本一の石造鳥居3選(岡山市・真庭市)
岡山県で鳥居といえば「最上稲荷(最上稲荷山妙教寺)」の大鳥居が有名ですが、歴史の宝庫である岡山には、他にも意外と知られていない日本一と言われる石造の鳥居が3つあります。今回はその歴史と魅力をご紹介していきます。
- ライター
- 田中シンペイ
- 掲載日
- 2026年8月26日
1. 葦守八幡宮(岡山市)
岡山市北区下足守に所在する「葦守八幡宮(あしもりはちまんぐう)」は、応神天皇の伝承に由来を持つという古い神社です。
ご紹介するのは、社殿から400mほど南にある「一の鳥居」です。この鳥居はなんと、南北朝時代の康安元年(1361年)に建てられたもので、優に600年以上が経過していることになります。造立の年号が記された石の鳥居として、国内最古級とのことです。
鳥居の特徴として、「両部鳥居(りょうぶとりい)」と呼ばれる様式でつくられています。柱の基部を「稚児柱(ちごばしら)」という控え柱で支える構造で、優美かつ安定した印象を与えます。広島県の宮島にある「厳島神社」の鳥居と同じ様式ですが、石造ではめずらしいそうです。
一の鳥居から続く参道を北へ進むと、小さな丘陵の上に神社は鎮座しています。
ご祭神には「応神天皇」「吉備兄媛」が名を連ねていて、この地は『日本書紀』に記された応神天皇の行宮(あんぐう:一時的な御所)「葉田葦守宮(はだのあしもりのみや)」ではないかと考えられています。応神天皇が皇妃「吉備兄媛(きびのえひめ)」の郷里を訪ねた際、兄の「御友別(みともわけ)」から格別のもてなしを受けたことを喜び、御友別の一族に吉備の支配者の地位を約束したという伝承があります。後に応神天皇が崩御した際、吉備兄媛の甥にあたる「吉備仲彦」によって当神社が創建されたと伝わっています。
室町時代までは吉備仲彦の子孫である「賀陽(かや)氏」が歴代の神主を務めたと言われています。江戸時代には豊臣秀吉の正室ねねの実兄である「木下家定」が足守に封ぜられ、以降は藩の総鎮守として崇敬されました。社宝となっている青銅製の「古鏡」は豊臣秀頼がつくらせて寄進したものだそうです。武家屋敷や町屋の残る足守の中心部から1kmほどしか離れていないので、足守を観光する際にはぜひ足を運んでみてください。
2. 茅部神社(真庭市)
「茅部神社」(かやべじんじゃ)は真庭市の著名な観光地「蒜山高原」の一画にあり、神社の正面には雄大な蒜山三座が望めます。
茅部神社の境内は“幽玄”という言葉がしっくりくる独特の雰囲気に包まれています。ご祭神は「天照大神(あまてらすおおみかみ)」で、背後の山には「天岩戸(あまのいわと)」と呼ばれる巨石があり、おそらく当神社の「磐座(いわくら)」と考えられます。残念ながら、私が訪れた際は登山道が倒木に塞がれ「天岩戸」までたどり着けませんでした。
磐座とは
「磐座(いわくら)」は日本の原始的な祭祀形態のひとつで、降臨した神がそこに宿ると考えられた岩のことです。神社のような神殿が発達する以前の非常に古い祭祀形態で、現在でも神社の境内や背後の山にある“しめ縄の張られた岩”は磐座信仰の名残です。
長い参道は桜並木になっているので、春に訪れることができたら最高だと思います。
境内から北東へ800メートルほど離れた参道の起点に、今回ご紹介する「大鳥居」が建立されています。完成時の高さは約13m、石造の鳥居として日本一の大きさを誇ったと言われています。この写真だけではその大きさが伝わらないと思いますので、比較しやすい対象として人物の写った写真をご覧いただきましょう。
柱のそばに立っている人と比べてみてください、想像した以上に大きいと思いませんか?しかも、すべて巨石を組んでつくられているという迫力も加わって、実際に目の前にするとその存在感に圧倒されます。
この「大鳥居」は地元の名士が発起人となり、幕末の文久3年(1863年)に完成したそうです。建設用の機械のない時代に、石材の精密な加工をはじめ、これだけの巨石を運搬して組み上げる技術には畏敬の念を抱かずにはいられません。
実際に現地で見て印象的だったのは、蒜山の広い空と鳥居との対比です。ここでしか見られない絶景だと思いました。蒜山高原を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。
3. 往来神社(岡山市)
「往来神社」(ゆききじんじゃ)は岡山市東区に所在しています。比較的小さな神社ですが、ここには非常に風格のある鳥居があります。
ご祭神は「八衢比古(やちまたひこ)神」「八衢比女(やちまたひめ)神」「久那斗(くなど)神」とされています。道祖神と同様に、道路の辻で邪悪なものを防いでくれる神様だそうです。神社の名称もふくめて、近くを通っていた「山陽道/西国街道」との深いゆかりによるものと思われます。
神社の麓に位置する風格のある鳥居は戦国時代の延徳2年(1490年)に建てられたもので、香川県の豊島(てしま)で採れる「豊島石」でつくられた鳥居として最古級のものだそうです。「豊島石」は加工がしやすく火に強いという性質を持つので、かつては石灯籠によく用いられていました。
扁額(へんがく)も建てられた当時のままだそうで、「往来社」と書かれているらしいことがギリギリ読めます。
500年以上にわたってこの場所に立ち続けているという“気魂”のようなものが感じられませんか?鳥居の特徴としては、柱が非常に太く、一番上にある「笠木」「島木」が一本の石で製作されている(通常は分割される)点があげられます。かなり迫力がありますので、ぜひ現地で実物を見てほしい鳥居です。個人的には、今まで見た中で“風格のある鳥居”のベストワンだと思っています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。「鳥居」とひとくちに言っても様々な建材や様式のものがあり、かなり奥深い世界が広がっています。今回ご紹介した石造の鳥居をはじめ、岡山には魅力的な鳥居のある風景がたくさんあります。著名な観光地を訪問する機会を利用して、ぜひ一度訪れてみてください。
紹介した神社の場所(地図)
- 葦守八幡宮
- 茅部神社
- 往来神社
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